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#10 マサラタウンにさよならバイバイ

【前回の内容】↓

自信がない、、、その言葉を聞いた瞬間
私の目からは滝のように涙が溢れた。
きっと周囲にはマイナスイオンが発生したであろう。

小さい頃から犬を飼うことが夢だった。
しかし、うちの母親は犬嫌いであったため
犬はずっと飼えなかった。
小学生の頃の私の大好きな本は「世界の犬図鑑」
犬の種類と性格が書いてある
いかつい本だった。

犬が飼えないかわりに、毎日その本を読んだ。
そして道で犬とすれ違う度に
犬嫌いの母の目を見ながら
「ダックスフンド、、性格は有効的…」
と犬種と特徴を述べた。
お前はポケモン図鑑か。母はサトシではない。

幼い私の中では、それは作戦だった。
「そんなに好きなら飼えばいいじゃない」
という母の一言を期待していたのだ。
その結果、中学2年あたりで念願の
犬を母の友人から貰い受けるのだが
母が犬を飼うにあたり、鬱寸前までいったので
僅か、3ヶ月でその子は母の友人に引き取られた。

今思えば、あれば絶対育犬ノイローゼだったのだが
当時は情報に乏しかったので分からず
ただ母が壊れていく姿が怖かった。
そして、どうしようもないんだと涙ながら自分に
言い聞かせた。

私はあの時誓ったのだ。
大人になったら絶対に、絶対に犬を飼うのだと。
そしてその子を、幸せにするのだと。

しかし、まさにいま、
そんな決意を持って
ようやく飼うことが許された犬を
旦那は手放そうとしている。

「仕事にも支障が出てるんだよ…」

恥ずかしながら私は自宅警備員の身。
旦那が稼ぎ柱となっているので
仕事に支障がでているというワードは
パワーワードなのだ。

「じゃぁ、ボナムはどうなるの…?」
「わからない…でももう育てるのは無理だよ」

ボナムが来てから
あきらかに夫婦仲は悪くなっていた。
私は旦那のボナムに対する対応が
ずっと気に食わなかったし
教育のスタンスの違いに何度も喧嘩した。

「ボナムだって、、、」
「ん?」

「ボナムだってこんな小さな体で一生懸命生きてるだよ!
 がんばってこの環境に適応しようとしてんだあああ!」

…じゃぁ、俺2-3日実家に帰らせてもらうわ。
 無理だもん。」

その時の旦那の顔は限界を突破したせいか、
笑っているのだか、怒っているのだか
もはや岩なんだかわからない、
ジムリーダータケシのような表情をしていた。

いつもいつでもうまくゆくなんて
保証はどこにもないけど
(そりゃそうじゃ!)
いつでもいつもホンキで生きている
こいつたちがいる

めざせポケモンマスター / 松本梨香 

そりゃそうじゃ!じゃねーよ!オーギド博士よ!
私はこの子を選んではいけなかったのかなぁ、、、
憧れの犬の飼い主になりたかっただけなのに

何も知らないボナムが見つめてくる。
私は、私は、、、この子を守らないといけない。
しかし、旦那の疲労困憊度も理解できる。

アニメの主人公のように
「俺は〇〇になる!」と言い続け進めば
なんとかなる世の中だったらいいのに。。。

大べそかいている私は「固くなる」を選択し
防御力ランクを1段上げることしかできなかったーーー。

サポートしていただきありがとうございます!サポートは全てボナム(愛犬)に還元しようと思います^^