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外人上司が大切にしていたこと#1

昨今のグローバル化の波に御多分に漏れず私の所属部門も影響を受けます。当部門では昨今から、組織のパフォーマンスの低さが顕在化してきており
これに危機感を感じた本国経営陣がある日、剛腕外人上司を新リーダーとして日本へ派遣したのでした。ここではその上司が赴任期間中に行った改革の中から私が特に感じたリーダーとしての大切なエッセンスを備忘録として書いたものです。


エッセンス1:信頼

外人上司が赴任直後に行ったのは組織における各メンバーの見極めと剪定でした。全てのメンバーの履歴書を入手し1on1のインタビューを急ぎました。なぜ急いだかというと、組織のパフォーマンスを短い期間の中で改革する事が必定であったからです。このインタビューは僅か30分ですがここで各メンバーの再配置構想が決定する事となります。ここで外人上司が重要視していた事は2点です。

真実を語る人間はだれか
ローパフォーマーの巣窟となっていた当部門は皆が保身に走り、他人を下げる事で自分の快適な空間を維持しようとしていました。インタビューは非常にシリアスな空間の中、多くのチャレンジングな質問が与えられました。これによって各メンバーは、同僚に責任を擦り付けるような言い回しまた時にはチームメンバーを貶めるようなバイアスの植え付けなど、様々な情報を意図的に流しました。私は特に同僚たちからこれらをモロにくらっており(後に知りました)、外人上司からみた私の印象は最悪な状態からスタートします。

このインタビューで外人上司が行ったのは、事実についてはファイリングし、事実かどうか不確かなものあるいは個人の解釈はいきなり信用しない
という事です。そういったものは次のフェーズで必ず答え合わせをします。
つまり同様の質問をどこか別の日、別の瞬間、別の形で他者に問いかける事である人間の言っていた事実らしきものについてか整合性を取ります。

この冷徹ではあるが確からしさを持ったフローによって、精度が高まった事実が外人上司へ集約され結果として口は達者だが嘘つき、あるいは問題児などがチームの中からあぶり出されます。人々の事を貶めようとしていた同僚はこれによって剪定対象となり会社を去る事になります。やり方は様々で、なんだかんだ理由をつけての新しい役割へのあてがい(=孤立化)、部下奪取、優秀な人材の同ポジションへの新規採用など。

さて、このインタビューでの私の評価は、ローパフォーマー扱いであったと後に聞かされる事になります。実際ほぼ英語での受け答えも未熟でしたし、私自身も自分の低い地位を精一杯保持するため、ご多分に漏れず同僚に責任を押し付ける発言や知っている事を言わなかったという事があった為です。

・献身的な人間はだれか
ここが唯一私が突出して高かった領域です。私は組織においてとても弱い立場で保身の事ばかり考えていました。弱いが故に弱い人を助けたいという気持ちは幼少期から人一倍持っていました。

ある日の朝、コーヒーマシンの使い方が分からず、あたふたしている外人上司に出くわしました。だれも助けません(怖いから)。しかし・・。

このあたふた具合がなんとも可愛らしく(外人らしいリアクション)、ここで
私は助けたい気持ちになりました。なぜなら、この剛腕な外人上司も仕事以外を見たら、ただの人間である事に気づいたからです。勇気を振り絞って使い方を教えようとしました(ただ私はコーヒーを飲まず使い方が分からなかったので結局二人であたふたしました。

この日以来、ゆっくりとですが私から外人上司への歩み寄りが始まりました。例えば会議予約やご飯をアレンジしたり、率先して雑用に手を上げるようになったのです。実は外人上司はオフィス用品の補充の仕方やら社内便の出し方など基本的な事は何も知らず、皆逃げるので誰にも聞けない状態が長く続いていたのでした。

仕事から離れると、本当におっちょこちょいで何もできない人でした。
とっても怖い人なのですが、どこか助けてあげたいと思うようになってきました。徐々にそういことをしているうちに仕事での簡単なアシストも頼まれるようになり、英語はできませんが、積極的に手伝うようになっていきました。このあたりの話は以下の記事にも書いています。

エッセンス2:公平

赴任期間を最後まで併走できた私からみて外人上司が行った各メンバーへの対応は必ずしも公平であったとは思えません。そこには泥臭いほど明確な
好き嫌いがありましたし理不尽な対応を受けたと感じた部下も多かったです。

・公平に近づける姿勢を見せる
しかしながら、実際に公平ではなかったとしても外人上司はフェアプレーをもって全員を公平に扱うという事を宣言し続けていましたし、公平に近づける努力を見せ続けていました(機会をあたえるなど)。これは外人に限らない事ですがどの世界にも公平はありません。ただ公平っぽさがあるだけです。ここがそれなりに見えている限り、ある程度ガバナンスが効きます。

調和を乱す行為の禁止
約束事として部内における不和、喧嘩は絶対禁止にされていました。公平でないと感じた時、当然こういった事はメンバー間で起こり得ますが、これに先んじて禁止にしました。組織が一丸となって様々なチャレンジに立ち向かっていくのだから組織不和は断固として許さない。そういわれると、愚痴もうわさも話気が失せるという所です。

・ひいき
しかし実際は外人上司も人間ですから、ひいきをします。この恩恵を受ける事ができたのは大変罪深いですが私だけです。実際に昇進もさせてもらえました。私は献身から始まる信頼値の獲得により、早い段階から目にかけてもらえていました。実際私を育ててくれたことについては、本当に感謝しています。

ここでの発見は、本当に公平であるかはさほど重要ではなく
公平っぽさがあるという事が重要であったという観測です。

続きはまた別の記事で作成します。
ここまでご覧いただきありがとうございました!




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