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#22 ディズニーマジック

【前回の内容】↓

しつけ教室に向かう朝が訪れた。
この日をどれだけ心待ちにしたことか。

いつもはうるさいボナムの要求吠えも
ディズニーアニメに出てくるような
鳥のさえずりに聞こえてくる。

今日でなにかが変わる気がする。

私はディズニープリンセスのような軽快なステップで
ボナムのゲージまで向った。

目の前に散乱する、う○こも
血眼になっているボナムの目も
今日はとてもポップに見えた。

「うふふ、今日もブリブリご苦労さま♪
 あなたとっても可愛いわね♡」
※もちろん、口調はディズニープリンセス風

近づくと、嬉しさのあまり失禁するボナム。
だが私には希望しかないので
その尿のしぶきで虹が掛かったように見えた。
今の私は無敵、だって、だって、だって!!

私にはしつけ教室があるもの〜!

気分はお城に向かう気持ちだ。
エルサが氷の階段を上がっていくかのように
汚いトイレシーツを持ちながら廊下を駆け抜ける私を
夫は冷ややかな目で見ていた。

悩んでいたことは
嘘みたいで
だってもう自由よ
何でも出来る
どこまでやれるか
自分を試したいの
そうよ、変わるのよボナム

Let It Go / 松たか子
※太文字は替え歌

ルンルンと浮かれる私をよそに
旦那はちゃくちゃくと支度をし
ボナムをクレートに入れた。

「置いていくよ?」

ふっと現実に戻った。
あまりにも空想に浸っているあまり
なに1つ用意をしていない。
ディズニーでは、鳥や鹿たちが
身支度を手伝ってくれるはずなのに…

ここは湘南。
ただ小汚い三十路が、歯すら磨かずルンルンと
しているだけだった。
私は、お城に行くのではない。。。
しつけ教室に行くだけだ

目の前に居るのは王子ではなく
ただの育犬ノイローゼになった夫と
プルートではなく
分離不安症疑惑のビションフリーゼ。

「あ、5分で用意します…」

目の前の夢の世界を堪能するまえに
チケット代を支払う時のような冷静さが
急にふりかかる。
三十路女は支度をし、馬車でなく
ただの軽自動車に乗り込むしかない。

ディズニーアニメだったら
この物語をどう描いてくれるだろうか。

リトル・分離不安?
ビションとさんじゅう?
そもそもディズニーで取り扱ってくれる内容なのか…

そんなことをぼんやりと思いながら
車はどんどん進んでいく。

誰か、この物語の終着地を教えて下さいーーー。

サポートしていただきありがとうございます!サポートは全てボナム(愛犬)に還元しようと思います^^