カフェとケーキ、恵方巻き
うちの母は仕事をもっていて、休みは平日に2日間ある。今週末のその、休みの曜日は彼女の誕生日だ、と気がついた。
母は休みに家でのんびりするということをしない人で、知人と会ったりひとりでもぶらぶらと出かけたりする。誕生日には何か予定が入っているか訊いてみた。
近ごろ通っているという、痛めた肩のリハビリのためにクリニックに行く以外、何も予定はないという。
ふだんあまり会わないし、お祝いのデザートでも食べにどこか行こうかと誘って、平日の午後に出かけてみた。
年末に会ったとき、母を担当してくれているリハビリの先生が、カフェ巡りが趣味だというのは聞いていた。行きたいところを考えておいてね、といったら、その先生におすすめのカフェを教えてもらったらしい。O市にあるカフェ2件を母が示した。
母のリハビリが終って、迎えに行き、O市に向かって車を走らせた。
2件のうちどっちがいいかを母に決めさせた。駅のそばにあるカフェだった。
車を停めてちょっとうろうろして(最近O市に用事もなく不案内だった)、見つけた。とてもいま風の、「カフェ」であった(非喫茶店)。
入ってみると、とてもシンプルな内装で、カウンターに5、6席と2人掛けテーブルふたつ、4人掛けテーブルがひとつ。その奥にもテーブルと椅子のあるスペースが広がっている。
接客をしていたカウンターの中に立つ若い男の子がスポーツ・ジャケットを着ていたのに驚きつつ、先客を待ってオーダーをする。
メニューはブレンドコーヒーのほかにストレート・コーヒーが5種類くらいと、いくつかのソフトドリンク、小さな焼き菓子。母はブレンドコーヒー、私はホットチョコレートを注文した。甘くない、おいしいホットチョコレートだった。
ふたりで雑談しながら奥のスペースを見ていたら、どうもワーキング・スペースのようだった。どうりで、置いてある什器が事務機っぽいとおもっていた。
けっこうな広さだったし、あのメニュー数だけでは成り立たないよなあ、とおもいつつホットチョコレートをゆっくり飲んだ。
その店に行ったのは母の希望ではあったけれども、「誕生日にデザート」の思惑は果たされてない。
そういえばあのケーキ屋はこのあたりじゃなかったかな、と思い出す。
雲仙市にある有名ホテルでつくられていた、ゴルゴンゾーラチーズケーキのシェフの店である。コンテナみたいな小さなスペースに窓がついただけの店構えで、看板商品の(勝手にそうおもっている)ゴルゴンゾーラチーズケーキのほか、10種くらいの生菓子のほか20種くらいの焼き菓子を売っている。
地図で調べると歩いて行けるくらい近かった。でも車で移動して、ケーキを買いに行った。
母のぶんと自分のとを買って、帰路についた。もう一度ゴルゴンゾーラチーズケーキを買おうかともおもったけれど、ピスタチオのチーズケーキにした。
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今日は節分ですね。
節分というと豆まきをするけれど、小さいころなど家でもやった。通っていた保育園でもやった。保育園では、園児は自分で作った鬼やら福やらのお面をかぶって、殻付きの落花生を投げた。
わが家では、大豆などの豆のほか個包装の小さなチョコレートなども混じっていた記憶がある。
そしてもうひとつ、母はそういったものに小銭を加えた。
むき出しで投げるのでなく、セロファンとかでくるんで大豆やチョコといっしょに各自の袋に入れていた。
ときどき他人と話してみても、小銭を投げていた家など聞いたことがない。
出かけた日、ふと思い出して「なぜ小銭を投げていたのか」と聞いてみたら、あんまし憶えてないけどばあちゃん(母の母)が投げていたとおもう、と言っていた。
母方のばあちゃんはちょっと変わっているところがある。
そうか、ばあちゃんがそうしていたのか。
どうしてなのかは全くわからなかったけれど、何かばあちゃんなりの理由があったんだろう。
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私はコーヒーが飲める店が好きではあるけれど、カフェ巡りみたいなものを趣味とはしていない。自分の両親の店に入り浸っていたチビのころから、そういう場所をとくに好んで、父が店を閉めたあとは、その父母の知人がやっている似たような雰囲気をもつ店に行くくらいだ(ドトールコーヒーやコメダ珈琲みたいなとこには平気で行く)。
今回訪ねたカフェはそういう種類とは違っていた。ちょっと落ち着かなかったけれど(そういえば店内のBGMもひどかった)、自分では選んで行かないような店を見られてよかったような気もしている。
たまには母と出かけるのもいいとおもった(お誕生日おめでとう)。
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今日の「雑節」:今日のお昼にはスーパーマーケットの魚屋がつくっている巻き寿司を買ってきて、Kさんと食べました。いわゆる恵方巻きなどというものを、節分に食べるのなんていつぶりだろう。
平和でなによりの節分でした。