人間交差点4号【功夫列伝】後編
ヤマケンは自分達の知らない先輩達から金をせびられてだんだん額も大きくなり金を渡せなくなり自殺を選んだ。
大人になった今なら思うよ、そんな事逃げれば良いさ死ななくても良いのに、って。
でも、狭い世界で生きていて逃げれなくなった気持ちも未だにわかるよ。
棺桶に入ったヤマケン最後に見た時よりアザだらけの顔で首に布がかかってた。
どこかいつもチャラチャラしていた皆が怒りに溢れ返りそうな表情で、きっと自分の顔もそんな表情だったんだと思う。
ヤマケンの隣で母親が泣いていた、片親だったのも初めて知った。
俺達は、何も知らなかったんだ。
御通夜が2日後にされると聞き部屋に戻った。
「葬式だから包んでかなきゃだよな」
そうだなと思ったがいくら包んでいけば良いのかもわからない、教えてくれる周りの大人もいない。
俺「1人1万くらいなんかな?おまえ等いくら持ってんの??」
数えてみるものの圧倒的に足りなかった。
代表で3人、私と友人2人、2万円足りないってんでパチンコ屋に行きどうにか足りない分を補おうとした。
本当バカの極み。
「あ、コレ宵越しなら天井まで200ゲームだ。」
功夫列伝…ありがたい、投資を考えても宵越しならBIG3発で間に合う、いける。
予想は見事的中するんだが、なぜか笑えんかった。
御通夜に行き不謹慎な香典を置き、手を合わせ泣くこともなく式場を出た。
悲しい、辛い、なんか色々あったけど不甲斐ないが一番前にきた。
毎日のように顔を合わせいたのになーんにも知らなかった。
何も言ってもらえなかった、言っても変わらないと思わせてしまった…本当に不甲斐なく感じた。
皆が個が強くなければいけないという意識に変わっていった。
暴力的で営利的で…この部分はまた別の話でしよう。
でも、意識が変わった一件だった。
ヤマケンから金をせびった人間は全員地元からいなくなったけどやっぱり胸は晴れなかった。
ヤマケンの一件は皆の意識が変わった。それが良かったか悪かったかは今でもわからない、私は臆病でしている事に罪悪感を感じ地元から離れたから、悪かったと思っている側だ。
何より悪いのは香典代をスロットで稼ぐ事だ、神も仏も信じちゃあいないがそんな金じゃあ浮かばれんわな。
罰当たりよ、本当。
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