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現在(おすすめ書籍・動画①)

前回書いた友人と話して以来、過去を振り返ったり、自分の中にある思いや言葉を吐き出したりすることに対する抵抗が減った気がする。

前は学生時代の写真を見るのも嫌だったし、食について考えるのも嫌だった。でも今は、人間食べないと生きていけないのだから、食べることについてじっくり考えたっていいじゃないかと思えるし、自分自身と距離を置いて外から眺めることもできる。

友人との話以外で助けとなったのが、本やYouTube。わたしが初めて本の中で摂食障害について読んだのは、リリー・コリンズの自伝 “Untitled” だった。摂食障害で悩んでいた過去、家族のこと、元恋人のことについて赤裸々に綴られている。芸能界は外見をつねに気にしなくちゃいけない業界だから、食の悩みを抱えている人は少なくないと思う。でもリリー・コリンズが摂食障害だったと知った時、「こんなにキラキラしていて素敵な人も『食べる』っていう当たり前のことに苦しむんだ」ということが驚きであり、発見だった。

ちなみにリリー・コリンズが主演を務めるNetflixの映画 “To the Bones (心のカルテ)” は摂食障害を抱える主人公がホームで生活しながら周りの人々と関わっていく様子を描いたもの。自身の経験も影響しているのか、摂食障害の痛ましさ、しんどさが全身で表現されていて、少しつらかったけど観てよかった。

最近読んで純粋に読書体験としておもしろく、自分を客観視するのに役立ったのが、人類学者の磯野真穂さんによる「なぜふつうに食べられないのかー拒食と過食の文化人類学」という本。6名の女性へのインタビューを基に、家庭や社会の側面、つまり医学の観点では捉えられない「語り」を引き出す試みがなされている。摂食障害の事例やインタビューを読むのは楽しいことではない。でも今まで知らなかった症状を知ることができたり、10人いれば10通りの背景があるという当たり前の事実を改めて感じたりすることができる。


あとは、YouTubeでいろいろ見たけれど一番響いたのが Aiko’s Philosophy というチャンネル。ご自身の経験や過食が起こるメカニズムについてわかりやすく語ってくれている。ドーパミンや低血糖についても説明してくれて、「過食してしまうのは意志が弱いからじゃない。意志でどうにかできるものじゃない」という言葉が、わたしの目を覚ましてくれたように思う。
過食と血糖値の関係
過食とドーパミンの関係

自分の場合、メンタル面からのアプローチを重要視する傾向にあったけれど、様々なメディアから知識や情報を得ることで医学的な観点や社会・文化による影響を考えるきっかけになった。どれが正しいということではなく、複数の視点から自分を見ることができるのは、確実に沼から抜け出す一歩になった。


現在(おすすめ書籍・動画②)へ続く

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