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「2024年3月の珈琲 Congo:かわいい犯人」

ちいさなくちばしをめいいっぱい広げてくわえていたのはそのくちばしには大きな金柑ひとつぶ。

金柑盗むかわいい犯人は空を羽ばたくヒヨドリだった。

Congo:かわいい犯人
ぽとりと降ってきた金柑ひとつぶ
空を見上げて首をかしげていたら
金柑の木ががさりと揺れた
飛び立ったのは
大きな金柑をくわえたヒヨドリ
金柑盗むかわいい犯人見つけた
鳥がついばむ軽やかな酸味

金柑がわさわさとなっている。

そのことに気がついたのは、空からぽとりと落ちてきたひとつぶの金柑からだった。

庭先に金柑を植えているご近所さんが多い。

黄金色の小さな実は緑色の葉っぱに負けないくらいぎっしりと木になる。

わさわさとなっている、それはとても正しい表現だと思う。

そんな金柑が空から降ってきた。

思わず、空を見上げ、首をかしげた。

もちろん、空に金柑がなっているわけもなく、頭上には電柱と電柱を平行に結ぶ電線があるだけだった。

がさり。

数メートル先にある金柑の木が揺れた。

わさわさと金柑がなった木だったからだろう。

その揺れ方はがさりと重みのあるものだった。

重みがあったのに、そこから飛び立ったのはキジバトより体の小さいヒヨドリだった。

ヒヨドリはくちばしをめいいっぱい広げて、そのくちばしには大きな金柑をひとつぶくわえていた。

空から金柑をぽとりと落としたのは、ご近所さんの庭先から金柑を盗んだヒヨドリだったのか。

かわいい犯人見つけた。

かわいい犯人はくわえた金柑をまた落としそうになりながらも、翼を懸命に羽ばたかせて、飛んでいった。

まだ、寒さを感じる日に見かけたのは金柑を盗むかわいい犯人でした。

この感じを珈琲豆で表現するなら、何がいい?

そう思い、選んだ珈琲はCongo。

そして、焙煎度合いは鳥がついばむような軽くすっきりとした酸味が味わえる中煎りにしてみました。

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