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【私と本】特別な一冊

 この本の著者は友人で、その彼女との出会いについて少し書く。 

 20歳になったばかりのころ、宮崎県に住むため引越しをした。その頃につき合っていた人と結婚するつもりでいたため他に目的はなかったし、もちろん知り合いもいない。なにか仕事でもと言ってもそれまでの仕事は肉体労働(?)で、つまり私は手に職を持っていなかった。職業安定所に行って、手続きなどをして、勧められたプログラムをなりゆきで受けることになった(人生はなりゆきの連続である)。そこでこの本の著書である彼女に出会った。

 彼女の話すことはおもしろく、またとても明るい性格で近くにいたくなるような人柄をしている。同じクラスで催された懇親会のような席で、本の話になった。おしゃべりの中で「本が好き」だと言った私への彼女からの返しはこうだった。

——本が好きなら、書けばいいわー。(宮崎弁)

 書きたいなんて、言ってない。本を読むのが 好きと言ったのだ。作家を目指しているのでもなく、高校を出てちょっと働いて、もう結婚でもしようかな(しなかったけど)とお気楽に生きていた私に向かってこういうことを言うのである。これまで出会った人々と彼女が違っていたところはその視点だった。
 あれから十数年、私ではなくその彼女が、本を書いた。

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 じゃーん! これが彼女の初めての本となる「mari's dictionary」。赤い布張りのカバーに、金色のタイトル文字。赤い色で、辞書の形をとってある。

 この本の構想は数年前からあったらしく、ここ数か月で彼女は出版に向けて集中し追い込みをかけていた。ひとりでこつこつと校正を進めるうちに限界を感じた彼女は周りの人たちに声をかけた。たくさんの人が彼女を応援し、時間や手を惜しみなく差し出した。設定していた予定は伸びて、彼女の手元に出来上がった本が届いたのは春分だった。お祝いにふさわしい、宇宙の元日。
 私も微力ながら校正作業の一員に加えてもらった。そのことをとても嬉しくおもう。

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 おめでとう! 誇らしい。

mari's dictionary -北條真理(ほうじょうまり)-

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宇宙図書館 No.9
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