マガジンのカバー画像

断片

28
短編
運営しているクリエイター

2017年7月の記事一覧

「どこにだっていけるきがする」

僕を目の前にして彼女はにっこりと微笑んだ。太陽か月かというと、どちらでもなくまるで人間。まるで人間のような彼女は、この世界の人間以外の生物たちすべてに優しい。大好きな彼女の、大嫌いな部分。楽しいから涙を流すような、そんな僕を見て楽しんでいる彼女を連れて行ってあげたいと思った。

「そうだなあ、夏が来たらね」

いつもそんなことばっかりで、はぐらかされてばかりの僕は痺れを切らしたようにぷちんと消えた

もっとみる

夏、微炭酸

コーラを飲む、という行為は僕にとって一種の自傷行為だった。なにを言っているんだといわれるかもしれないけど、自分を傷つけているのだから自傷行為なのだと思う。少し前までリストカットだとオーバードーズだの、精神病患者的に当たり前になっている自傷行為もやっていたのだが、そのうち何も感じなくなって、病院に運ばれるたびに右から左に流れるような話を聞かされるのも面倒くさくなって、何回目かの退院の日になんとなく買

もっとみる