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コンプレックス


今回は、私が大学時代に出会ってから、とても敬愛している著者の本です。


この本は前半こそ専門用語が多かったものの、後半は臨床の現場でのケースを軸に進んでいくので、後半にかけて一気に読み終えました。


・学校恐怖症となった中学生の男子。
家族構成が少し変わっており、母親と相当歳の離れた姉、つまり本人の伯母が同居していた。傾きかけた家運をこの伯母が結婚もせず商売に精進することで取り戻し、この子供は伯母を「大きいお母さん」と呼び非常になついていた。彼が学校恐怖症になり、ひとつの事件を起こす・・・。


・四十歳を少し越えた、ある男性。
努力の甲斐あって、社長の片腕とまで認められていく。ある日、心因性うつ症というノイローゼが襲いかかり、退職を決意する状況の中で、ひとつの夢をみた。
以前に会社の金を横領して解雇された筈の社員が出社してきて、社長はそれを認めている。この夢が示すものは何なのか・・・。


劣等の認識が自我の中に統合されていないことによって、ノイローゼや鬱症状を引き起こすのかなと思いました💡

私自身のコンプレックスは何かと考えたときに、やはり受験の前後、自分の進むべき道が分からず、親を苦労させてしまった。

そのコンプレックスが、未だに消化出来てないんですよね・・・。同じ時期に同じように苦しんで、私とは反対に何も行動しなかった(できなかった)兄を未だに責めてしまう。

今後このコンプレックスがどんな形で現れて、対決することになるんだろう。

その答えは出なかったけれども、蓋をしていた過去を認めるきっかけになったという点で、とても意義深かった気がする。

30p~旧約聖書にあるカインとアベルの兄弟間の強い敵対感情にも触れられていて、それも良かった。


また、夫婦関係についても以下のように触れられていました。

「外向的な人は、内向コンプレックスをもっているし、内向的な人は外向コンプレックスを有しているが、このような人達が恋人や夫婦として結ばれることはよくあることである。

おのおのの人が自分の心の内部にあるコンプレックスを開発してゆく代りに、それを補う人と結びつくことによって、手っとり早く相補性を獲得するわけである。

・・・このような夫婦が四十歳位になってから離婚問題を起こし、相談に来ることが、最近とみに多くなった。・・・彼等は、いわば背中合せになって外敵と戦っているときが一番よい夫婦なのである。それが向き合って対話をかわそうとすると全く駄目なのである。このような場合、不思議に思われる程彼等の周囲に話相手となり得る異性が現われるものである。・・・結婚してから二十年近くを背中合せの協力のみですごすのではなく、お互いの対話を、つまり自分のコンプレックスとの対決をはかるべきであった。あるいは、四十歳になって気づいたのであれば、人生の後半に向かってゆく過程を、両者で共に進むべく新しい関係を切り拓くべきであった。」


こんなのを読むとまた哲学的なことを考え始めてしまう!!のでホドホドにしようとは思うのですが😓夫婦関係を諦めず、どんな風に構築していけばいいのか、この著者の本を改めて読み返していきたいなと思いました。

通勤中のバスの車内で読むには結構ヘビーだったけど、本当に読んで良かった✨

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