【本の紹介】気がつけばコロナも4年目。今更だけれどパンデミック小説
みなさんこんにちは、こんばんは、そしておはようございます。
人生のB面に入ってから読書に目覚めたオヤジ、タルシル📖ヨムノスキーです。
コロナウイルスの世界的流行からまもなく4年。未だ収束の目処が立たない中、なし崩し的に行動制限は緩和され、政府はインフルエンザと同じく5類に引き下げる検討を始めたとか、
今更ではありますが、今回は感染症の流行をテーマにした小説をご紹介します。
コロナ禍の混乱を予言したかのようなパンデミック小説6冊+1冊
●首都感染/高嶋哲夫 著
主人公は内科医で元WHOの感染症のプロ。彼が過去の経験と知識を総動員して感染対策を立案。元医師である厚労大臣と主人公の父でもある総理大臣が大英断を下していく様子は素晴らしいですが、実際のところはそこまで振り切った対策は実行できなかったという。これが現実か。
●H5N1/岡田晴恵 著
日本人は感染症に対する危機意識が低いそうです。その理由は日本が島国であることと、江戸時代の鎖国により大陸との交流がほとんどなかったために、ペストのような疫病による国家存続の危機がなかったからだとか。
著者は国立感染症研究所の元研究員さんなだけあって、感染が拡大していく様子がとてもリアルです。なんだかんだ言ってコロナウイルスは今のところ弱毒性ですが、これがもし強毒性に変異したらと思うととても恐ろしい。
●サリエルの命題/楡周平 著
いわゆるパンデミック小説として話が進むのかと思いきやそこは楡周平さん。切り口は庶民でも医療現場でもなく、経済と現行の保険制度の問題点の話でした。少子高齢化で医療費が高騰する現代、もしこの物語のようなことが起こったらどうなるのか?
ワクチンはどのくらい準備できるのか?
治療薬は完成するのか?
もし足りなかった場合の優先順位は?
これが2018年に書かれていたとは驚きです。
●夏の災厄/篠田節子 著
まず驚くのは、この小説が今回紹介した中では最も古く、25年以上前に書かれていたことです。
病気云々はともかく国や世の中の動きが今のこの状態を予想していたかのようにリアルに描かれていること。ゴミ問題に対する役所の対応の杜撰さや、厚労省の対策委員の決め方はもう読んでいてイライラしました。最後はこの後何かが起こりそうな終わり方で背筋が寒くなりました。
●BABEL/福田和代 著
未知のウイルスの脅威から人類を守るために、感染者と非感染者を別の区域に住まわせるとか、悪の非感染者の企みを感染者のレジスタンスが阻もうとする構図など、かなりSF寄りの設定ではあるものの、人々がウイルスに脅威を感じマスクを買い占める話とか、感染者を蔑視する感情や行動はコロナが明らかになったあの頃の日本そのもの。感染の後遺症として言葉を奪われるから〝バベル〟というネーミングは目から鱗でした。
●感染列島(映画ノベライズ)/和解学 著
2009年に公開された映画のノベライズです。元が映画なので、これまでにご紹介したパンデミック小説に比べるとリアリティに欠けるというか、理屈っぽくないというか、実に物語的というか。医師目線で描かれていてエンタメ作品としては見どころというか読みどころ満載でした。
そして、あの時最前線では…。
●臨床の砦/夏川草介 著者
コロナウイルスが猛威を振い始めた頃の地方病院のリアルな現実。あの頃コロナがこんなに長引くと誰が考えていたでしょう。最前線の医療機関がこんな状況なのに、国はなぜか1家庭に2枚マスクを配ったり、Go_to_Travelで経済を立て直そうとして結局Go_to_Troubleだったり。何が正しくて何が間違っていたのか自分には語る知識も資格もないけれど、早くコロナが終息して、この物語がドラマ化や映画化されて、「そういえばそんな時があったよね」ってマスクを外して肩を寄せ合って語れるような世の中になってほしいと願うばかりです。
最期に
いかがでしたか?
〝臨床の砦〟以外は全てコロナウイルス蔓延前に書かれた小説です。小説家さんの取材力と想像力に脱帽です。
何はともあれ、1日も早く特効薬が完成して、マスクなしで大手を振って歩ける日が来ますように。
最前線で戦ってくださっている医療現場のみなさん。
本当にありがとうございます。
最後に
読書っていいよね。