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子ども時代からの本を詰める棚

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これまで読んできて特に好きなもの、印象に残っている本を詰める本棚です。読み終えたものを詰めることも。
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#日本史がすき

出島商館長ヘンドリック・ドゥーフの苦悩

 出島オランダ商館まわりのことを知る以前は、その歴史にあまり興味をもってはいなかった。  吉村昭氏の『磔』に収録された「三色旗」、同著者の『ふぉん・しいほるとの娘 上・下』の2作品をもらって読んだことで、少しずつその当時の、出島でのオランダとの貿易(ポルトガルとの貿易当時のことはもっと不勉強)、その他の異国との交流などについて知るのが楽しくなってきた。  たとえばキリシタン史なんかをみていくなかでも、当時は交易国でなかったフランスやイギリスといった国から見たオランダ人に関す

憎らしくて愛らしい

 『軍師二人』という司馬遼太郎氏の短編集を読んだ。戦国の時代の武将たちと、それをとりまくおんなたちの様子が、どこかのんびりと描かれている。肩が凝らずにすんなり読めた。  おんなというのはやかましく、せからしいものであることを再確認しつつ、しかし同時に、どうにも可愛げのある生きものなのかもしれないなあ、とか考えた。  河合隼雄氏の著作に、どこかの原住民に伝わる民話が紹介されていたのを思いだした。  日常におんながいるのをうるさがって、別々に暮らそうとおとこたちが言い出し、お

証しすることについて語るときに・・・

 昨年、島原半島の墓碑巡りをしたころに、これを読むといいよと1冊の本を手渡してもらうことがあった。大判でとても中身のぎっしりとした本であることもあって、まだ途中である。  その本は、キリシタン墓碑、とくにその墓碑に刻まれたシンボルや戒名などから、隠された意味合いを読み解いた数々の発表というふうなものである。なぜ隠さねばならなかったかというと、それらの墓碑が建てられたのが禁教期という時代にあったからで、表に知れれば近親者たちの身があぶないなどといったいくつもの厄介があるからと

日本神話とわたしのこころ

 日本の神話がわりと好きで、本を読んだり旅先でゆかりの地に足を運んだりしてたのしんでいる。カミサマもいろいろでおもしろい。  つい最近まで名前を存じあげなかったんだけど、安彦良和さんという(超有名な)方が、日本神話をもとにした漫画本をいくつか描いているというのを教えてもらった。興味を示したら読ませてもらうことができたそれは『ナムジ(全5巻)』『神武(全5巻)』『ヤマトタケル(全6巻)』とに分かれた3つの作品で、どれもたいへんおもしろかった。  何といって、神代の時代というの

禁止をやぶることについて

 私は神話に興味があるのだけれど、そのことについて。  ある人との会話から「どうして神話が好き(興味がある)なのか」ということが気になってきた。はて、私は神話のどういうところに惹かれているんだっけ。  いつものことながらコレというこたえもなく、だらだらと書いていくことになるとおもうのだけれど、よければお付き合いください。  国生みや天孫降臨の地として有名な宮崎に暮らしたのは20年ほど前になる。その頃はほとんどといっていいほど神話のことなど何も知らなかった。その時に出会った