人間交差点4号【鬼浜爆走愚連隊】
隠岐田「成る程、そういう事か…それなら言いたい事はわかる。」
大坪「でも実際にソレをどうするかは売り子を雇ってる俺達個々で決める事だろう。オマエに言われなくてもわかってる。」
宮野「俺も同じ大坪と意見だ…佐藤は」
俺「うーん。」
さて、寝る前に4号機の話をしようか。
鬼浜爆走愚連隊。字体を見てわかるこのバリバリヤンキー感。
スペックはストックタイプのAー500とちょっと珍しい払い出し枚数の一台だが、中身は名前に負けず硬派なシステムで設定変更後が強い台でイベント、イベント後の朝イチが強い台でしたな。
私はけっこう打ちました、演出面白いし。
隠岐田「だったら仲間内の誰かがたれ込んでんだろうがよ!バカでもわかるんだよ!クソがよ!!」
二十歳にもなって金髪ロン毛ガルフィーの隠岐田が怒鳴り声を出して立ち上がった。
隠岐田「じゃなけりゃあんなタイミングと場所にサツがくるワケねーんだからよ!なぁっ!」
二十歳の金髪は声がでかい。
ソコには私も含め4人いたが、話の内容が内容だけにシリアスな雰囲気だった。
ナゾの草の栽培、包装、流通がそこそこ成功していたもんだから初期のメンバーは売り子を雇い始めた…が、隠岐田の売り子がまとめて逮捕されてしまったのだ。
いきなりの出来事で困ってしまってワンワンワワーンなのである。
隠岐田は怒り狂っていた。商売が上手くいってる自分の足を誰か仲間内が引っ張ってんじゃないかと…シャブ野郎の典型的な勘繰りでもあった。
隠岐田「わかってんだよ!俺が一番調子良いもんな!四肢身中の虫は誰なんだろうな!」
聞き間違いかもしれない。しかし相手はシャブ初段だ、慎重さが重要だ。
俺「落ち着けよ隠岐田、今オマエは俺等に向かって何の虫って吐いたんだ?ん?」
隠岐田「四肢身中の虫っていったんだよ…これで聴こえたろ?
言ってるな。間違いなく。
獅子身中の虫じゃない四肢身中の虫…いや、あるのかも。そんな言葉も虫もあるのかもしれない…私も眉間にシワが寄る。
宮野「四季身中の虫なんて言葉を使うな、冷静になれよ。ソレをやって危なくなるのは俺等も同じだ、得する人間なんて考えればいないはずだ」
成る程、次は季節が流れるか。ここで確信にいたる、四肢も四季も身中に虫がいるなんて言葉はない、ここは俺が俺を信じるしかない…と。
よく考えてみたらコイツ等全員中卒どころか小卒か保卒だ。話が噛み合わないのは今に始まった事じゃあない、ここは私が冷静に…。
大坪「俺は話はよくわからないが…2人の意見には反対だな。」
わからないなら黙っていて欲しいと思った。かけ算も五の段までしか言えないんだから口を開かないで欲しかった。
私を除いた三人の造語混じりの言い争いがヒートアップしていく。
ヤンキーの造語作成能力ってのはどのジャンルにも引けを取らないんだなと感動すら覚える、もう仏恥義理。
そんな罵詈雑言が飛び交う中、私の弟がその場に現れる。腕っぷしと気性が荒かった弟が来たせいか皆が黙り込む。
弟「なんだこれ?みんなケンカしにきてんの?なぁ?」
ピリピリした空気に頭を押さえ付けられながらも説明をした。兄も弟も無いのを知っていたから慎重に。
説明を終えた瞬間、弟は笑いながら私達に語りかけた。
弟「オマエ等はバカだな。見えない存在に怯えてあーでもない、こーでもないと」
皆が下を向いた、私も宮野も隠岐田も。大坪は犬を撫でていた。
弟「トロイの木馬って知ってるか?知らないだろうな。オマエ等は今それにビビってるんだ。無いものにビビってる、ビビってんじゃなくて今目の前の事やれよ、腹括れよ、なぁ。」
いや、ある。トロイの木馬はあったものだし無いものにはならない。
親族がバカだ。最悪だ、メジャー級のバカ。打ったら三塁に笑顔で走ってヘッドスライディングするタイプ。
隠岐田「わかったよ。その通りだ、今いる売り子でなんとかするよ。悪かったな。」
宮野「確かにそうだな。俺は今までどうりするさ。」
大坪「俺は二人と同意見だ。佐藤は?」
俺「…今日は疲れたから帰るかな。うん。」
俺には通じず他の3人には理解出来る世界。俺がおかしいのかもと考えていた。
朝9時…4人を置いてちょっと息抜きにスロットを打ちにいく。
全日高設定であったろ鬼浜にたまたま座る事が出来て安心するモノのレバーを叩いて思い出す。
この台…バリバリヤンキーの造語ばかりなんだよな。って。
げんなりした顔でレバーを叩く。
正しい日本語…使ってますか?皆様。
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