ショートショート「飼い主の右手」
彼はベッドの上でスマホの動画を見ていた。猫の動画だった。
「ふふふ」
彼は笑みをもらすと、両手を上に挙げて大きく伸びをした。
「あー疲れた」
彼は約三〇分ほど、似たような猫の動画をずっと見ていた。
「ちょっと休憩するか」
彼はベッドから起き上がった。そのベッドは有名なブランドのベッドだった。人生の三分の一は寝ているからという理由で、いいベッドを購入したのだが、眠る時だけではもったいないと思い、ベッドの上で本を読んだり、スマホをいじったりもしている。
彼はコーヒーを入