丘の上に異国の風を感じて
異人街として知られる神戸の北野地区には20以上の洋館が存在します。
江戸から明治にかけて来日した外国人が丘の上に邸宅を連ね、文明開化の足音が最も近くに聞こえた街のひとつです。
今回はそんな数多くの洋館が残る街、北野異人街界隈をぶらぶらしてきました。
かつて江戸幕府は長崎の出島のように、外国人隔離を目的に居留地を設けていました。
明治になって外国人の数が増えてくると各居留地では手狭となったため、政府は外国人に対し、居留地以外に住むことを認めました。
神戸では明治政府の手によって港の居留地から山手の方へ道が整備されます。特に北野地区は港が一望できる高台だったため、次第に外国人が居住するようになりました。
かつて農村地帯だった北野地区には洋館が増え、異人街として名を馳せるようになります。
太平洋戦争の空襲によって神戸の街は大半が焼失してしまいますが、現在洋館が建つ一体はかろうじて焼失を免れました。
戦後も開発によって洋館が次々と壊され、マンションやビルへと変わっていき、現在まで残っている洋館は全盛期に比べるとごく僅かとなってしまいました。
現在では伝統的建造物に指定されているものも多くあり、洋館の歴史的価値が認められてきています。
そんな洋館の一つであるうろこの家に足を運びました。
正式名称は旧ハリヤー邸といいます。建物の外壁が鱗のように見えることから「うろこの家」という愛称がつけられています。
神戸で最初に公開が始まった異人館で、館内は当時使われていたアンティークな家具や食器の数々が展示されています。
背景の木々はすっかり秋色です。
ターコイズブルーに塗られた柵。この街でよく見かける色の一つです。
神戸に来たら定番の異人館巡りですが、何度来ても風景が新鮮に映ります。
横浜や函館などと同じく、開港した場所ということが大きなキーポイントとなっているのでしょう。
日本にいながらどこか知らない国を訪れたような、異国の風を季節の流れとともに感じたひとときでした。