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#01 お金に疎い自分を受け入れる
「給与の3割は貯金しないかん」
10年以上前、新卒での入社先が決まり、報告がてら顔を出した本家のおじさん(祖母の弟)がそう言っていた。それから会社員を辞めるまで、私はせっせと手取りの30%を貯蓄に回して、残りでさまざまな支払いや生活費、旅行費を用立てた。
会社から離れた後も、多くはないがフリーターとしての収入はあったので、引き続き貯金を続けていた。しかしそこに国民年金、健康保険などの支払いが重くのしかかってきた。一人ひとりの社会保険をみんなで賄っているということだと思いながら、頑張って払ってきたが、ついに自分での支払い能力がなくなってしまった。生きるということは、生命活動の維持以外にもお金がたくさんかかるものだ。お金に関しては、なんだかやっている風に頑張っているが、蓋を開けてみると全然できていない。私にはありがちなパターンだ。
一方で、夫氏は随分お金に関することに長けている。株が趣味の一つで、社会が新NISAだのいう前から株を続けている。一緒に住み始めたことで、日経平均や、企業の動きから株価を私も気にするようになった。
計算に関しても、夫氏の方が圧倒的に得意なのだ。食料品の買い出しには、可能な限りついてきてもらって、グラム単位で安いものを計算してもらう。その度に計算方法を教えてもらうのだが、いまいちピンと来なかったり、計算するのにものすごく時間がかかるので、夫氏が居ればお願いしてしまう。
頼ってしまうことにすごく後ろめたさや、自分の不甲斐なさを感じていた。数字に関することはどうしても思考停止してしまう。計算するにも、式を立てるところからもたついてしまう。
そんな悩みを夫氏にぽつぽつと伝えると、当たり前のようにこう返された。
「得意な人が得意なことをすればいいんよ。僕は君が働かなくても大丈夫にするのを目指してるから」
それをなんでもないことのように言ってくれる君に、私は救われてるんだと、そう思って私は今日も台所に立つ。
夫氏は野菜をどうやって切っていいか分からないくらい、微塵も料理に興味がないらしい。本当に時々キッチンに立つことがあるが、コンロ周りの汚れが気になって掃除を始めて、料理まで辿り着かない。
(週に1回は私が軽くコンロの掃除をしているんだけどな…)
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