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夏みかんのママレード

 夏みかんを貰った。だいたいの果物は好きなので、そして何より生で食べるのが好きなため、いつもただ剥いて食べているだけだったのだけど、このでっかい実と、たくさんの皮を見ていつもちょっとだけ、(もったいないなァ)とおもっていた。貰うのは、無農薬だからだ。

 昨年、夏みかんの時期に休みが多かったことと、梅をやらなかったさみしさから夏みかんでママレードを作ろうかな、という気が起こった。私はパンみたいなのを常食しないから、自分では使い道がないけれど作ってみたくなったのだ。気に入るレシピを探して、作ってみたらあんがいうまくできた(作ったママレードは、欲しいと言ってくれる人がいたのであちこち分けた)。

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 うちの店ではモーニングセットやトーストにジャムを添えて出していた。ぽってり厚めで、仕切りがついたガラスの容器の片方にはイチゴジャム、もう片方にママレードを均すようにきれいに詰めたのを、トーストと一緒に出していた。赤とオレンジがきらきらしていた。懐かしい。

 先日母と会ったときに、ママレードの話になった。母はちょっと前に自分で作ったらしく、納得のいくおいしさじゃなかったと言った。去年私が作ったのを、「あれ、おいしかった~」と言ってくれたのが耳に残っていた。その時は、もう今年は作らんかな~とかなんとか言って、別の話題にうつっていった。

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 そんな話をしたあとに、梅と一緒に夏みかんを6個貰った。しばらく考えて、やっぱり今年も作ってみることにした。今までは果物なんてどれだけあっても困らないものだったけど、さみしいことに年々『食べられる量』が減っている(果物だけではない)。おっきな夏みかん6個を食べきれるまで何日かかるのだろう。

 梅酒とママレードを作るのに、材料費だけでもけっこうかかる。どちらもほとんど人にあげてしまうもの。お金ってこうやって循環していくんだなーとおもうとすがすがしい。

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 それで、今年のママレードは、ちょっととろみが足りなかった。そこのところを断って母に「食べる?」と聞くと、欲しいと言ってくれた。

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 作ってよかった。

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片山 緑紗(かたやま つかさ)
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