訪問看護師の、とある1日。
とある金曜日。
1週間の疲れがピークなのにもかかわらず、最近は金曜日がわりと忙しい。
なぜなら、金曜日はそもそものスケジュールに昼休みがほぼないからだ。
訪問が時間超過しなければ、ギリギリ30分くらいは休憩できるかな・・・そんな感じ。
でも、お昼前の利用者さんは、ほぼ確実に訪問時間を超過する。
移動時間含めて昼休みは90分取れるっていう契約なはず・・・なのに。
はぁ・・・これだけでため息が出る。
今日は「顔を見ると安心するんです」と嬉しいことを言ってもらえたり、かと思えば「(私の)匂いが気になってくしゃみが出る」と嫌な顔をされたり・・・何だか気持ちが忙しない日だった。
そして、いつも訪問時間が超過する利用者さんは、いつもよりさらに時間が超過した。
疲れたなぁ・・・。
そんな、言葉になりきらない本音をぼんやりと感じながら、ひたすらに目の前のことをこなしていた。
そして、気付いたら18時すぎ。
ガソリンスタンドに寄った。
もうすぐエンプティーランプが点きそうな・・・でも、もう少し余裕がありそうな・・・そんな感じ。
あ、1ヶ所空いてる。
給油中の車の間をすり抜けて、空いている給油場所に停車。
すると、すぐさま駆けてくるガソリンスタンドのお兄さんがバックミラーに映った。
パワーウインドウを開ける。
「あの、あちらのお客様が先なので」
「あ・・・はい、すみません」
ガソリンスタンドの入り口が3ヶ所あるところで、先に待っている車に気付かなかった。
あぁーもう、疲れた・・・!
ぼんやりとしていた本音が、一気にはっきりとした形を成して、私に覆い被さってきた。
本当に疲れている時というのは、疲れていると自覚することすらできなくて、でも、ちょっとしたきっかけで急に疲れていることに気付くものだ。
そう、私は疲れている・・・早く帰ろう。
結局、ガソリンは入れず、私はそのまま家に帰った。
まだガソリンに余裕があって良かった。
心からそう思った。