香水の原価に驚愕/合成香料の素晴らしさ
こんにちは、9thperfumeの正木です。
うだるような暑さが来たと思えば、熱帯のような雨が降り注ぐ2023年の夏。
いかがお過ごしでしょうか?
僕は10月の初出店に向けて準備をコツコツ進めています。
『調香師の部屋』に遊びに来た感覚で、僕も店頭にいるつもりです。
調香してる人が、直接説明してるブランドってほぼ皆無だと思うので、
是非、香りにまつわる素朴な疑問などもぶつけてみてくださいね。
是非お近くに寄られた際は遊びに来てみてくださいね。
さて、今日はちょっとダークな感じで申し訳ないのですが、
フレグランスを自分で作る立場になって驚いた事を書いていきます。
なぜ多くのブランドがこぞって香水を開発したがるのか?
ちょっと香水でも選ぼうと思ったら、どのブランドも香水を出してて、もはや消費者から見たら「???」って感じですよね。
それはなんでだろうと思うと、、
香水の原価がおそらく販売価格の11%程度(異常な安さ)
調香などの製造を外注することで、楽々発売
シーズントレンドに大きく左右されない
1年2年程度在庫になっても腐らない
その割にブランドの差別化がしやすい
というように、とてもお手軽なんですよね。
特にハイブランドの香水は恐ろしい利益率なのではないかなと推測しております。
(場所代と人件費が1番高いと思うので仕方ないですよね〜)
(特に著名な調香師に依頼するとウン百万はくだらないとか、、、)
今回は、上記の中でも原価に少し焦点を当ててみましょう。
香水原料は販売価格の5%を切る
ハイブランドの香水なので、
高く見積もったとしても、下記くらい安いと思います。
依頼する調香師の格が高い場合はもう少し原価が上がるかもしれませんが、
人件費が上下するだけであって、使用する香料は本当に安い事が分かると思います。
ハイブランドは『見た目』と『魅せ方』に命をかけているという個人的な偏見を持っているので、瓶やパッケージは高くついてるのでは、と思っています。
(とは言ってますが、普通にエルメス、シャネル、ゲラン、そしてフエギア1833などの香水は僕は大好きですw)
(おまけ)安いのに素晴らしい香りを創る合成香料会社の素晴らしさ
日本は、合成香料においては世界トップだと思います。
そのほとんどが食品用やホームキッチンに用いられる合成香料なので、
なかなか気づかないと思いますが。
例えばバラの香りを創る上でも、プロが実際に使う2つを比べてみました。
ここではわかりやすくするために、ローズの天然香料は、有名な産地であるブルガリア産のローズを、合成香料は世界的に有名な香料会社であるGivaudan社の『ROSE GIVCO』という、合成香料を組み合わせてローズを模倣したベース香料を例に出しました。
この相場は、僕のような小さな会社でも(ツテは必要だけど)実際に仕入れる時の単価を挙げています。
それでも天然香料と合成香料では、2.5倍の開きがあります。
天然香料は栽培環境に大きく左右され供給に限度があるのですが、合成香料は石油が手に入る限り安定供給できるので、安くなるのですね。
一般の消費者には天然と合成の違いが分からない高品質
しかもこのROSE GIVCOは、ほぼ一般消費者にとっては天然のローズか合成のローズか違いが分からないほどのクオリティです。
僕自身も調香の勉強をスタートした初期の初期は『その原料が天然か合成か』など全く意識していなかったので『調香に使っていたローズが、、、実は合成だった』と気付いた時は衝撃を受けたものです(笑)
それくらいに、僕たち一般市民は『本物のローズの香りを知らない』ということになるんですよね。。。
複雑な気持ちになりますが、調香師の僕としては天然も合成も、メリットデメリットがあるので、そのいいとこ取りを作品に活かそうと日々試みているわけですね。
天然と合成のローズを嗅ぎ分けてください
冒頭にも出した期間限定店舗では、合成と天然のローズを嗅ぎ分けて楽しんでもらう裏テーマも用意しようかと思っています。
具体的には、天然と合成のフローラル(ローズ、ジャスミン、リリーオブザバレー)を楽しんでもらえたらと思っています。
是非、今日話したような香水の世界についても気になってることはどんどん聞いてもらえたらと思います^^
それでは次回の記事もお楽しみに!!