院進と就職で迷った時、どうするか
先週、こちらのご質問をいただきました。
ゆるゆる続けている質問箱ですが、最近は院進関連のご質問をお受けする方が多く、このトピックで悩まれている人が非常に多いことを実感します。
というか悩んでいても、自分の周りにはこのトピックについて相談できる相手がいないのかもしれないですね。私もそうでした。
ーーさて、「院進と悩んだ結果就職を選び、院進しなかったことを後悔している」という質問者さんですが、その上で「一度就職してから大学院に行くと、再就職が難しくなるのでは?」ということを懸念されているようですね。
このご質問の背景としては、すでに質問者さんが「やっぱり仕事を辞めて院進する」という選択をとろうとしていることをなんとなく感じます。
結論から言うと、正直この選択に決まった正解はなくて、「自分のやりたいようにやる」というのが正解になってくると思います。
私個人の意見としては、「鉄は熱いうちに打て」派です(笑)。
今の自分が「院進したい」と思っているのなら、迷いなく院進すべきだと思います。
私のこれまでの経験から言えば、自分の意に反する行動を続けていると、思った以上に自分が疲弊します。
これは私の頑固な性格が関係していることのあるかもしれませんが、自分の思う方向に自分を導いてあげることが、自分を生き生きとさせてくれるし、それが結果的に大きく言えば「人生の豊かさ」にもつながってくると思います。
ーー少し話が脱線してしまいましたが、話を戻します。
ここからは、院進か就職かを迷っている方がどっちに進むか判断する際の具体的な判断軸として、以下の3点を提示したいと思います。
長さは気にせずに伝えたいことをすべて書いていくので、飛ばしながら興味のあるところだけかいつまんで読んでいただけると幸いです(泣)。
大学院に行く目的は何か
まず第一に大切となってくるのは、そもそも「大学院に行く目的は何か?」だと思います。
大学院生のなかには「就活に失敗したから大学院に来た」という人もいて、正直そんな人にはガッカリします。
文理問わず、院に行く人の目的は一重に「研究してみたいから」であってほしいなと思います(単に「もっと勉強してみたいから」という理由もちょっと違うと思います)。
大学院でどんなスキルを身につけたいか
二つ目が、「大学院でどんなスキルを身につけたいか」です。
正直なところ、私自身はここがあまり明確ではなかったなと思います。
なんとなく研究がしてみたくて、論文が読める人とか研究ができる人に憧れていて、じゃあ具体的に研究することを通してどんなスキルを身につけたかったのかというと、あまりそこはクリアではなかったなと思います。
で、ここで逆に言っておきたいのは、「スキルを身につける」という観点で言うと、大学院よりも社会人の方が圧倒的に身につくかもしれないということです。
これは大学院を出てから社会に出た私が実際に今、体感していることです。
具体的には、たとえば大学院ではexcelの関数の使い方とか、パワーポイントの作り方とか、そういう基礎的なことはほとんど教わることができません。
なぜなら言わずもがな、大学院はofficeツールではなく、“研究”を教わる場所だからです。
まあそう考えてしまえば当たり前のことかもしれないですが、
一方、会社であればお金をもらいながら研修を通してこれらを学ぶことができます。
逆に大学院だと、学費を払いながらお金を稼ぐ時間を持つこともできません。
もちろん上記に書いたことは大学院や会社によっても違いがあると思うので、あくまで私の体験談であることをご了承ください。
こうした意味で、単に「卒業後の就職先があるか」という不安が待ち受けているだけでなく、「20代の大切な二年間を大学院での研究に割く」という選択をとることの重さは結構あると思います。だからこそこうしてご質問いただいているのだと思いますが。
実際私は、この春から3歳年下の方々と一緒に、新卒として会社に就職しました。
一方、周りの友人たちはもう社会4年目です。
もちろん就職が遅れたからといって、この二年間何もやってこなかったというわけではなく、「大学院で研究をしてきた」という貴重な経験を経てきたわけですが、
それが社会人として役立つかというと、正直なところほとんど役立たないとも言えると思います。
「役立たない」というか、大学院での経験を通して培ったスキルは社会人でもたぶん身につけることができるし、むしろ社会人の方が量的にも質的にも高度に身につけることができると思います。
長くなってしまいましたが、なので結論としては、あえて厳しめの書き方をすると「社会人の方が広い意味でのスキルは身につくけど、それでも研究がしたければ大学院に行くべき」だと思います。
「研究をする」という営みは間違いなく大学院でしかできないものです。
私自身は鉄を熱いうちに打った結果、心から行きたかった大学院への進学を決めて、本当によかったと思っています。
やってみたいと思ったことをちゃんとやってみることができたので、後悔がないです。
ただ、大学院を卒業して就職した今、どうしてもかなり自分自身の遅れやそれによる焦りを感じていると言う意味で、上記のようにお伝えさせていただきました。
卒業後の就職は意外と心配しなくて大丈夫
最後に三点目としてお伝えしたいのは、「卒業後の就職は意外と心配しなくて大丈夫」ということです(これはほぼ判断軸ではなくてすいません 笑)。
年齢や状況によっては新卒ではなく既卒として就活をすることになるかと思いますが、それでもおそらく大丈夫です。
私の大学院時代の同級生には4年ほどキャリアのブランクがある留学生がいましたが、ちゃんと既卒として会社(しかも日本の)に就職して、卒業することができていました。
私自身も質問者さんと同じ社会科学系でしたが、あまり自分が院卒であることがディスアドバンテージになっていると感じたことはありませんでした。
むしろ考え方によっては(たとえばB4よりもM2の自分の方が総合的な経験値やコミュニケーション能力が上がっていると考えた場合)、院卒であることがアドバンテージになり得るとさえ思います。
これについては、以前にいただいたご質問への回答にもチラッと書きました ↓
ーーさて、思うことを思うがままにダーッと書いてきましたが、そろそろまとめます。
まず冒頭にも書いたように、私個人の意見としては「鉄は熱いうちに打て」です。
そして、「やらぬ後悔よりやる後悔」というのも、私は自分のモットーとしています。
もちろん大学院は後からいつからでもいけるものではありますが、「あの時ああしとけばよかった」と後から後悔するのが一番よくないことだ思います。
どんな行動を起こす時でも、それなりに適したタイミングというのが人それぞれにあると思います。
それが早いとか遅いとかはなくて、自分が「今だ」と思うタイミングで、なんでもまずはトライしてみることが一番だと思います。
どんな方向性のことであれ、実際に行動を起こせる人が幸せをつかめるのだと思います。
質問者さんが、ご自身の納得のいく形で進路を選ぶことができることを願っています。その道が院進であっても仕事であっても、きっと大丈夫だと思います!
ご質問いただきありがとうございました。
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