見出し画像

ボルダリングジム開業1年目の月別売上全公開

割引あり

以前書いたこの記事

これがひょんなことから結構バズり、ありがたいことに現在でもそこそこ売れ続けている。

やはり、そこそこ多くの人が「ボルダリングジムという最近よく見るようになった店は一体どんな商売なのか?」みたいなことにうっすら関心があるんだと思う。

その中でも一番の関心は「ぶっちゃけ儲かるの?」ということだろう。

その下世話な関心にストレートに訴えるタイトルがウケてバズったのではないかと思う。

なので今回はその続編として、より「売上」にフォーカスした記事を書こうと思う。

具体的には、実際に売上管理に使用していたエクセルデータ(のスクショ)を全部晒しながら各月の売上を振り返るといった内容だ。

こんな表

この記事を読んで頂ければ、ボルダリングジムという商売がどのように売上をあげているのかの具体例を知ることができる。
(あくまで具体例の一つであり、各店の事情によってケタが一つ二つ違うなんてこともザラにあるということは先に断っておきたい)

データの開示は有料部分になるので、具体的な数字が気になる方は是非購読していただきたい。

無料部分ではボルダリングジムの売上と利益の関係性なんかをざっくりと解説して前置きとする。


原価のないビジネス

一般的な小売店や飲食店と違い、ボルダリングジムには「原価」というものが無い。

物販をやらない限り、サービスを成り立たせるためにかかる費用は全部「経費」となる。

超ざっくり言うと、一般的な小売店や飲食店では

利益=売上-原価-経費

となるが、ボルダリングジムは

利益=売上-経費

となる。そのため売上から利益を計算するのが他の商売よりも比較的楽だ。

そういう意味でボルダリングジムは「初心者向け」の事業と言ってもいいかもしれない。
経理の知識がロクに無くても決算やら確定申告やらがそれほど難しくない。

「めんどくさい」というコスト

先に提示した表の右部分、黄色く色付けした欄が当ジムの料金表となるが、ジムのサービスとして提供している商品は基本的にそれだけだ。(一番下の「キッズ」はキッズスクール月謝)

ジムによっては1時間券、2時間券、半日券を販売したり、曜日によって料金を変動させていたりするところもある。

でもうちはそうしていない。
売上管理を出来るだけ簡素にするためだ。

売上管理をできるだけ簡素にする、というのは実は非常に重要なことだと思っている。
そういった部分に手間をかけるというのもコストと考えることができるからだ。

「めんどくさい」はコストなのだ。

時間がかかる=コストになるというのは当然だし、仮に同じ時間で処理できるとしても精神的な負荷が大きくなるならそれはコストだ

料金に端数を作らずキリの良い数字にしているのにもそこに理由がある。

問題
一般1日券を1,630円にしても1,600円の時と全く売上数が変わらないとしたら、値上げすべきか?

に対する答えは、机上でのみ考えれば「すべき」一択!と思われるかもしれないが、釣銭管理のめんどくささというコストを考慮すれば、答えは必ずしも一意には定まらない。

僕は「めんどくさい」というコストは長期的に考えるほど重くのしかかると思っているので、1630円にするより1600円にすることを選んだ。

(ここで「オイオイ釣銭管理w石器時代かよw今は電子マネーの時代だぜwそんなこと考える必要ねーだろw」というクソリプはご遠慮いただきたい。それこそ電子マネーのほうが「めんどくさい」のカタマリだ。このご時世支払い方法をすべて現金にするというわけにはいかないので一応うちもpaypayだけは導入しているが、クレジットカード決済や、多種多様な電子決済のほとんどに対応しようなんて思ったら経理関係が壊滅的にめんどくさくなっていく)

経営者と現場が切り離されている企業は「めんどくさい」をコストとして考慮しないケースが目立つ。
月々20万円支払って維持管理しているシステムを廃棄したとしても、従業員がそれぞれちょっと我慢してめんどくさい思いをすることで今まで通り仕事を回すことができるとなれば、喜んでそれを廃棄するという経営者は多い。

従業員の「めんどくさい」をコストだと思っていないからだ。

しかし実はその「めんどくさい」が積もっていくことで人材に負荷がかかり、時間差でマイナスが現われてきたりする(従業員がストレスで倒れるとか、突然辞職するとか、なんとなく全体の生産効率が落ちていくとか……)。
経営者はその時になって表出した問題に対応しようとするが、根本の原因には気づかなかったりする。

個人事業主は自分が経営者でもあり労働者でもある。
数字上のコストだけでなく、自分のカラダやアタマにかかるストレスなどといった「血の通ったコスト」について意識的にも無意識的にも考えやすい。

個人事業主の多くは経済合理性だけで商売をしているわけではない。
トータルで自分の人生を豊かで楽しいものにするために商売しているのだ。

少なくとも僕はそうだ。

毎月の支出

事業の支出には「固定費」と「変動費」があるが、ボルダリングジムの場合ほぼ固定費のみとなる
それが原価のないビジネスというものだ。

当ジムの固定費は
・家賃 15万4千円
・返済 約15万円
・光熱費 約1万~3万円

そこにさらに「消耗品費」も加わる。
(ちなみに当ジム2024年の目標はこの消耗品費を出来る限り抑えることである)
これは平均して月5万円程度には抑えておきたい。

トータルして毎月の支出(=経費)は約36~39万円程度ということになる。

ここに修繕費積み立て等も計算して

ざっくり40万円が月の損益分岐点であると言っていい。

つまりひと月40万円以上売り上げれば、そこから先売れた分がそのまま事業主の給料になると考えて貰ってかまわない。

月の売上が70万円ならその月の僕の月収は30万円ということだし、
月の売上が45万円ならその月の僕の月収は5万円ということになる。

実にシンプルだ。

そんなわけで、
「大体ふつうのサラリーマンの初任給くらいは自分の給料が欲しい!」
と思ったので月毎の売上目標を60万円とした。

さて、そのあたりを踏まえて、ここからは実際に売上データを見ていこうと思う。
先述した通り、ここからは実際に売上管理に使用していた実際のデータをまるごと晒すので有料となる。

ここから先は

2,708字 / 9画像

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?