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あるもの
朝の空は澄んだ青色、夕方の空は混ぜた紫とオレンジ色。
どこに行ってもそれは同じで
建物の高さや地形によって空の広さは違って見える。
東京の空はビルとビルに挟まっててなんだか窮屈そう、でもぴかぴかの繋ぎ合わされた窓たちに映る夕陽は悪くないな。
こちらの空は開けた土の地面の脈々とした地形のもっと先にも広がっていて自分がちっぽけに見える。
その場所にしかないものっていうのはたくさんあるのに、その場所にいこうとどこにいこうと自分の奥底にあるものっていうのはそう簡単には変わらない気がしている。やっぱり丸い惑星と同じく地続きなのかもしれない。
わたしの奥底に沈んでいる大きな石なのか、もしくは吸い込まれそうな穴なのかよく分からないけれど、時々思い出したかのように動きだしていつしか広がっていく煙のように気がつくとのまれてしまう。
最近は少しずつそれを見つめつつも、ちゃんと底に沈めることができるようになったのだけど、こうやって浮いて沈めてを繰り返していつしか身動きがとれないくらい暗いところに連れていかれたらどうしよう。
もう親に助けてだなんて言える年でもないし、言いたくもない。この心は誰にも分からないってこともある程度悟った。
こんなに充実しているはずなのに、感謝でいっぱいなのに、幸せなはずなのに何かが欠落しているのか、
わたしはわたしの存在そのものを認めることがとても苦手だ。
明るくできる、明るい自分もいる、好奇心もある、好奇心のある自分もできる、前向きだ、前向きの振りだってできる。とにかく黄色みたいに元気でいたい、笑顔でいたい。そんな自分も好きだ。
それでも深い底にはわたしを冷たい目で見つめる何かがある。
それが何なのか知れば楽になるだろうか、それとも知らない方が幸せな時間は保たれるだろうか。次の波が襲ってきたらどうしよう。
世界中歩き回っても結局『自分』というものが結局わからないのかもな。
だって唯一直接姿をみれないのって自分だけだもんな、この世にあるものの中で。
また一つわたしなりに謎が解けた気がしている、かな。
湖