すぐ道草をくうんだから
あるテキストを書き直すべく、数日前から取り組んでいる。今日は建築様式のところにあたった。
県内に点在するいくつかの教会堂に係ることが多いため、日常的に「ゴシック様式」だの「ロマネスク様式」だのといった言葉を見たり聞いたりする。教会堂について紹介するパンフレットやウェブサイト、書物などに書いてあるし、よく行く外海であったり五島列島のいくつかの土地においても、現地スタッフや観光客などを引き連れたガイドの人たちの口から出る。どちらかといえばゴシック様式のほうが割合が多い。
私は常々、何を指して「ゴシック様式」を説明しているのかいまいちすっきりしなかった。また、自分でもきちんと調べたり、比較したりというところでいうと「まあだいたいこんなところかな」という浅い理解しかしていなかった。
テキストを書くのにこれではいかんので、過去資料や書物やウェブサイトに頼ってこれまでよりも注目してみた。
といったってど素人であるし、真剣に調べものをしたレベルまではいっていないため、浅い理解には違いないところでいろいろ大目にみてほしい。
いくつもの、それぞれを特徴づけるもののなかから、今日の私が気をひかれたのは、構造の部分だった。
まず時代的に前にくるものがロマネスク建築で、これは石造で高い塔をあげるために壁を分厚く造られている。そういった高さのある建物を支えるため、窓や出入口といった開口部の面積はおさえられ、そのため堂内に入る光の量は少ない。採光がとれないから室内は暗めで、静謐な空間となることが想像できる。
ロマネスク建築が発展してきた時代(11、12世紀あたり)には修道院などの建物に多く用いられ、より多くの信徒が集う教会堂というよりも修道士たちが静かに祈る空間として採用されてきたようである。
装飾といえば、外壁などに意匠・装飾を施したり、室内に広い壁面がある場合には彩色や絵画などがなされた。
ゴシック建築は12世紀後半より発展をみる。
半円アーチが多かった開口部は尖塔アーチに変化し、内部のリブ・ヴォールト天井と合わせて一定のリズム感が感じられ、より統一された空間となっていった。
建物の構造では、これまで分厚い壁で支えていた高さを、フライング・バットレスという工法ができたことで開口部に変化がでた。これまでは外壁補強のための構造部分は屋根裏に隠されていたものを、より高い位置に移して、つまり空中にまでアーチを伸ばし、架けるというものだった。これにより、教会堂でいえば側廊にあたる部分の天井部分などに開口部を広くとることができるようになった。
開口部が広くなったことで、光を多く採りいれられ、それに伴って色鮮やかなステンドグラスでの装飾が可能になった。
ゴシック建築が広がりをみせた時代には、都市部などで信徒が増加したことから大規模な教会を必要とした背景があり、それまでの修道者たちのための建築から、そこに暮らす人々が高い塔とたくさんの光、色とりどりの空間から天国を想起するようなものとなっていった。らしい。
こういうところをちょっとでも知って、身近な教会建築様式に注目してみるのもおもしろい。そんなふうにおもった。
身近な教会、というので例えば平戸市の田平教会や、佐世保市の黒島教会なんかは煉瓦造りの建物なんだけれども、重層屋根構造の2階部分の側壁は木造で、初めてみたときには「ここだけ煉瓦じゃないんだな」とふしぎにおもっていた。これはつまり、強度の問題でこうしてあるということだろう。
と、納得しつつも「煉瓦だったらいいのにな」ともおもう。
そういうので、引き続きテキストのためにデスクに向かって資料を読んでいたら、教会堂への出入口のところで興味をひく記述があった。
私が知っているいくつかの教会堂では、昔は男女で出入口が分かれていたと何度か聞いたことがあった。教会堂正面扉のほかに左右一方ずつ開口部が設けられており、祭壇に向かって右側が女性信徒、左側が男性信徒、と分かれて出入りをしていたというのである。脇出入口のある教会堂でも同様の使い分けをしていたと聞く。また、御堂内での座席位置も同じく、男女で分かれていたと聞いたような記憶がある。
それは、昔の、一般的な伝統のようなものだとなんとなく勝手におもっていたのだけれど、ある調査資料によるとそれは長崎特有のものと書いてあったた。つまりよそではそんな習慣はないかもしれないのだ。
これは私が目にしたなかで、ひとところからだけの情報なので、確かかどうかわからない。なのでたしかめたくなっていて、ひとまずはいつもお世話になっている信徒の方などに訊いてみたいと考えている。
こんな寄り道しながらだけど、しっかり仕上げるべく励むつもりでいる。
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今日の「豆でっぽう」:まちなかを歩いていたら、正面からきた見知らぬ男性にまっすぐ「こんにちは!」と言われてポカンとなりました。
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