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#24 そしてジャック・バウアーになった

【前回の内容】↓

その日から私の24時間体制は始まった。

「クロエ、端末にクレートトレーニングの
 詳細を送っておいてくれ」

何を言っているのだかという顔でたたずむ旦那が居る。

師匠は言葉通り、24時間(真夜中も)
2〜3時間クレートに入れ10分出すということを
私たちにお願いした。
単純計算で3時間入れたとしても、
1日に8回はクレートから
出し入れをしなくてはならない。

私が自宅警備員の身で良かったと思った瞬間だった。
もしや、私が職を止めたのは
彼のオシッコのために24時間クレートから
出し入れするためであったのだと思う(ぇ

仕事をしているクロエ…いや旦那には
さすがに真夜中に起きてボナムを
クレートから出してとは言えない。

私はボナムのオシッコと分離不安を改善するという
責任感からか、ナチュラルハイとなり
自分のことを本当に
ジャック・バウアーのように思い始めた。

並ならぬ決心をしている私を見つめるボナムに
俺は甘くないぞ‼」とジャックの台詞をかました。

それから2週間、24時間体制で私は寝る間を惜しんで
ボナムのクレートトレーニング(ミッション)を遂行した。

ボナムが見当たらない時は
旦那に
ボナムはどこだ、吐けー‼」とかましたり
いつもなにか見えない敵がいるかのような
緊張感を持っていた。

3時間クレートにいるのが
平気になったボナムではあったが
さすがに真夜中に起きてトイレをさせるのは
俺もしんどかった、、、(俺って言ってる

クレートから出し
「オシッコぴっぴー」と掛け声をかける
しかしながら、まだこの掛け声で
オシッコはしてくれないので
眠い目をこすりながら
ボナムの放尿タイムまで待たなければならない。

私は自分のメンタルを折らないように
時折、バウアーを憑依させた。


「時間がない、さっさとやるんだ‼」
「…頼む、オシッコを出してくれ‼」
「それしか選択肢がないんだ!!」


バウアーの名台詞を連呼し
架空の銃を手に持ちながら
なかなかしないボナムの放尿を待つ。

その時私は誕生日を迎えたばかりで(今年三十路)
きっと20代の24時間より
30代の24時間の方が貴重だ。
無情にも、若い時より時が過ぎるのが早い。

しかし、30歳になった私の24時間は
ボナムのシモの世話でいっぱいとなり
何をしていても、3時間経つと

「あ!!ボナムにオシッコをさせてなくてはいけない!」
「あ!ボナムにう○こさせないといけない!」

と追われるようになった。

残念なことに分離不安症でもあるので
出している10分間は
必要以上なスキンシップはもちろんとれない。

ボナムもクレートから出されては
シモをせかされるので
なんともいえない妙な顔をしていた。

それもこれも君のためだ。
明るい家族の未来のためだ。

「本当にすまないと思っている」

まだ幼いボナムには酷だが
三十路のバウアーを信じてほしい
この経験が私たちを救うのだと

明るい未来の24時間のために、
私たちは今この24時間を懸命に生きるしかないのだーーー。

サポートしていただきありがとうございます!サポートは全てボナム(愛犬)に還元しようと思います^^