読書感想文『食堂かたつむり』
来週からキャリアコンサルタント資格の勉強が始まります。どきどき。
----
『食堂かたつむり』小川糸
《雑記》
最近前を向いて生きる人の強さに目がいきます。凄いなぁとシンプルに尊敬です。
この主人公の女の子は、持ち物がぬか床オンリーになった時でも"身一つ"の可能性を信じます。たぶんぬか床がなくてもあっても、そう生き抜いていたと思います。小川糸さんの作品には人の持つそのような健気さというのか、素直さというのか、『生命力』?煌めいた雫を感じてなりません。
そしてなぜか最近やっぱり(?)声を失うといった女性の主人公と私は対面することが多いですね。声はなくても言葉はあると言っていた場面は少し印象に残っています。
すべて剥ぎ取られても残るものは、自分自身。これまでの歴史の中で身になったもの。
自分は聴くこと、喋ることを仕事にしていますが、"何があっても"と自分自身に自信があるのは、こうして自覚して言えるものがあるからかもしれません。自分の存在に紐づいた出来ることを探し歩いていた時間は人生の中でかけがえのない唯一物であると同時に本当につらく、第一関門だったと記憶しています。
人の真似をしてちょっと人様よりできることがあっても、それは私的自信にはなりません。
何が自分に出来るのか。その答えを一つでも持っていて、その過程に"存在がある"ということへの希求があったこと、可能性を模索し考え、自分を信じ抜いたこと。「生きていてよかった」と心から言えるのはその頃のおかげであり、今でも支えになっています。
「人生何があっても生きる」というのは当たり前のこととしてこの物語は続いていきます。結構凄いことなんだけど、それだけにただただ読み進めることが出来ます。圧倒されるというか、読むしかない。
スポットライトを一貫して『生(セイ)』にあてている(ように感じた)のもすごいなぁと思いました。
それにしても、料理と自然に関する知識が凄いです。全然分からなかった人がここに。
主人公が『これは気絶する美味さだ(超意訳)』みたいなことをよく言っていて、こういうの好きだ笑、と思いました。自分で言っちゃうスタイル好きです。
雑談ですが最近お昼ごはんの自炊にちょっとレシピを調べるようになりました。ご飯が美味しそうな本を読むと自炊へのモチベが数ミリくらい上がります。
睡眠、食事、運動。これ大事ですね。今更何の話って感じですが、これが調うと、あとは美味しい空気と空と水系の何かがあれば私は8割幸せです。あと2割は私の過ごし方です。
個人的に面白かったのは、作風の特徴なのでしょうか?私の知る小川糸さんの作品には生活感としてお金問題があまり出てこないですよね(?)。まただ、と思いました。自活していく際のお金どうしてるんだろう?というのはささやかないつもの私の疑問です。
熊さん、好きなキャラクターでした。"家族以外の人で愛情をくれる存在"がどこかにいるかもしれないというのは私のロマンであり、どこかには寄る波と寄せる波があるという希望になります。
万物が時間とともにうつりゆくこの物質の世界で、それは皆が何か絶対的に欠けた場面からはじまって、何か夢をみることを現実的にします。常にそばにある幸せを感じさせます。何らかの現状で終わり、どうしようもないまま死にます。
まだこれには抗う精神年齢にはありますが、自然を胸に、心豊かに暮らしたいです。
"倫子が想像している以上に、この世界は大きくて、行こうと思えば、どこにだって行けるものよ。"
この言葉は、私も欲しいのでここに飾ります。