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将来の夢がない慶應生が自己啓発本を100冊読んで気づいたこと
前段
高校まで「部活」や「勉強」という単一指標のレースで勝ち抜いてきた自負のある自分。そんな井の中の蛙が大海に出て2年が経った。大学生は意外と忙しい。授業にサークル、バイト。社会人の真似事をしようとインターンをはじめたり、大学生の真似事をしようと恋人とディズニーにいったり。
だが、社会人はもちろん、"大学生"をこなせた自信はない。そして、就活用に捻り出したガクチカを前に「自分の実力はこんなものではない」と現実逃避のために自己啓発本を買い漁り、半年で150冊は読んだ。
自己啓発本なんて意味がない
どの本にも大抵こんなことが書いてある。
恐怖を計算せずに飛び込め。行動が大事。
周りに合わせて時間を無駄にするな。孤独に耐えろ。
無意味にスマホをいじるな。本を読め。
今日が人生最後の日のつもりで生きろ。
これらの言葉が本当に大好きだ。目にする度に企業で成功したり、連日メディア出演をしたり活躍している周りと自分を比較して現状に腹が立ち、「明日から変わろう」と心に誓える。
だが、翌日は相変わらず9時に起き、スマホをいじって時間を浪費する。
自分はリミットを外せる側の人間ではなかった。
タイムロッキンングコンテナでスマホを閉じ込めようともしたが、不運にも長押しで解除できることを発見して以来、部屋の隅で埃をかぶっている。
その癖、変われない自分の心の弱さにいつも失望している。なぜ覚悟が湧いてこないのか。
それは多分、心のどこかで変わる必要がないと思っているからではないか。
こと就活に関しても、戦コンや外銀の志望者には到底敵わないレベルまで水を開けられている。
それでも、将来路頭に迷う想像はできない。裕福でなくとも実家暮らしということもあり、すぐに食いっぱぐれる心配はない。
このように、「自己啓発本なんて意味がない」という人のほとんどは、変える必要のない人生を送っているだけなのではないか。
負け癖
こうして井の中の蛙は"負け癖"と引き換えに悔しさを失い、"ほどほど"を覚えて社会に出ていく。昇進できるかもしれないし、適応できず心を病んでしまうかもしれない。いずれにせよ、「何者かになりたい」願望を一時の戯言としてしまいこみ、年収1000万を夢見て働く。
ここまで想像しても、なぜかこの期に及んで根拠のない自信は消えていない。前述した周りの成功者を見ても憧れはなく、「自分も何者かになれる」という思いは消えない。
この行き場のない虚栄心をどうしようもなく叩き潰したい。このまま40代になり、居酒屋でifを語るおっさんにはなりたくない。
死ぬ気で頑張れる唯一の方法
インプットはもうこりごりだ。いくら言葉に触れても変われないなら残る方法は一つ。
変われないと死ぬ環境に身を置こう!
ルールは簡単。休学して全ての収入源を断ち切り、実家から出る。身一つで家賃1万円台のアパートに住み、仕事を見つけるところから始める。途中で逃げ出したなら大成功。変われない人間として晴れて虚栄心を捨て、レールに戻って新卒会社員として生きよう。「もし時間があれば自分も」なんて一生言わず、、
もちろん、変われたら、もっと大成功。
期間限定の切符
営業やマーケティングのスキルなど、利益を生み出す職能を何も持っていないので、勝ち筋は全く無い。
でも、大学生というだけで会ってくれる大人もいる。
「英語喋れる慶應生なんて5万といるし、学生にgiveなんか求めてない。ただ、こうやってDMして即日飛行機で会いにくる学生に会えた時点で面白いから、それがgivだ」
これは、ある経営者に思い切ってXでDMし、翌日飛行機に乗って会いに行った時にかけられた言葉だ。
騙され、搾取され、痛い目を見るだけの一年になるかもしれない。
でも、一年後、家にしまい込んでいた自己啓発本の言葉は全く違ってみえると思う。
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