1~2-2:宙からの唯一のプレゼント
私がもらった、宙の心からの
唯一のプレゼントは
とてつもなく偉大だった。
けれどそれと同時に私は託されてしまった。いや、託されたと勝手に勘違いしているだけな気もするけれど。
偉大であるプレゼントは、私に、良くも分からない才能を与えてくれた。
時は今年。つまり、たった数ヶ月前のことだ。
具体的に言えば、与えてくれた才能を知ったのは
今年の三月だった。
その1、表現者ではなかった私に、表現という能力を与えてくれた。
その2、人のことをよく観察できるようになり、俯瞰的に客観的に判断できるようになった。
その3、「周囲に恵まれるようになった」。
勿論、いきなり全てを貰えたかと言われたらよくわからないし、
そもそも備わっていたのかもしれない。
私は今年の初めから、『自分にとって楽なこと』をするようにしてみた。
例えば……ストレッチとか。筋トレとか。湯船に浸かるとか。勿論、お金など持ち合わせていないから全て自力で何とかしていた。
でもそれをすることで何かが自分の中で変わった瞬間だった。
自分の容姿や考え方が目まぐるしく変わり始めた。
正確に全てが変わってしまったのは今年の7月。
まだたったの2ヶ月ちょっとだ。
馬鹿みたいな話であるが
何時も生きてきた私だが、こんなに恵まれたと思ったのは
初
だった。
地の、血の、血の下まで居た私にとっては
やっとこ地上に出られた。
感動でいっぱいだった。
しかしながら、思い出しては目まぐるしい苦しみと目眩と吐き気に襲われる程、
宙の心は、私以上。
いや、私の何千倍以上もの苦悩を強いられた。
それが真実であったかは分からない。
けれど、もし、当の本人が本当に私に「与えてくれた」のだとしたら。本当に私が「使命された」のだとしたら。
私はそれを成し遂げられるのか。
そしてこの真実を何処にも明かさずに。
そして私の正体も何処にも明かさずに。
私は生きていけるのか。
私は全てを知ってしまった故に
人生で初めての幸せと残酷さを同時に持ち合わせた。
最近は常に『生と死』が常に隣同士に感じている。
故に怖くて眠れない。
人間が信用出来ず、何もかもが嘘のように感じ、私の心は悲鳴をあげている。
それでも、やり遂げなければならない。
それは真実を知ってしまい、『プレゼント』されてしまったから。
だから決めた。
やると。
それが一歩目。
無理をしてでもやると決めた。
私のやるべき事を。
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