冬の北海道を愛車で旅するために
冬の北海道を愛車で旅をするのが好きです。
白銀の世界と凍てつく道。
純白の試される大地を自分の車で駆け巡る爽快感は言葉に表せません。
これは普段雪の降らない地域に住む私が冬の北海道を愛車で走るためのノウハウやあれこれをまとめた記事です。
※雪道の運転が不慣れな人に向けた構成になっています。
――なぜ愛車にこだわるのか。
それは自分の車で色んなところをドライブしたいという冒険心もそうですが、自分の車のほうがレンタカーよりアクセルやブレーキの感覚がわかりやすいというところも愛車にこだわるポイントの一つです。
加速加減やブレーキの効き具合は同じ車種でも一台一台異なります。少しでも走り慣れた慣れた自分の車のほうが安全性が高いというひとつの考え方です。
もちろん装備や仕様によって雪に不向きな車もあるので一概に安全とは言えませんが、乗り慣れた車のほうが安心感はあります。
1. 車の装備について
タイヤ
タイヤはスタッドレスタイヤにしてください。雪道にノーマルタイヤは無謀です。確実に滑って事故します。
オールシーズンタイヤでアイスバーンにチャレンジしてる方がいますが、スタッドレスより信頼度は下がります。やめておいたほうが無難です。
ちなみに私はブリヂストンのICE PARTNER2を使っています。どのメーカーを使ってもさして変わらないですが、自分の命を預ける足回りの妥協だけはやめておいたほうがいいです。タイヤは安かろう悪かろうです。
タイヤチェーン
次にタイヤチェーンですが、あったほうが安心です。北海道の人はあまりチェーンを使わないと聞いたことがありますが、私も北海道でチェーンを使った機会がありません。急斜面が多い地域でなおかつ比較的雪の多い道南では役に立つ機会があるでしょう。ちなみに道東や道北では全く使いませんでした。
ワイパー
スノーワイパーにしておくと安心です。私はノーマルで行きましたが、雪がこびりついて取れなかったり凍った水滴がワイパーから取れず、地味に鬱陶しいです。
ウィンドウォッシャー液
ウォッシャー液も凍りつきます。凍らないウォッシャー液を購入し、濃度を濃くしておきましょう。
雪道でトラックとすれ違ったとき、雪と一緒に泥も跳ね上がって窓にこびりついて視界が遮られます。これがそのまま凍りつくのでウォッシャー液がないと非常に鬱陶しいです。
バッテリー
寒冷地ではバッテリー性能が寒さによって低下し、-10~-20℃以下になるとエンジンが掛かりづらくなります。
寒冷地に弱ったバッテリーで行くとバッテリーが上がるため、古いバッテリーはバッテリー交換しておくといいでしょう。さらに寒冷地に対応した容量の大きなバッテリーにしたり、予備バッテリーを持っておくと安心です。
私は交換して半年ぐらい経った普通のバッテリーで行きましたが、気温が-20℃の釧路では1発でエンジンがかからず焦りました。ジャンプスターターを持っていくと、いざという時役に立ちます。私の経験上、-10℃までなら本州と同じ装備でも大丈夫だと思います。
駆動輪について
できれば四駆のほうがいいです。安心感が違いますし、雪道でのスピードも違います。
ですが二駆でも北海道は行けます。私のカングーはFFですが、困った場面はそれほどありませんでした。とは言え、やはり気を使った運転が必要になります。急な斜面や轍がない道はFFじゃ無理なので、そういった道は避けて通ります。
やはり二駆だと滑りやすくなるので、カーブ手前では普段より減速するなど、慎重な運転を心がけています。このあたりは後述する雪道の運転について解説します。
雪道では必ず四駆じゃないといけないというわけではなく、二駆より運転が楽になるという考え方がいいかと思います。
そのほか
車にワックスがけをしておくと雪がサラサラと落ちるのでおすすめです。
また、フロントガラスにガラコを塗っておくのも同じく効果を発揮します。
帰ってきたあとは早いうちに洗車しましょう。雪道に巻かれた凍結防止剤(塩化カルシウム)がこびり付いて錆の原因になります。
2.雪道の運転について
事故をしないための雪道の運転について私なりのポイントをまとめました。
車間距離を本州以上に保つ
本州より前車との車間距離を多めに保つように運転します。万一ブレーキ最中に滑った際でも、車間距離を保っていれば追突防止につながります。
また、北海道でシカの飛び出しは日常茶飯事です。その際に車間を空けていないと前車が急ブレーキを踏めばまず追突します。防衛対策としても車間距離の維持は重要です。個人的にちょっと距離空いてるなぐらいがちょうどいいと思います。
私の住んでいる愛知県のように、ちょっとでも車間が空いていると割り込まれるとかそういう事は考えないほうがいいです。
観光として冬の北海道に来ているので、雪道に慣れていなくて当然です。ですので、他県ナンバーの車から距離を取る北海道の地元ドライバーも多いです。
発進時のアクセルは優しくゆっくり
発進するときはアクセルをそーっと踏み、エンジン回転数をゆっくり上げながら加速します。乾いた路面でやるいつもの踏み方だと滑ってタイヤが空転し、滑って発進できません。
四駆なら少し踏み込んでも空転せずに発進できますが、二駆の場合はいつもの倍近い時間をかけてゆっくり発進します。
発進時が一番滑るので、一度発進すればスムーズに加速できます。
特に踏切手前は段差を超えるためアクセルをふかす傾向があります。それによって路面の氷が削れて段差ができ、グリップ力が弱まるので滑りやすくなっています。私は滑ってなかなか発進できなくて焦りました。
滑って空転したときは一度アクセルから足を離し、エンジンの回転数が弱まってから再びアクセルを踏むと発進しやすいです。
このあたりの運転は感覚と慣れです。コツは「優しくゆっくり」です。
ブレーキングは複数回に分ける
一気にブレーキを踏んだり、連続してブレーキを踏むと滑りやすいです。
停止位置手前から徐々にブレーキを踏み、ブレーキを踏んでは離しを繰り返してゆっくり減速します。エンジンブレーキと併用すると滑りにくいです。
ブレーキで滑るときは「ゴゴゴゴゴ」という鈍い音がして車体が横滑りします。滑ったときはブレーキから足を離し、ハンドルを切って体制を整え、惰性状態を作り出してから再びブレーキを踏みます。
ABSがあっても滑るときは滑るので、注意が必要です。
こちらもアクセルと同じく、優しくゆっくり動作することを心がけるといいと思います。
カーブ手前ではいつもより減速
カーブ手前では減速し、カーブを曲がっている最中はブレーキを踏まないように運転してください。ブレーキを踏むながらハンドルを切るとスピンします。カーブ途中で速度が出るときはエンジンブレーキを併用すると曲がりやすいです。
ホワイトアウトでは絶対止まらない
吹雪で真っ白になって視界がなくなることをホワイトアウトといいます。
風が強い地域ではホワイトアウトになることが多々あるので注意が必要です。
予め天気予報をチェックして荒天時の運転しないことが一番安全ですが、そうもいかない場合があります。
ホワイトアウトに遭遇した場合はハザードを点けてなるべく速度を落とし、とにかく止まらないようにしてください。闇雲に止まると後続車に追突されます。
シェルターがある場合はシェルターに逃げ込んだり、なければ入れそうな沿道のコンビニや道の駅に避難するのも手です。
ホワイトアウトは一時的かつ局所的なものなので、しばらく走ると視界が開けます。焦らず落ち着いて運転することが大切です。
日没後の運転はなるべく避ける
街を離れると街灯が少なく、かなり暗いので必然的にハイビームを使いますが、それでも昼間より路面が見づらいのは確かです。
また、シカなどの発見が遅れて接触するリスクが高いです。
さらに夜間にホワイトアウトに遭った場合、昼間より見えないので絶望的です。夜間の運転は極力避けるようにしています。
駐車時はサイドブレーキをかけない
サイドブレーキをかけて長時間駐車すると凍りついてサイドブレーキが解除できなくなります。AT車の場合Pレンジにいれ、傾斜がついた駐車場では輪留めを使用してください。自動でサイドブレーキがかかる車種でも凍るので予め設定で解除してください。
ちなみに凍結した場合、自力で解氷するよりJAFを呼んだほうが手っ取り早いです。
そのほか、むやみに車線変更しない、なるべく他車を追い越さない、轍の上を走行するといった、路面が滑ることを防止した運転を心がけています。
3.道具について
車にはある程度の除雪道具を積んでおきます。これは駐車場に戻ってきたら雪がどっさり積もってて、除雪しないと発進できない事態が起こりうるからです。
雪の降らない地域では除雪道具のラインナップがショボいので、雪国や北海道の現地のホームセンターで入手します。現地の方が安価で良いものが手に入ります。
同時に、本州ではなかなか売ってない高性能な雪靴や防寒グッズも一緒に手に入ります。北海道についたらまずはホームセンターに駆け込みましょう。
除雪スコップ
スコップ部分が幅広になっているワイドサイズと氷が砕けるタイプの鉄製のもの2つあると安心です。最低でも土を掘れるような鉄製のスコップだけは持っておいたほうがいいです。
洗車ブラシ
雪払いに。スノーブラシなんてどうせ冬しか使わないので、夏は洗車にも使える洗車用のブラシがいいです。これ一本あれば車の雪落としは事済みます。
伸縮するタイプの窓クリーナー
これはルーフ部分の雪落としに。窓掃除に使えるやつで十分です。雪落とし専用のものを買う必要はありません。
スクレイパー
車体についた氷を砕くのに使います。消耗品なので安いので十分です。
ただし、あまりガリガリやり過ぎると車体が傷つきます。
解氷スプレー
1本あると便利です。主にフロントガラスやサイドミラーの氷を溶かすのに使います。
牽引ロープ
雪にハマって牽引してもらう時に。そういうときはJAFを呼んだほうがいいです。
脱出マット等のキット
保険というかお守り。これ使っても無理な時は無理です。
これらを積んでおけば私の経験上、なんとかなります。
4.車中泊をする場合
車中泊はそれぞれ各々の工夫があると思いますので、ここでは冬場の車中泊において私がやってることをまとめました。
朝の気温が-10℃以下になるところでは車中泊しない
後述しますが、キャンピングカーのようにFFヒーターや断熱が強化された車では余裕ですが、そうでない場合はやめておいたほうが無難です。
車中泊での連泊は3日まで
氷点下だと寝ていても体力の消耗が激しいです。なおかつ連日なれない雪道を運転して神経を使うので、3~4日に1回はホテル泊してきちんと体を休めたほうがいいです。
ポータブルバッテリー等の充電や衣類の洗濯はこのときまとめて行います。いわば体と身の回りの充電も兼ねているわけです。
暖の取り方
あれこれ試した結果、最終的にカセットガス(CB缶)で温風が出る「風暖」を購入して使っています。-10℃までならこれで耐えれます。
しかし、酸欠になったりガス中毒になる危険があるので、定期的に換気し、つけっぱなしで寝ることはできません。寝るときは消火するので、朝の車内の気温は氷点下になります。
キャンピングカーのようにFFヒーターを積んだり、断熱強化をしてないので-10℃以下になるところでは体力の消耗が激しいです。朝の気温が-10℃以下になるところでは車中泊しないというのはそういった点があるからです。
車内の気温が氷点下だとCB缶は点火し辛いので布団の中にCB缶を入れて温めて寝ます。
ちなみに私は車でも家と同じ環境で寝たいので、家から布団を持ち込んでいます。毛布を二重にして、寝る時に湯たんぽを足元に仕込んでおけば氷点下でも朝までぐっすりです。
窓の断熱
窓にはすべて銀マットのアルミ部分を窓に貼り付けて冷気をシャットアウトしています。これだけでだいぶ違います。
5.そのほか準備しておくと役に立つもの
JAFの会員証
いざという時役に立ちますし、見せると割引が効く施設があります。会員に入っておくといいです。
トイレの場所
冬季閉鎖というトイレがとても多いです。開いてるトイレは予め調べておきましょう。
ガソリンスタンド
北海道は街を離れるとガソリンスタンドが少なく、燃料切れは命取りです。郊外や山道を走るときは燃料計と航続距離を常に気にしておき、ガソリンスタンドの場所と営業時間を調べておきましょう。24時間営業のスタンドはとても少ないです。
冬季通行止めの道
夏場は通れたのに行ったら通行止めだったという道は結構あります。Googleマップに反映されていない場合も多いので、予め調べておきましょう。
冬季閉鎖の施設
意外と多いです。行ったらやってなかったトホホ…とならないように。
さて、いろいろとノウハウをまとめてみましたが、雪国の方たちにとっては当たり前なことばかりだと思います。ですが、雪がほとんど降らない地域の私にとって雪道を走る冬の北海道というのは一種のスリリングな冒険です。
拙いノウハウではありますが、自分の経験してきた「冬の北海道を走るとはどういうものか」を共有することで、少しでも安全に、無事故で旅ができるようになれば幸いです。
皆さんの冬の北海道の旅が素敵なものになることを願って止みません。
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