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インデックス投資への参加資格

こんにちは、晴彦です。

ネット証券口座と株式インデックス投資信託の組み合わせは、誰もが簡単に実行可能な効率の良い投資で、手数料もわずかです。不確実とはいえ一切の労力なく年利7%の期待リターンをもたらしてくれる優秀なマネーマシンです。

これには感謝すると同時に疑問が湧いてきます。「誰もがこの利益を受けている訳ではない。インデックス投資の恩恵を受けるために必要な資格のようなものがあるなら、それはどのようなものだろうか」と。今日はそれについて考えてみます。


1. 先行して資産を持っている者

投資というものの性質から当たり前ですが、種銭がないと参加できません。それも、参加するだけでなく十分な利益を得ようと思えばまとまった額が必要です。特に若い時期に先行して貯めることが一つのポイントです。例えば25歳の1000万を年利7%で回せば55歳で8000万円の差になります。

大体10年ごとに2倍。暴力的な差が付く

一方で一般的なライフサイクルでは、資産はゼロからのスタートです。加えて幼少期には教育費や生活費がかかるため、実質マイナスからのスタートと言った方が適切でしょう。実際に私が社会に出たときには学資ローンを借りており、純資産は-200万円でした(注:これとは別に親が何千万もの養育費・教育費を負担してくれています)。

そこから十余年、労働と節約により正の純資産に転換し、さらにまとまった額を投資に回すことができました。一般的に20-30代は修学や婚活・出産・子育てと重なり出費も多い時期ですが、私は給付型奨学金をもらい、結婚式もせず、社宅に住み、共働きし、、、振り返ってみれば貯まる要因に恵まれていました。

2. リスクを取る者

故・山崎元さんの著書『経済評論家の父から息子への手紙』では、株式型(有限責任&リターン青天井)のリスクを積極的に引き受けるべきだと繰り返し主張しています。現代の投資というのはリスクプレミアム(リスクへの見返り)を集める行為ですので、大きなリスクを引き受ける者が大きなリターンを手にするのは当然のことです。

ここで、故人に対して憚られるのですがあえて問題を指摘すると、生存者バイアスへの注意が必要です。つまり、リスクを取った者のうち成功者が目立ち、失敗に終わった者は目立たず退場していくことでリスクを取った者が実際以上に成功して見える効果を加味しないといけません。

さらに言えば、リスク許容度の問題があります。来月の食費・家賃すら不確かな段階で追加のリスクを取るのは蛮勇としか言えません。リスクを取れるのは裕福な者の特権です。さらに若者に限って言えば、一見本人の自由になるお金が限られていても、実家が太い人は何かあれば助けてもらえる状態であり、リスク許容度が大きいと言えます。著名な経済評論家を親に持ち、東京大学に通っている(ていた?)山崎さんのご子息へのアドバイスを、その他の日本国民が文字通り受け取るのは危険なことです。

一般人が新卒時点でリスクの低い雇われからスタートするのはある程度やむを得ないと思います。実際に自分の新卒を振り返って見ても起業なんて思いもつきませんでした。結局、先行して資産を持っている者が株主となり設備、教育、ビジネススキームを提供し、持たざる者はそれを借り受けて労働者としてスタートを切るしかないのでしょう。

それでもなお、許容度の範囲内で積極的にリスクを取っていく姿勢が重要であることは言うまでもありません。

3. 教育を受けた者

では、私が子供に全世界株式に投資するよう伝えて金を渡したら上手くいくでしょうか。おそらく上手くいかないでしょう。

自分が投資している対象をなぜ選んだのか明確に答えられない人は、たまたま投資が上手くいっているだけの人です。

期待値や分散、相関といった統計を正しく理解し、あるいは確率的なものの考え方ができて初めて、CAPMのような金融理論に触れ、ポートフォリオの優劣を議論することができます。プログラミングができれば、確率的な試行を繰り返して投資方針をブラッシュアップすることが可能です。税法が分かれば、税金を加味して効率的な投資方針を取ることができます。英語が分かれば、より新しく広範な情報にアクセスできます。

こうしてリストアップしてみると、最低限、4年制大学を卒業できるくらいの教養・知識レベルがあって初めて、投資方針が腹落ちするんじゃないでしょうか(注:今の私からは技量不足で見えていないだけで、この分野の専門家から見たら経済学博士号で学ぶような中にも有用な知識が沢山あるのでしょう)。

結論

いざリストアップしてみると、実家が太くて早く沢山稼いだ人が勝つクソゲー、それがインデックス投資だと分かりました。インデックス投資に成功している人は境遇へ感謝し、適切な選民意識を持つ(リアルで余計なことを口外しない)方が良いのでしょう。若い頃に節約をすることも資産増加を加速します。さらに、親としては子供に適切な教養を与え、リスク許容度を補強してやる、適切なタイミングで生前贈与を行うようなことも必要なのだと再確認しました。