「Designerお悩みすくい」ができるまで(Designship2024)
こんにちは!ウエディングパーク CD(コーポレートデザイン)本部のひろせ(@_hrshr)です。
株式会社ウエディングパークは2024年の10月12日、13日に東京ミッドタウンで開催された、日本最大級のデザインカンファレンス「Designship 2024」にDIAMONDスポンサーとして協賛しました。
昨年は広報チームがパートナー企業様と連携してブースを作り上げていましたが、今回はデザイナーが企画・コンセプト立案からビジュアル表現、体験設計に至るまでを主導し、施工をパートナー企業様にご依頼する形で作り上げました。
デザインの一貫性を保ちながら、訪れた方々にわかりやすく、かつ魅力的な体験を提供することを目指し、デザイナー視点で細部にまでこだわりました。その結果、多くの方から「一貫した体験設計が印象的だった」という声をいただき、ブースの成功につながりました。
この記事では、ブースデザインの裏側と、今回のプロジェクトを通して得られた学びについてデザイナー視点で振り返ります。
はじめに
今回のブースデザインで体験者の方々を驚かせたのは、体験設計そのものだけでなく、「担当したデザイナーは新卒2年目のほぼ1名」、「企画から完成まで2ヶ月で仕上げた」という事実でした。
もちろん、パートナー企業様に設計図の作成や施工をしていただいていたり、デザインレビューでは先輩方に意見を伺い、フィードバックをいただいていたため「ほぼ1名」としていますが、実際に企画や体験設計、デザイン作業で手を動かしていたのは進めたのは1名です。
ブースの内容としては「デザイナーお悩みすくい」と題し、デザイナーの“あるある”なお悩みを、金魚すくいのようにすくってヒントの提供する体験をデザインしました。
すくったカードは金魚袋に入れて持ち帰っていただき、ノベルティにはスタッフが着用したハッピのデザインのふせん。お祭りさながら、当たりも用意し、当たった方にはラムネをプレゼントいたしました。
準備は以下のような手順で進めております。
企画 (2ヶ月前〜)
7月上旬に先輩と一緒にDesignshipのブースで叶えたい目標と目的、それを叶えるために解決するべき課題を明確にしました。
①ブレスト
まずはざっくばらんに、どんな目標を叶えたいかを話しながらブレストを行いました。採用に繋げたいのか、他社との共創を目指すのか、あるいは何かしらの形で注目を集めることをゴールとするのか、といった点について議論を進めました。
最終的に「他社様との共創を生んでいきたい(共同でイベントをするなど)」という結論に至りましたが、こちらから一方的に声をかけて時間をいただくのではなく、相互にメリットを感じられる共創の形が理想です。
今回のブースでは、弊社の取り組みを知っていただき、今後の共創に繋げ、ご縁を作ることを目指しました。
②課題発見
ブレストで理想像を描き出した後、現実と理想を照らし合わせて解決すべきギャップ(課題)を明確にしました。当社のロードマップには「技術とデザインのウエディングパークを創る」という目標があり、ウエディングパーク的『デザイン経営』宣言の中で生まれた数々の事例も紹介することができれば、当社がデザイン経営を推進していることが伝わるはずです。
しかし、今回は資料やスピーチなどではなくブースなので、情報や要素を詰め込みすぎると、結果として何も伝わらない懸念がありました。そこで、ブースで伝えるべきメッセージを「経営や他職種の方もデザインの力を信じている」というシンプルなものに絞り込みました。
このメッセージを中心に、自社の特徴と社外から見た時のギャップを予測しイメージ戦略を立てました。
見えてきたのは、「他職種とデザイナーの繋がり」や「経営や他職種もデザインをデザインの価値を信じていること」をしっかり発信できていない現状でした。
今回はここをしっかり伝えていく必要があると考えました。
③ペルソナ(ターゲット)設定
伝えたいメッセージが決まった後、次に考えたのはターゲットです。Designshipは日本最大規模のデザインカンファレンスであり、幅広い層の方々が参加します。
ここで再確認したのは、①で決定した最終的な目的である「他社様との共創を生んでいきたい」というゴールです。この共創を実現するためには、最終的な決裁を担うのが管理職レイヤーであることを踏まえ、今回のブースでは組織に関心が高いデザインマネージャーをペルソナに設定しました。
下記項目についてしっかり想像し、実際に弊社のマネージャーにもインタビューしながらターゲット像を強固なものにしていきます。
特に着目したのは以下の項目です。
具体的に何に興味があるのか
(興味の対象について)調べる時はどんな媒体を使っているのか
どんなニーズを持っているのか
Designshipで期待していることは何か
ここから、Designshipのブース内でメッセージを伝えるだけでなく、X(旧Twitter)やnoteに誘導することで、イベント後も継続的に接点を持ち続けることが必要なのではないかと考えました。これにより、一度の出会いで終わらせるのではなく、弊社の取り組みや共創の機会をより深く知っていただける機会を提供できるはずです。
企画段階で決定した目標・目的をまとめると以下の通りです
コンセプト決定(1ヶ月半前〜)
目標がFIXし、次は具体的なブースのカタチを考えていきます。
弊社の目的・目標がある一方で、ブース体験者は弊社に何を期待しているのかを考えます。
イメージ戦略でも触れた通り、弊社は「他職種とデザイナーの繋がり」や「経営や他職種もデザインの価値を信じていること」をまだ十分に発信できていません。この点を踏まえると、ブースに来る方々も「実はウエディングパークから何かを得ようとは思っていないのではないか」という仮説が浮かびました。
ブースに立ち寄る多くの方は、「せっかく来たからちょっと覗いてみよう」「何か学びがあればいいな」といった気持ちで回っており、「ウエディングパークのことをよく知らないから、正直話しかけにくい」と感じているのではないかと考えました。
そこでインサイト(欲しくなる価値)として、「ブースの社員から話しかけてもらい、説明してほしい」と思っているのではないかという予想に至ります。そして、考えついた体験が「お悩みに対して、そのヒントとして弊社の事例を紹介する」です。
「よく知らないウエディングパークの事例」をただ知ってもらうよりも、「来場者の悩みに照らし合わせた事例」を紹介する方が、より親近感が湧き、興味を持ってもらいやすいと考えたのです。
結果的に生まれたのが冒頭でご紹介した「デザイナーお悩みすくい」です。
お気づきの方も多いかと思いますが、「金魚すくい(掬い)」と「救い」をかけた体験・ネーミングになっています。
ノベルティ制作・施工企業様とお打ち合わせ(1ヶ月前〜)
ここからは世界観を楽しんでいただけるものにするために、制作者が本気で面白がるかが鍵になるフェーズです。来場者が会場で一番ワクワクできるブースを目指し細部までこだわりました。
ブース
まずは金魚すくい(夏祭り)の世界観を作りつつ、しっかりウエディングパーク社であることがわかるためにはどんなブースが必要であるかを考えます。
ブース一面、弊社のコーポレートカラーのピンクにしたいのですが、近寄りづらいデザインにしてはいけません。
ピンクはピンクでも薄いピンクを使ったり、床に人工芝を敷くことで差し色も入れながら全体を設計していきました。
そして世界観はなんといっても「夏祭り」。ヤグラと提灯は必須です。
コーポレートカラーのピンクを使った提灯のロゴと弊社のロゴが入った提灯を複数用意。
そしてシンボルとなるヤグラを建てることにしました。
金魚すくいのポイまで抜かりなく、特注をしピンクに染め上げております。
普段デザインしない大きな印刷物ということもあり、オフィスにテストプリントを貼って隣に立ってもらうなどしながらプロトタイピングを重ねました。
改めて、施工にご協力いただいた企業様無くしてはこのブースは出来上がりませんでした。
ありがとうございます。
ハッピ
このブースに立つスタッフもコンセプトを体現しなければなりません。
来場者のインサイトに「ブースの社員から話しかけてもらい、説明してほしい」と置くからこそ、スタッフをわかりやすくするために、今回はコーポレートカラーを使ったハッピを羽織りました。
プロトタイピングの段階では「救」の文字を背中につけるだけのシュールな場面もありました。笑
ふせん・ラムネ
唯一来場者と一緒に帰ることができるノベルティ。
ハッピのインパクトも一緒に持って帰っていただこうと、はっぴのデザインをそのままふせんにしました。
さらに、夏祭りといったら「ラムネ」や「くじ」も連想できます。
ここもしっかり再現したく、すくったカードの裏に当たりを示すシールがついていたらラムネをプレゼントしました。
業者様にラッピングのないラムネをいただき、ロゴを印刷したコピー紙を巻くという手探りなプロトタイピングを行いました...笑
カード・パネルの制作・印刷(1ヶ月前〜)
ブースも決まり、ノベルティが決まったところで肝心の金魚(カード作り)。
皆様に共感してもらえるお悩みを設定し、解決のヒントとなる弊社の施策をお伝えする必要がありました。
「技術とデザインのウエディングパーク」や「デザイン経営」の文脈で生まれた制度やアクションは元々どんなお悩みから生まれたのか歴史を辿りながら、施策とお悩みを行ったり来たりして決定しました。
最終的にご紹介したお悩みと紹介した施策は以下の通りです。
⑴
悩み:案件の上流から関わりたい
紹介:事業成果思考
⑵
悩み:事業価値を社会にもっと伝えたい
紹介:WeddingPark2100
⑶
悩み:“即戦力”として1年目から活躍したい
施策:デザイナーサマーインターン
⑷
悩み:デザインMGRになりたい・育成したい
施策:おためしMGR
⑸
悩み:CDOになりたい・輩出したい
施策:BDO・BTO
ぜひリンク先のnoteも読んでみてください!
社員巻き込み(2週間前)
最後に、協力してもらう社員の巻き込みです。
今回は「他職種もデザインの価値を信じていること」を感じていただきたかったので、エンジニアやセールスのメンバーにもブースの運営に協力してもらいました。
他職種のメンバーがデザイナーの取り組みを来場するデザイナーの方に説明することには、多くの不安があったと思いますが、全員が当事者意識を持って対応してくれました。今回のブースは、来場者とのコミュケーションを前提にした体験作りを行っていたため、この協力がなければ、このブースは成立しなかったはずです。本当に感謝しています。ありがとうございます!!
それぞれ他職種メンバーから参加した感想をもらいました。
エンジニアマネージャー・Rさん
2日間、デザインに関わる多くの方とお話しすることができました!「メンバー育成」や「組織づくり」も「組織デザイン」という枠組みに入るということが新たな発見でした。私もクリエイターのマネージャーとして、デザインに対する理解をもっと深め、目標の定量化にこだわり事業と接続していかねばと強く思うきっかけとなりました。
またブース運営にも参加させていただきましたが、他社・学生の方々にもウエディングパークの事業とカルチャーについて知っていただくことができとても嬉しかったです。今後もこういったイベントがあれば積極的に参加したいと思います!Designship最高〜!
セールス新卒1年目・Yさん
営業は定量的な評価やクライアントとの関わりを通じて事業価値を伝える機会が多い一方、デザイナーは「どう定量化するか」「事業価値を社会に伝えるか」に悩んでいることを知り、他職種への理解が深まりました。また、他企業の役員やマネージャーの方々と話す中で「次世代の育成に悩んでいる」という声を多く聞きました。弊社の取り組みへの関心はもちろん、「事業成果思考」や「カルチャー重視の姿勢」に驚かれ、弊社が大事にしている「考え方」の部分もお褒めの言葉もいただき、改めてその価値を実感しました。
おわりに
今回、ブースデザインの目的や目標をあらかじめ定量・定性的に定めることによって、困った時や迷った時に立ち返る指針となり指針となってくれました。改めて何事にもしっかり目標を立ててそこに向かっていくための課題を解決するデザインは大事だなと感じます。
また、ブースのデザインを内製することでデザイナーが社会に伝えていきたい内容と体験に一貫性を出すことができたと思います。
イベント期間中は700名以上の方に体験していただき、多くの方にブースでの体験やそれに伴う世界観やコンセプト、細部までのこだわりにお褒めの言葉をいただきました。
Designshipという場を作ってくださった運営の皆様と協力してくれた社員、パートナー企業様、体験してくださった皆様がいて初めて完成できたデザインです。関わってくださった皆様、本当にありがとうございます。
イベントの様子は以下の記事でレポートしております。
こちらも併せてご覧いただけますと幸いです!
最後まで読んでいただきありがとうございました!!
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