スマホ依存の正体、ウワサ好きな私たちは生きるのに必死
こんにちは、"_dawn_"です。
先週、スマホにまつわる投稿をしました。それに関連してSNSとスマホが強烈に人の注意を引いてしまうメカニズムについて面白い話を聞いたのでシェアします。
人類は噂話が生死に影響した
噂話をするのは生き残るため
人間は本能的にゴシップや自分の話をしたがる傾向にあり、人間の会話の6割は噂や自分の話で占められていると言われます。この本能は、遡ると狩猟時代から続いていて、人間の脳がそうするようにセットアップされて進化してきたそうです。噂話をすると、脳内で報酬ホルモン(ドーパミン)が分泌されるようになっていると。
なぜ、こうした機能が脳に備わっているのでしょうか?
噂話をすることに報酬を与えるのは、何が狙いなのでしょうか?
一言で言うと、それは生存確率が高まるからです。
どういうことか?
進化の過程を見ていきましょう。
人類の生命を最も脅かしていたのは何か?
狩猟時代、人類は何によって一番命を落としていたか?
飢餓、病気、野生動物、そのいずれでもありません。
それは、同じ群れの仲間による殺害でした。
というのも、当時の成人の頭蓋骨を調べると、10~15%には右利きによる打撃の痕が見つかっており、これは集団内で除け者にされた個体が排除されていたものと考えられています。
群れで狩りをして、成果を山分けする。そんな中で、成果に貢献しないのに食料だけ食い潰す個体は、平く言うと邪魔な訳です。
では、農耕時代に移行したら、仮で役に立たない個体も邪魔者扱いされなくなり、仲間同士による殺害も減ったのか?
答えはNoです。
農耕時代に移行すると殺人率はむしろ増え、成人の頭蓋骨に損傷がある割合は20%に達したのです。これは、集団生活が密接になることで、人間関係の摩擦が増え、トラブルによる殺害が多発したからと考えられています。
今日の話の本題はここからです。
噂に参加することで生き残る
邪魔者の排除に噂を使うのは人類のお家芸
集団生活に伴い、群れの中でトラブルが起きるのはわかると。
しかし、疑問なのはそれと噂話がどう関係しているのか?ですね。
実は、言葉を持った人類は、直接自分で手を下す代わりに、噂を使って集団の意思を操作して、邪魔者を排除する方法を身につけました。
「あいつは役に立たない」「あいつはこの群れに必要ない」と噂を立てることで、最終的にその個体が集団によって間引かれるように仕向けるのです。
なぜそんな回りくどいことをするのか?
それは簡単な話で、自分でやたらめったら手を下してしまうと、自分自身が危険人物としてみなされてしまうからです。
ということで、危険人物を排除するための噂を広めることで、物理的な殺人の代わりに社会的な制裁を行う手段が確立されたのです。これにより、集団内で有害な人物を排除し、効率的な生存が可能になりました。
周囲の人間の情報が気になるのは人間の生存本能
そういう訳で、噂話に参加するというのは、邪魔者を間引くための会議に参加することと同義で、ここに参加できていないと、生存において大きなリスクとなる訳です。
だから、周囲の人間関係に関する噂話というのは、強烈に人の本能を刺激するのです。生き残りがかかっている訳ですからね。
さて、すでに察しのついている方もいらっしゃるでしょう。
現代人にもこの噂話に過剰に反応する本能は残っています。
LINEやInstaなど、SNSで知り合いと連絡を取り合うというのは、実態はさておき、私たちに「みんなの話の輪に入らないとヤバい!」と本能を強烈に刺激します。
もともと人類は150人程度の小集団で生き残るよう脳がセットアップされています。情報社会になって、数百人数千人の人と、インターネットやSNSを通して繋がっている状態は、脳からすると全くの想定外の状況な訳です。
脳は情報の洪水にパニック状態となります。SNSで他人の噂を共有したり自己アピールすることは、食欲や睡眠欲以上に強い「つながり欲求」を生む要因となっています。
また、自分自身で投稿して、SNSの中で存在感を示すのも、知り合いの中で重要な存在であることを示したいという本能が根底にあるのです。
「SNSの投稿に熱心な人は自己承認欲求が強い」みたいな説もありましたが、それは後付けの説明。それは単に目立ちたがりなのではなく、古代の集団生活に基づく生存本能の延長なのです。
生存本能から自由になろう
また、冒頭に紹介した投稿にもあるように、SNSを見るインターフェースであるスマホもまた、強烈に本能を刺激するものです。
人間は報酬を得るための行動に対して強い本能を持っています。狩猟時代において、木の実を探したり獲物を探しに自然を探索する際、必ずしも成果があるとは限らない中で、それを手にしたときに脳に大きな報酬が与えられます。
この不確実性の中で得た報酬が脳内に快楽物質をもたらし、人間はその行動を繰り返すよう進化しました。そうすることで、生き残る可能性の高い行動を促進していたのです。
実際のところは、逐一スマホを開いてSNSやネットをチェックしなくても、全く問題なく生きられます。しかし。そんなことは狩猟時代の脳には区別できず、全て重要な報酬として認識され、無意識に確認したくなるのです。
このように、人類の脳は100万年以上前の狩猟時代に進化したままで、現代社会のデジタル環境に適応しきれていません。その結果、SNS上での自己アピールしたり、誰かの投稿やメンションが気になって仕方がないのは、人間の生存本能に根差しているのです。
情報やつながりを得ようとする衝動は、脳が生存に関わる重要なものとして誤認するため、食事や睡眠よりも優先されます。これが現代におけるSNS依存や噂文化の背景にあるメカニズムなのです。
でも、それがそうだと分かれば、対処のしようがあるというものです。
前回の投稿で、スマホを寝室に持ち込まない作戦を継続していますが、朝かなりスムーズにベッドから出られるようになりました。仕事中も基本プライベートの端末はカバンの中に入れて持ち歩きません。
本当に自分がやりたいことをやるために、生き物としての本能にうまく対応していきたいものです。ではまた!