塩野七生『皇帝フリードリッヒ二世の生涯』新潮文庫

11月にヨーロッパの旅行から帰ってきて思ったのことは、中世についてもっと学んでおきたい。知らなければということでした。10年間、少しずつ少しずつ読んできた古代ローマの物語のおかげでローマを歩くのは本当に楽しく、なんでもないような坂さえも、ここをあの英雄たちも歩いたのかもしれない。もう、角も丸くなったなんてことのなさそうな石畳を歩くだけでも、あぁ、ここをローマ軍も通ったのか。と思うだけでワクワクした体験は本当に楽しいものでした。そんな栄華を極め、ワクワクさせてくれたローマが滅んで行った後の世界は全くわからずじまいでした。だから、現代のヨーロッパにのこる中世の街並みを見てもあぁ、絵画で見たことがあるような建物!以外にピンとくるものはあまり感じられなかったのが少し寂しかったのです。日本に帰ったら中世について本を読もう。その気持ちだけで本屋さんに向かったのでした。本屋さんに行けば読むべき本がわかるだろう、と思ったものの、はて、そもそも中世とはなんなのか。ルネサンス?キリスト教について?何について読めばいいの?フランス王朝?ハプスブルク家の伝記的なものあるのかしらん?と探そうとするも、ざっくりとした気持ちではあてもなく、困り果てた結果、馴染みのある塩野七生先生の書棚に戻ってきたのでした。どうしましょう?と思いつつ、でも王朝的なことを読みたいのに塩野先生の専門はイタリア。イタリアに王朝の話なんてあるのだろうか。と思いながら、本を探していくうちに、行き当たったのが今回読んだ、『皇帝フリードリッヒ二世の生涯』でした。
結果的には私にとって大正解の作品でした。
いつもながら、溢れる塩野七生先生の熱い主人公への愛が、先生が惚れ抜いていることが伝わる高い熱量が、その、まるで自然科学とは正反対のような性質をイメージさせるようなものが、科学的な理論を説明するかのように無駄のなく、キレの良いリズムで続いていきます。
あっという間に、フリードリッヒ二世すごい。そりゃ、大変な人だっただろうけれど、惚れますね。の気持ちになっては、日々少しずつ読み進めたのでした。
フリードリッヒ二世は西暦1192年に生まれ1250年にその生涯を閉じます。フリードリッヒ二世亡き後のその後の段では、ハプスブルグ家が20年間空位が続いていた神聖ローマ帝国皇帝に選ばれたことも書かれ、なんだか知ってる名前のハプスブルグ家に繋がった!のでした。

ということで続いては同じく塩野七生先生のイタリア・ルネサンスについて読んでみることにしました。まだもう少しイタリアから離れられそうにないようです。

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Atsuko
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