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金策が上手な君と浪費しかしない私
欲しい物があるとき、節約してそれを手に入れようとしたり、仕事を増やして収入をあげたり。はたまた、誰かに買ってもらうのか……。人によってその方法は様々だと思う。金額が問題ではない場合もあるだろう。
楽しいが比較的かつかつの生活をしている私は、欲しいものは買ったらなんとかお金を工面することが多いように思う(すごく高いものでなければ)。とはいえ、昔のような収入はないし、見入りにあったものを買うようにはなってきた。何度か段階的に収入が減ってきた私は、最近では夫氏に買ってもらうことも増えてきた。その度に申し訳ない気持ちになるが、買ってもらったものを全力で楽しむ方が感謝を伝えられる気がして、そう心掛けるようになってきた。
基本的に財布の紐が硬く、無駄な出費はしない夫氏だが、欲しいものができたときは高くても吟味して購入している。
今年に入ってから、約15年ぶりにギターを再開した夫氏は、テレキャスターを3月頃に購入した。「プロギターリストになる」と冗談交じりに宣言した約30歳の少年は、そこから毎日毎日毎日毎日毎日毎日、手さえ空けばすぐにギターを触る日々が続いた。
仕事から戻ると、カシャカシャと弦を鳴らす音が隣の部屋から聞こえる。
夜、私がnoteを更新する横で、カシャカシャ、カシャカシャ。
私が床に就くころ、弦をカシャカシャする音が遠くできこえる。
最終的には、聞いたこともなかった曲を、私が一人で口ずさめるようになった。曲は覚えたが、いまだにアーティストが誰なのかは覚えられていない。
弾けるようになってくると、新しく弾けるようになったパートを積極的に披露してくれる。
指の皮も硬くなり、ピックを何本が壊し、弦も張り替えて暫くたった頃、彼はいった。
「ギブソンが欲しい」と。
ギブソン……?
そういえば中学生の頃に読んだ小説に、ギブソンが中心の話があった気がする。書籍紹介の文を作って、先生に添削してもらい、お昼の放送で読み上げる形で紹介したが、「あらすじを書くのが上手い」と、先生に褒めてもらった数少ない経験だった気がする。
それくらいの知識しかないのだが、ギブソンはなかなかに高いらしい。ぽっと買える値段ではないらしい。そこで夫氏はこの頃せっせと株をして、資金を作っているようだ。よく「0.5ギブソンできたから、残り半分で1ギブソンが買える!」といっている。
この金作方法について、わたしは全くセンスがないし、何度説明してもらっても理解は追いつかない。私が理解できていれば、金作のスピードは倍になるのではないか?そう思うこともあったが、夫氏は別にそれを望んでいるわけではないらしいので、私は感謝しながら自分のペースで生きている。
ただ、いつまでたっても「正社員で働いていれば……」と思わない日はない。
暗い気持ちも良くないので、夜な夜な企業のチェックや社会情勢などを追う夫氏の横で私はそっと呟く。
「叶のイヤホン欲しいな……」
そうすると夫氏は発言をしっかり拾って、吟味して、金作をしてくれるのだ。本当に感謝でいっぱいだ。
文中でお話したアイテムたちはこちら
◆中学生の時読んだ本
◆叶のイヤホン
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