「同じ」とは何か?
2022年12月4日追記:ごめんなさい。この記事はあまりに未熟でした。数理論理学ちゃんと学んで出直してきます。
ものごとを考えるとき、「同じ」という概念が曖昧なまま議論が進んでしまうことが多い。たとえば、中学校の理科では「電流は水の流れと同じなんだ」と教わる。これは電流を水にたとえただけなのだが、例え話は本質と同じなのだろうか?
以下では3つの「同じさ」を紹介する。ちょっと難しい話も含んでいるので、うまく読み飛ばしてほしい。今回難しい話をし過ぎたかもしれない。また書き直すかも。
1.同値関係
とりあえず例を挙げる。
たとえば7で割ったあまりを考えると9と16は同値だ。どちらもあまり2だからだ。
生き物を羽があるかどうかで分類するとモンシロチョウとカモは同値だ。
これは簡単に言えばある性質を共有している関係という意味だ。これはまあまあゆるい制約である。たとえば9と16は7で割ったあまりでいえば同値だが5で割った余りを考えると同値ではない。
以下の話は少し難しいので読み飛ばして良い。
~をある関係とする。
このような性質を満たす関係~を同値関係という。たとえば数学の=なんかは同値関係だ。
2.同型写像
数学ではあらゆる場面で同型写像というものを考えることが多い。これは多義語で、代数学における同型写像だとか位相幾何学における同型写像だとかだ。
読者にとっては位相幾何学における同型写像がいちばん馴染み深いかもしれない。
「マグカップとドーナツは位相幾何学では同じ物とあつかう」
と聞いたことはないだろうか。これは要はマグカップとドーナツは同型であるということを言っているのだ。
ここで説明することは厳密には嘘である。わかりやすさのために正しさをある程度捨てたということをご理解いただきたい。
数学ではあらゆるものを「点のあつまりと構造」で考えることが多い。位相幾何学は点の集まりと、点同士のつながり方を考える学問だ。
マグカップのある点からみた別の点のつながり方は、ドーナツにおいても同じようにつながっている。そういうことなのだ。
あらゆる数学のジャンルにおける同型の定義はだいたい以下の感じだ。
「fを関数としたとき、f(a*b) = f(a)*f(b)がなりたち、また逆写f^-1を持つ。」
マグカップの世界でa*bという演算をしてからドーナツに持って行っても、ドーナツに持って行ってから演算をしても変わらないということだ。
高校数学を学んだ人にとって一番イメージが湧きやすいのは2*2回転行列と絶対値1の複素数の関係だろう。「回転する」という本質的性質が同型写像で繋がっている。
3.補足:自然変換
ちょっとよくわかっていないのだが、数学において圏論というジャンルで自然変換というものがあるらしい。これは同型の概念を点の集合以外にも拡張した概念っぽい感じがする。私が理解し次第追記したい。
まあ、だいたいのものは点の集合で表せるのでここまでメタに考えなくてもあんまり実用性ないんじゃないかな。
例
「みかん1個とみかん2個を合わせるといくつになるでしょう」という問題は1+2 = 3という同型写像で結べる。
りんご1個、りんご2個…という概念は整数と同型写像だ。
我々が素朴に感じている空間は、これは(x, y, z)で表せる点の集合に距離の概念が入ったものと同型写像で結べる。この空間に広がりなんてものはないのだ。
シミュレーションの世界とこの「現実世界」だと思っている世界は区別がつかない。われわれは「水槽の脳」なのかもしれない。現実でも握手ができ、VR内でも握手ができるなら、握手という行為については現実世界とVRは同型だ。
人間の経済は、完全にとは言えないが金融工学とかでモデリングできている。これは人間の経済と数式との同型写像だ。
一番の推しの例はこれだ。野球ボールAと野球ボールBがぶつかったとき、ぶつかった後のボールはどちらがAでどちらがBか明確にわかる(あたりまえ)。これはよく見ると、ボールに傷があったりして野球ボールAとBとでは少し違いがあるからである。一方で、ミクロな話、水素原子Aと水素原子Bがぶつかったとき、ぶつかった後の水素原子はどちらがAでどちらがBかわからないということが知られている。AとBは同型だからだ。AとBは全く区別がつかないしつける必要がない。
最後に謝罪
今回いろいろ書いたけどわかりにくい駄文だったかもしれない。ちょっといつか書き直します。ごめんね。