『Lost in Translation オリジナル・サウンドトラック』を聴いてみた編
こんばんは、内山結愛です。
今回は、映画『Lost in Translation』を視聴し、『Lost in Translation オリジナル・サウンドトラック』を聴いてみた編をお届けします。
舞台は「東京」。都市の喧騒と退屈、孤独で結ばれた男女の出会いと別れ。
繊細なこの物語を甘く儚げに表した一枚です。
是非、読んで観て聴いてみて下さい!
1.Intro/Tokyo
街を行き交う人々の足音、東京の中での生活音、ゲームセンター、駅のアナウンス、車の走る音。34秒に映画の中で表現されていた、東京のキラキラしていてうるさい部分が詰め込まれている。
2.City Girl - Kevin Shields
東京の喧騒から音楽が始まる。My Bloody Valentineらしい、柔らかくゆがんだギターの音色に漂う、低体温な美しさ。この曲はこの映画のためにKevin Shieldsによって作られた。映画の中の東京は基本的に晴れていない。その灰色の曇り空な雰囲気が、この曲からも伝わる。
3.Fantino - Sebastian Tellier
温かくも憂鬱な雰囲気。アコギの音がどこか寂しい。広がりのある伸びやかな音色。同じフレーズがどんよりと繰り返されるところ、不穏なメロディラインに、言葉が通じない不安や、孤独を抱える主人公2人を表しているよう。この曲が流れてる時に、ベッドを降りようとした主人公のシャーロットが足をぶつけるが、足をぶつけても一人(咳をしても一人)状態ですごく寂しい。
4.Tommib - Squarepusher
音の輪郭がぼんやりとしている。夢の中みたいにふわふわ。ここまでずっと、全体的に寂しさが付き纏っている。Squarepusher 激しいイメージがあったからこんな曲もあるのか…!!
5.Girls - Death In Vegas
音がどんどん広がっていく。浮遊感あるサウンド。1:20〜結構バキバキの電子音が入ってくる。美しくて、神聖なる空気感。美しい音に覆い被さるように、ノイジーな轟音が降り注ぐ。後半はレトロゲームのようなピコピコサウンド。東京の街、「三千里薬局」が映る渋谷のスクランブル交差点を、タクシーの中から主人公のボブが寂しそうに眺めているシーン。
6.Goodbye - Kevin Shields
夢の中よりも夢。触れそうで触れない雲みたい。立ちくらみの時に聞こえそうな音。ゆらゆらしている。
7.Too Young - Phoenix
イントロはミステリアスな雰囲気を漂わせているのに、歌が入った瞬間一気に甘酸っぱくてポップな印象になる。胸がドキドキするような高揚感。ウキウキが溢れ出している。
8.風をあつめて- はっぴぃえんど
ここに来てはっぴぃえんどの「風をあつめて」は安心感が物凄い…。一気に空気がほどける。時間の進みがゆっくりになる感じ。夏休みおじいちゃんおばあちゃんの家でだらだらしている気の抜け方。このアルバム唯一の日本のアーティスト。
9.On The Subway - Brian Reitzell & Roger J Manning Jr
東京の地下鉄で戸惑いながら、乗り継ぎ目的地に向かうシーン。コンクリートの冷たさを感じる、バシバシなビート。エレクトロニック。後半の不穏さが気になる。
10.Ikebana - Kevin Shields
Kevin Shieldsの作った曲のタイトルが「Ikebana(生け花)」ってだけでなんだか感動してしまう。映画中に主人公のシャーロットが生花教室を興味深く眺めていたシーンを思い出す。煌めく音色。これがKevin Shieldsの生け花…
11.Sometimes - My Bloody Valentine
ここで登場するMy Bloody Valentine。主人公の2人がタクシーから流れてゆく東京の街の景色を眺める時に流れる。静かなのに轟音なギター。一定のテンションを保っている。ギターに埋もれる歌声。最後までギターは強烈に歪んでいる。2人のなんとも言えない絶妙な距離感を表すような甘酸っぱさとドキドキがある。
12.Alone In Kyoto - Air
京都に到着する新幹線、修学旅行の生徒たち、寺、花嫁和装。厳かな雰囲気が曲の静けさとマッチしている。怪しげなピロピロ電子音。宇宙空間に居るみたい。寂しげなアコギな音色。このアルバムのアコギは基本的に寂しげ。繊細。ジワジワとドラマチックに盛り上がっていく。「孤独」がテーマの曲が多いのも、東京で馴染めずに浮いてしまった主人公の2人に寄り添っている感じがする。3:32〜曲調が変化。より寂しさが増強されている。やっぱりアコギが寂しいし、ピアノの音色は暗い。寄せては返す波の音?が聞こえて終わる。
13.Shibuya - Brian Reitzell & Roger J Manning Jr
不気味な雰囲気。黒い煙が付き纏っている感じ。電子音が徐々に存在感を強めていく。主人公のシャーロットが渋谷交差点、建物の側面に大きな広告を見るときに流れている。2:30〜突然アナウンスが流れる。新大阪行きの新幹線。赤ん坊の鳴き声。
14.Are You Awake? - Kevin Shields
静かに始まる。0:07〜一気にダンサブルにアップテンポに曲が動き出す。音はぽわぽわしているのに焦りを感じる。そして幽玄的。
15.Just Like Honey - The Jesus & Mary Chain
こういう始まり方のイントロ好き。ギターの音がギラギラ。ボーカルにかけられた深いリバーブが幻想的。ハッピーな空気に包まれているが、ラストの別れのシーンで使われる。 最後抱き合った後、ボブがシャーロットの前では、笑顔で振り返りもせず別れるが、タクシーの中で寂しそうな顔をしていたのが印象的だった。この曲をバックに、流れるエンドロールをぼーっと眺める時間とても良い。
16.50 Floors Up - Brian Reitzell & Roger J Manning Jr
最後の曲にして12分間もある…!!エンドロールで流れる曲。ゲームの音みたいだけど、やっぱり切なく寂しい。全ての物語クリアした感。3:20〜一度終わる。続く無音。微かに物音が聞こえる。…幻聴…?11:23〜ここまで耐えた人しか聴けない音楽が始まる。陽気。映画の中で主人公がカラオケで歌ってた音源…?そういうの高まる…。ラッキー!
♦︎映画『Lost in Translation』(2003)
監督 ソフィア・コッポラ
音楽監督 ブライアン・レイツェル
音楽 ケヴィン・シールズ(My Bloody Valentine)
出演 スカーレット・ヨハンソン、ビル・マーレイ、ジョヴァンナ・リビシ
異国の地「東京」で、孤独を抱えた中年のハリウッド俳優 ボブと、若いアメリカ人女性のシャーロット。言葉も通じず、習慣も違う日本に戸惑い、ホームシックになる2人はホテルのバーで偶然出会う。互いの孤独に寄り添いながら、次第に互いの距離を埋めていく。友達以上恋人未満の関係で過ごした短い時間を、切なく繊細に表現した物語。
♦︎『Lost in Translation オリジナル・サウンドトラック』(2003)
参加アーティスト:My Bloody Valentine、Kevin Shields、Air、 Death in Vegas、 Squarepusher、 Phoenix、 The Jesus and MaryChain、はっぴいえんど、Brian Reitzell & Roger J Manning Jr
サウンドトラックの多くはソフィア・コッポラが好きで聞いていた曲たちで構成されているという。
今回サウンドトラックをレビューするのも初めてのことだったし、映画を視聴した上でレビューをすることも初めてでした。“初”が沢山!
自分はいつもホラー映画ばかり観ているので、儚げで甘美な映像やラブストーリーというのも新鮮でした。
行き場のない孤独感や退屈、伝わらないコミュニケーションを表すような音楽たちが、映像の説得力をさりげなく増すようで、惹き込まれました。舞台が東京という所も、海外の人から見た日本人の表現の仕方も興味深かった!
今後も勉強のためにホラー映画以外の映画も観ていきたいな…(ホラー映画も沢山観るぞ〜)
参加アーティストはバラバラなのに、しっかり一枚のアルバムとして気持ち良く聴けるサントラ凄い。
映画×サントラシリーズ第二弾!
次回は、『銀河鉄道の夜』を視聴し、細野晴臣の『銀河鉄道の夜・特別版』を聴いてみた編をお届けする予定です。お楽しみに…!
最後まで読んで下さり有難う御座いました。