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Σに関しての基本公式の導出(中学数学)

今回は、少し意外なところから出てくる$${\sum}$$の基本公式の導出を中学数学で出すということをします。ちょっと意外なところから出てくるかもしれません。


等差数列の和

まずは基本中の基本、等差数列の和の公式です。

$$
数列\{a_n\}が等差数列であるとき、\sum_{k=1}^n a_n=\frac{n(a_1+a_n)}{2}
$$

次に導出ですが、これはかの有名なガウス少年の話(※)とほとんど変わりません。
※ガウスが幼い頃に「1~100までの和」を聞かれて瞬時に答えたという話。本題から外れるのでここでは省略します。

$$
まず、公差dの等差数列{a_n}を考える。ここで、\\
\sum_{k=1}^{n}a_n=a_1+a_2+a_3+…+a_{n-1}+a_nであるから、\\
\sum_{k=1}^{n}a_n=(a_1+a_n)+(a_2+a_{n-1})+(a_3+a_{n-2})+…\\
a_2=a_1+d,a_{n-1}=a_n-dより、a_2+a_{n-1}=a_1+a_n\\
他も同様にa_1+a_nと等しくなり、その個数は\frac{n}{2}個だから、\\
\sum_{k=1}^n a_n=\frac{n}{2}\times(a_1+a_n)=\frac{n(a_1+a_n)}{2}
$$

等比数列の和

次に等比数列の和の公式です。

$$
数列{a_n}が公比rの等比数列であるとき、\\
\sum_{k=1}^n a_n=\frac{a_1(r^n-1)}{r-1}=\frac{a_1(1-r^n)}{1-r}  (r\ne1)
$$

次に導出です。

$$
初項a,公比r,項数nの等比数列の和をS_nとおくと、\\
S_n=a+ar+ar^2+ar^3+…+ar^{n-3}+ar^{n-2}+ar^{n-1}\\
ここで、両辺にrを掛けると、\\
rS_n=ar+ar^2+ar^3+…+ar^{n-2}+ar^{n-1}+ar^n\\
S_n-rS_nを計算すると打ち消しあって結果的にa-ar^nとなる。\\
S_n-rS_n=a-ar^nをS_nについて解くと、\\
S_n=\frac{a_1(1-r^n)}{1-r}\\
また、\frac{a_1(1-r^n)}{1-r}=\frac{-a_1(-1+r^n)}{-(-1+r)}=\frac{a_1(r^n-1)}{r-1}
$$

二乗の和の公式

次は二乗の和の公式です。

$$
\sum_{k=1}^n k^2=\frac{n(n+1)(2n+1)}{6}
$$

次に導出です。これが一番理解しやすいと思います。

$$
(k+1)^3-k^3=3k^2+3k+1だから、\\
2^3-1^3=3\cdot1^2+3\cdot1+1\\
3^3-2^3=3\cdot2^2+3\cdot2+1\\
4^3-3^3=3\cdot3^2+3\cdot3+1…のように表せる。\\
ここで、(2^3-1^3)+(3^3-2^3)+…\{(n+1)^3-n^3\}を考えると、\\
項が打ち消しあって(n+1)^3-1^3となる。\\
また、右辺に注目すると、その和は3S+3\sum_{k=1}^n k+1\times n\\
\sum_{k=1}^n k=\frac{n(n+1)}{2}  (これについては後述)であるから、\\
(n+1)^3-1=3S+\frac{3}{2}n(n+1)+n\\
これを展開して移項すると、\\
3S=\frac{2n^3+3n^2+n}{2}=\frac{n(2n^2+3n+1)}{2}=\frac{n(n+1)(2n+1)}{2}\\
よって、S=\frac{n(n+1)(2n+1)}{6}
$$

【発展①】1~nまでの和

先ほどの注釈の$${\sum_{k=1}^n k=\frac{n(n+1)}{2}}$$を考えてみましょう。

①等差数列の和からの導出
まずは等差数列の和の公式$${\frac{n(a_1+a_n)}{2}}$$から考えてみます。
ここで、$${n=k}$$であり、また公差1なので$${a_n=k}$$なので、
$${\sum_{k=1}^n k=\frac{n(n+1)}{2}}$$

②先ほどの二乗の和の公式の導出の応用
まず、$${(k+1)^2-k^2=2k+1}$$を考えます。ここで、先ほどと同様に左辺と右辺で和を考えてみると、$${\sum_{k=1}^n k=R}$$として、
$${(n+1)^2-1=2R+n}$$となるので、これをRについて解くと、
$${R=\frac{n(n+1)}{2}}$$

【発展②】3乗,4乗,…の和

2乗の和の公式を応用すると、3乗の和や4乗の和、さらに頑張ればn乗の和まで出せると思います。3乗の和では$${(k+1)^4-k^4}$$、4乗の和では$${(k+1)^5-k^5}$$から求められるように$${(k+1)^{n+1}-k^{n+1}}$$の式からn乗の和が求められます。ここでは省略しますが、手順は2乗の和の公式の導出とほとんど変わりません。数学好きの方は授業中に内職してみては?(殴

階差数列の一般項の公式

最後に階差数列です。

$$
a_{n+1}-a_n=b_nかつn\geqq2のとき、a_n=a_1+\sum_{k=1}^{n-1}b_k
$$

導出ですが、これは先ほどの二乗の和の公式とよく似ています。

$$
a_{n+1}-a_n=b_nより、次のような式が作れる。\\
a_2-a_1=b_1\\
a_3-a_2=b_2\\
a_4-a_3=b_3\\
…\\
a_n-a_{n-1}=b_{n-1}\\
左辺、右辺それぞれの和で等式を作ると、左辺の項は打ち消しあうので、\\
a_n-a_1=\sum_{k=1}^{n-1}b_k\\
a_1を移項すると、a_n=a_1+\sum_{k=1}^{n-1}b_k\\
$$

いかがでしたでしょうか。$${\sum}$$についての公式は微分の導出などと違って「$${\sum}$$」記号や「数列」という概念をあまり使わずに導出することができます。公式をただ使うのではなく、その公式はどのように導出できるかなどを知っておくのは意外と大事です。最後まで見ていただきありがとうございました!

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