日記 * I Can't Get Started
(タイトルは記事作成時のBGMの1曲)
お茶をいれるのに一日何度かお湯を沸かす。その待ち時間(3~4分)に、フィットネスマシンに乗ることを習慣にしている。マシンの横には天井までの高さの本棚があり、ブルブル全身を揺らしながら、並んだ背表紙をぼんやりながめる。キッチンのケトルの蓋が高音をたてて振動し始めるまでのわずかな時間にその本棚に手を伸ばすこともある。
二十年以上も前に買ったスヌーピーの英和辞典。
hang 動) つるす
単語のあとにイラストと例文。
(ブルブルで、よく見えない。開いたページに指を挿み、マシンを止める)
チャーリー・ブラウンは木から逆さまにぶら下がった状態で発見される。凧糸が全身に絡まり身動きがとれない。「どうしてそうなったのですか?」誰かの質問から(イラストには質問した人物は描かれていない) hang の使い方の例がいくつか書かれている。
その中の1つに「ぶら下がるとは、上から支えられていることです」とあった。
お茶を飲みながら、考える。地に足が付いてない、自分はどこかちゅうぶらりんと思っていたが、いろんなものに支えられているのかな。
お茶を沸かす時間だけじゃない、あらゆる場面でふわっと思い浮かぶこと、ふと目にするもの、自分はそこで発見したものに意味を見つけようと考えをめぐらす。とりとめもなく広がることもあれば、一瞬で止まることもある。考えをめぐらせた先の一つに何か引っかっかりを感じると、自動的に記憶の断片との交わりが始まる。急に体に引き戻され、あ、こんなことがあった、あの時の体験は今ここにいる自分を作ったんだ。
あの時の何でもない体験、どうでもよさげなことが、かけがえのないものに変わる瞬間がある。
偶然発見のキーワードと過去の記憶がミラクルに整う瞬間。
そんな日は感謝と、言語化しなければというプレッシャーの日になる。