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「サッカーで飯を食う!」/Insight #9 イベントレポート

サッカーで飯は食えるのか?ひいては、好きな仕事で飯は食えるのか?
スペインで活躍中の池田亮太さんに、スペインでのサッカー事情、スペインと日本の文化の違いなどをお聞きしながら、サッカーに関わる仕事に就くために必要なものは何かを探っていきます。


<登壇者紹介>
ゲスト 池田亮太氏
1985年10月東京都多摩市生まれ。FC多摩、日本学園高等学校卒業後、2004年にスペインへ渡航し複数のチームでプレー。現役時代にスペインサッカー協会指導者ライセンスを取得する。現在もスペインにて、FUTCOACH10と業務提携し外国人に向けての指導者ライセンス取得プログラムを展開、さらには食品販売の会社も経営するなど活躍中。

ゲストコメンテーター 續木智彦氏
西南学院大学サッカー部監督

司会進行 和田タスク
前FC町田ゼルビアスタジアムDJ

プロのサッカー選手だけがサッカーに関わる仕事じゃない

タスク:第9回インサイトは「サッカーで飯を食う」というタイトルを掲げました。今回は、ゲストに池田亮太さんをお迎えし、續木智彦先生、そして、私和田タスクでお届けします。

池田:よろしくお願いいたします。

タスク:早速ですが、「サッカーで飯を食う」を考えた時にぱっと思い浮かぶのは、プロサッカー選手だと思うのですが。
池田さん自身、スペインでサッカー選手をしていた時はプロ契約を結んでいたんですか?

池田:お金をもらいながらやってましたが、それだけで生活できるレベルではなかったので、いわゆるセミプロですね。空いた時間は、マドリード市内の日本食屋さんでアルバイトをしていました。
スペインだと指導者も選手も、サッカーだけで生活している人の方が割合的には少ないです。チームメイトには、プロクラブのフィジカルコーチをしながら選手をしてる人もいましたね。

タスク:やはりサッカー選手としてだけで生活するってなかなか難しいですか。

池田:そうですね。スペインのサッカーチームでいうと、1〜4部ぐらいだとサッカーだけで生計を立てられると思います。僕のチームは6部でした。

タスク:續木先生もサッカー部監督という形でサッカーに関わられていますね。サッカーで飯を食うための仕事は、プロ選手だけではないということですね。

續木:そうですね。他にもサッカーに関する研究や、選手のメンタルサポートなどもサッカーに関わる職業だと思います。

タスク:僕自身もサッカークラブのスタジアムDJというちょっと特殊なことをしています。
日本ではサッカーに関わる仕事に就くのは難しい気がするんですが、スペインだとそのあたりはどんな感じですか?

池田:スペインでのサッカーは、スポーツの枠を超えて1つの文化になっています。
例えばスタジアムの近くにある印刷会社は、プロクラブのユニフォームに選手の名前を入れる仕事を請け負っています。そこの従業員が昔サッカーをしていたり、元プロ選手だったり。
サッカーが自然とそばにあるので、「サッカーが好きだったら」いつの間にかサッカーに関連した仕事をしてるという感じですね。

タスク:羨ましいですね〜!
その話だけでも、地域ぐるみ街ぐるみで回ってるというか、サッカーが根付いてる感じがしますね。
日本の多くのサッカー好きな人たちは、見るだけでいいやぐらいだと思うんですよね。まぁ関わりとしてはそれでも十分なんですけど。サッカーが好きなのであれば仕事にもしたらいいのにって思ったりしますけど、甘いですか?

池田:いや僕も本当にそう思いますね。自分が好きなことをどうやったら仕事にできるか、それでどうやってご飯を食べていけるかということをもっと追求してもいいのかなって思っています。


周りからどう思われているかにとらわれず、いろんなアプローチを仕掛けてみよう

タスク:実際のところ、サッカー選手としてプロになるのはなかなか難しいですよね。どっかで諦めるというか。サッカー頑張ってもプロになれないなら、勉強して就職してという人が多いと思うんです。

池田:どこでプロを目指すかっていうのもあると思いますね。スペインでは無理でも、モンテネグロでなら十分生活できたりしますから。

タスク:なるほど。国を変えたら新しい可能性が生まれるかもしれないってことですね。スペインや日本でプロになりたいのか、それともサッカーでプロとして生きていきたいのかっていうところですね。
どんな職業にも言えることかもしれませんが、大きな枠で捉えて、好きなことがあればいろんなアプローチを仕掛けたらいいってことですね。

池田:アプローチもそうですね。あと、僕個人的には、ステータスをすごく意識する日本文化の影響も大きい気がします。学歴とか、どこで働いてるとか、年収とか、そういうことを気にしていると、好きなことを仕事にするには厳しいんじゃないかな。

タスク:非常にわかります。ステータス的なところは文化としてそうですね。どう思われるかっていうのを気にしてしまう。「お前いつまでサッカーやってんだ」ってことになっちゃうね。

池田:スペインは周りからどう思われるかっていうのはあまり気にしない文化だと思いますね。

續木:大学生を見てると、サッカーに集中できる環境を提示されても、結局のところ安定を求めて、それなりの企業に就職するパターンが多いですよ。サッカーキャリアは一旦終わらせる学生がほとんどです。

タスク:将来のことを考えてしまうのかな。

續木:そうでしょうね、サッカーができる時間とか、その後の人生とか。人って好きなことを一生懸命追求した人の方が、最終的にお金も稼ぐんじゃないかと僕は思ってるんですけど。

タスク:池田さんは将来のことを考える方ですか?

池田:僕は気にしないですね。先のことを考えると何もできなくなっちゃいますから。1番自分がやりたいことに全力でチャレンジしたらいいっていつも思ってます。人間生きてる限りいつかは死ぬわけで、その限りある中で、自分の好きなことややってみたいことをセーブして生きてくのはもったいないと感じてしまいます。

情熱を持ってオールインして、とにかくチャレンジ!

タスク:結局、好きなことを仕事にしていくために必要なことって何でしょうね。まず1つは今までの話からチャレンジというかやる気というか、エネルギー。それ以外に何が必要ですかね。

池田:僕だと語学力でしたね。

タスク:なるほど、世界につながる言語ですね。續木先生はどう思いますか。

續木:どれだけ本気になれるか。やっぱりそこに尽きるんじゃないかな。

タスク:エネルギーと語学力があれば、好きなことに飛び込める!これはもう、何に対してもそうかもしれませんね。
池田さん、強いてもう1つぐらい、これがあればというものはありますか。

池田:いやもう本当に、情熱を持っていかにオールインしてチャレンジしていくかが全てだと思いますね。

タスク:冒険というか、旅に出れるかどうかってやはり大きな一線。飛び込んで自分の人生試してみようと思えるかどうか、ここがかなり大きいようですね。


皆さん、たくさんのコメントありがとうございました

タスク:参加者さんからメッセージをたくさんいただいています。紹介させていただきますね。

タスク:アベさんからいただきました。
「息子がサッカー大好き少年で、将来サッカー関係の仕事をすることを夢見ているようです。一方で、プロ選手や指導者として活躍するのは狭き門だと思っています。スペインのようにサッカー文化が根付いた国において、サッカーのすそ野がどこまで広がっているのか知りたいと思い参加しました。」
ありがとうございます。アベさんのような方に参加していただいて嬉しいです。すそ野が広いというのは、サッカーに関わる仕事に就くのが自然な流れだということからもお分かりいただけたかと思います。あと、ぜひ推しのチームを見つけてもらいたいですね。そこから始まる気がします。

タスク:続いてナナさんのコメントです。
「サッカーが生活に根付いた文化ということについてイメージを持ちたいと思っていました。」
サッカーが日常にあり、地域ぐるみ、街ぐるみということでしたね。
池田さん、スペインではサッカーチームの方からのアプローチみたいなこともあるんですか?

池田:チームからアプローチというより、スペインにはどんな小さい村にもサッカー場と教会があると言われています。あと、グラウンドには必ずカフェテリアがあります。なのでサッカーを見に行くというより、そこに集まって家族や友達とコーヒーやお酒を飲む感じで、要は、集まる場所がサッカーグラウンドってことですね。

タスク:これです、ななさん!いただきました。もうこれですね。
コミュニケーションツールの1つとしてサッカーを捉えることで僕らの感覚も変わるんじゃないかな。あともう1つ、ハード面で、やっぱりグラウンドがあったらいいよね。いやもうありがとうございます。

タスク:キムさんからいただきました。
「サッカーをメインに、スポーツを専門的に取り扱う行政書士として業務を展開しようと思っています。」
サッカーに関わる職業でも数少ないレアな方ですね!cloud9一同応援してます。

タスク:キタムラさんからです。
「選手や指導者以外にも用具係とか、芝のメンテナンス係などもきちんと仕事になってるイメージです。クラウドナインの集まりもサッカーに関わってますね。」
確かに我々もそうですね。グラスキーパーという仕事で関わりもありですね。

タスク:カタガワさんから、
「チャレンジしてみたらどうかということについては、失敗したらどうするんだと思う人が多いというのは何となく肌感としてあります。」
失敗したらどうしてくれんだと。その程度の思いだったというのはあると思うんですが、親なんか特に心配だから言いそうですね。

池田:僕は選手に「チャレンジして仮に失敗しても、チャレンジし続けていればその失敗は必ず取り返せる時が来る。チャレンジをせず、チャレンジしなかったことを後悔してもこれはもう取り返しようがない。」ということをよく言っています。

タスク:本当にそうですね。チャレンジしたことで得られることはたくさんあります。やらないよりはやった方がいい!

タスク:最後に、高田さんから鋭い質問です。
「本気度ってどうやって高めるんでしょうか?」
これはなかなかいい質問ですね。どうやったら高められるんでしょうか?續木先生お願いします。

續木:難しい質問ですね。指導者として僕ができることは、面白さを伝えること、そして、できるようにわかるように教えることを繰り返すしかないのかな。物事の捉え方は嗜好の問題もあるし、家庭の影響もあるかなと思っています。

タスク:さすが教諭ですね。自分が大切にしたいことがわかるように、自分と向き合う時間を増やしたりそのためのヒントを与えてあげたりすることで、本気度も上がってくるんじゃないかと思いますね。
紹介できなかったコメントもありますが、みなさんメッセージありがとうございました。

次回の案内と「The Blue Print」のお知らせ

タスク:ではここで次回のご案内をさせていただきます。次回インサイトは、第10回新春スペシャルです。2024年1月5日金曜日の20時から、ゲストには、山梨学院大スポーツ科学部教授の笠野英弘さんをお迎えします。

タスク:そしてもう1つお知らせです。「The Blue Print」という僕たちが運営しているオンラインコミュニティがあります。今日の議題に対してのあれやこれやを展開していますので、ぜひこの機会に入っていただき、一緒に議論を深めていただけたらと思っています。何卒よろしくお願いします。
最後に、池田さん、今日の率直な感想をお聞かせいただけますか。

池田:サッカーに限らず、本当に自分の好きなことにチャレンジしていけるような人たちがどんどん増えてくれたらいいなと思っています。

タスク:そこに向けて、池田さんにはガシガシ発信していただけたらと思っています。ありがとうございました。
第9回インサイトは「サッカーで飯を食う」と題しまして、池田亮太さんをお迎えし續木先生とお届けしました。皆さんご参加いただきまして本日もありがとうございました。

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