9segsとN1の関係を改めて振り返る
この記事はこんな人にオススメ
N1分析や9segsを書籍などから部分的に取り入れてみたものの、手間や費用に見合ったアウトプットが得られなかったと感じる
9segsとN1って実は組み合わせて使うものですよと言われて「え?そうなの?」と感じる
9segsやN1分析は手法。その目的は顧客理解と顧客戦略による事業成長
書籍「たった一人の分析から事業は成長する 実践 顧客起点マーケティング」で紹介された9segsとN1分析ですが、最近、我々のプロダクトである9segs analyzerのユーザーの方から「9segsとN1は全く別ものだと思っていた」というコメントを頂くことがありました。
実際にはどちらも顧客理解と顧客戦略(WHO&WHAT)立案を目的とするもので、むしろ併用することで効果が最大化されます。
我々からの発信も9segsの定量的側面(NPIなど)に焦点が当たったものが多かったことが、「9segsは定量」と「N1は定性」、「9segsとN1は別もの」という誤解を産んでしまったのかもしれません。
そこで今回は、9segsとN1の関係性について扱ってみたいと思います。
まずはこちらで、M-Forceのアドバイザーでもある足立光さんが「9segsを使ったN1分析」についてグロース・キャピタル社代表の嶺井政人さんのnoteで語られている内容が、9segsとN1の関係について端的にまとめられているので、ご紹介します。
記事中にもあるように、9segsは別に定量分析のみに使用されるものではなく、顧客を「ブランドとの心理・行動による関係性によってセグメントに分類し、それぞれのセグメント内やセグメント間移動についての顧客理解を深めることによって、顧客戦略(WHO&WHAT)立案をより精度高く行う」メソッドなので、一人の顧客から事業成長のアイデアを得ようとするN1分析とは、むしろ併用することで双方の効果が高まり、成功する顧客コミュニケーションやプロダクト開発の確率を高められるものなのです。
このあと、よりN1分析と9segsの関係性について深く知りたい方のために、N1分析を成功させるための要素と9segsの関係性を、より深掘りしてみたいと思います。
N1分析を成功させるための要素と9segs
N1分析の成功について深掘りするために、まずは敢えて、N1分析に限らない一般的な顧客インタビューについて
「イマイチな顧客インタビューの後の会話」
としてよくあるものを挙げてみます。
・「いやー人によって結構言う事違ったね(どうまとめればよいのだろう・・・)」
・「割と知っていることばかりだったね(お金と時間かけたんだから何か示唆を出さなければ・・・)」
上記のような会話(と頭の中のモヤモヤ)が残るときは、もしかするとその顧客インタビューはうまくいっていないのかもしれません。
成功するN1分析の3要素
そもそもの前提として、N1分析からどのようなアウトプットを想定し、それを顧客戦略、ひいては顧客コミュニケーションやプロダクト開発にどう活用するかという目的の設定がまず重要です。
そのうえで、N1分析にはその成功を左右する大きく3つの要素があります。
誰を分析するか
どのような顧客とのやりとりをするか
どう解釈するか
それぞれの内容について今回はあまり深追いしませんが、9segsは(9segsが適切に設計できているという前提ですが)主に「1. 誰を分析するか」および「3. どう解釈するか」に活用することで、N1分析の成功率を飛躍的に向上させます。
例えば、同じ1人のロイヤル顧客と話している場合でも、その人が
積極ロイヤル顧客:「自社の商品を頻繁に購入してくれていて(売上貢献が大きい)、次に買うときも自社の商品を選ぶと思ってくれている人」
と
消極ロイヤル顧客:「自社の商品を頻繁に購入してくれている(売上貢献が大きい)にも関わらず、次に買うときは他社の商品を選ぶ/カテゴリー自体の購入を止めようと思っている人」
と話すのでは、得られる顧客理解が全く異なるでしょうし、そこから産まれるアイデアも全く異なるでしょう。
その他にも、9segsに基づいて取得した定量データで積極ロイヤル顧客と消極ロイヤル顧客で、デモグラや習慣・価値観などで特徴の違いが分かっていれば、そうした特徴を持った人にピンポイントに話を聞くこともできるでしょうし、得られた1人の人の顧客理解を、どの程度の規模感で捉えればよいのかも判断がしやすくなります。
実際にはこうした9segsとN1分析の併用を成功させるには9segs自体の設計やN1分析の運用時に注意すべき点が他にもあるのですが、それらについてはまた別の機会で扱いたいと思います。
9segsとN1分析を組み合わせた事業成長事例
最後に、9segsとN1分析を組み合わせた事業成長事例をご紹介します。
コロナ禍の危機を乗り越え、現在、複数年に渡って事業を年次平均157%で成長させている、アソビュー 専務執行役員CSMO 宮本武尊さんによるMarkeZine誌上の連載「アソビュー録:顧客起点マーケティングの実践例」は、アソビュー社がどのように顧客起点マーケティングを導入していったのか、その過程で直面したことや一部のKPIも公開されているので、参考になるかと思います。
※9segsおよびN1分析は商標登録済み