しおこうじ玉井詩織×坂崎幸之助のお台場フォーク村第136夜「ももいろフォーク村10周年」
ソロシンガーとして活動していた藤崎未花。彼女がアーティスト名義を改めて、新たに結成した2人組がMINT SPECである。活動を始めて3年目となる2022年。地道な努力がついに実を結び、テレビ出演の話が舞い込んだ。その番組は、フジテレビNEXTで放送された、『しおこうじ玉井詩織×坂崎幸之助のお台場フォーク村』である。
9月13日に生放送され、その晩のうちに再放送。さらに10月19日24時からは、アフタートークも含めた完全版が放送された。
共演するのは、なんとTHE ALFEEの坂崎幸之助、それに加えてももいろクローバーZだ。さらに脇を固めるのが、ダウンタウンしおこうじバンド。その中には、YOASOBIライブのベース奏者・やまもとひかるもいる。コーラスの加藤いづみも、『好きになってよかった』という曲には筆者も聴き覚えがある。
初めての大舞台。ほぼ実績ゼロの状態でこんな豪華な面子に囲まれては、緊張するなというのが無理な話だ。見る前から心配だった。
こちらも固唾を飲んで見守る中、MINT SPEC登場。まずは、THE ALFEEのカバー曲『希望の鐘が鳴る朝に』を披露した。
Miiのまばたきの回数が異常に多い。緊張度は非常に高く、見ているこちらにもありありと伝わってきた。
Aメロは、か細い声で頼りない。コーラスの坂崎幸之助の方が、音量が大きく感じられるぐらいだ。なんとも不安なスタート。その中でも、笑顔を忘れなかったことは救いだった。
低域は必要なブレスの量も通常より多めになるが、心臓が脈打ちし過ぎて、十分に息を吸い込めなかったのだろうか。心配が的中した形になったが、仕方ない。
間奏では、Tsukushiがギターの弦の上で、指を一気に滑らせていくシーンを、カメラがしっかり捕らえていたのが見どころだった。
MiiはYouTubeの配信で、このような後日談を話していた。まさかこの選曲になるとは、MINT SPEC本人たちも思っていなかったらしい。
しかし番組サイドからの提案を受けることにした。カバー動画のボーカル・レコーディングでは、Aメロの弱い部分をフェーダーを上げて補強しているが、生放送ではそうはいかない。でもジタバタしても仕方ないので、今の実力をそのまま出そう!こういう経緯があった。
演奏が終わり、MINT SPECが軽く自己紹介をした。坂崎幸之助が「X JAPANのカバーもやっているよね?」と言葉をかけ、Miiが「はい、そうです。」と答える。THE ALFEEのカバーだけではなく、他にどんな動画をあげているかまでチェックしている。これは関心度が高い。
さらにこんなやりとりも。Tsukushiは坂崎幸之助に憧れて同じ高校を受験し、合格。晴れて高校の後輩となった。坂崎幸之助が創立したフォークソング同好会に入り、ギターに明け暮れる。サークルは現在も存続しているという。坂崎幸之助が在籍していた当時は、学校にギターを持っていくと怒られたという。そこでなんとかしようしたのが、始まりなのだそうだ。
番組冒頭ではダウンタウンしおこうじバンドの紹介があった。そこで高城れに推しの演奏者がいたので、彼女はご機嫌。その後MINT SPECの登場で、Miiも高城れに推しだということが分かる。両者、嬉しさを隠しきれないようすだった。
番組終了後、高城れにから直々にサイン入りブルーレイがMiiに手渡されたそうだ。さらに、高城れにの方から、インスタグラムで一緒に2ショット写真を掲載しましょうとのお誘いもあった。なんて良い人なんだ!尚、1日限定公開のため、現在は見ることができない。
ひとしきり歓談した後、「それではもう1曲、オリジナル曲をやっていただきましょう」というアナウンスが入った。「おおー!テレビでオリジナル曲が歌えるのか、MINT SPECやったなあ、おめでとう!」と思ったものだ。
ここで『夢花火』がスタート。
Tsukushiが用意した、ギターと歌を抜いた伴奏・マイナスワンならぬマイナスツーを流しながらの披露で、他の出演者は後ろで見守るものかと思いきや、まさかの生バンドアレンジ。坂崎幸之助以下、バンドメンバーも生演奏に参加する、この場限りのレア・セッションだった。これは驚いた!
この曲は放送に先駆けて、藤崎未花名義で発表された既発の動画とは別に、MINT SPEC名義で改めてYouTubeに公開されていた。その意図はここにあったのか。
坂崎幸之助は『夢花火』の演奏を終えて、高見沢俊彦の香りを感じるメロディーだと言っていた。Tsukushiも「無意識のうちに、影響はあったかも知れません」と笑顔で答えていた。憧れのミュージシャンが、自分の作った曲を一緒に弾いてくれた上に、感想まで寄せていただけるとは。感無量だったに違いない。
Miiの方は、1曲目では素人目に見ても緊張したようすがありありとわかったが、ここは持ち歌。立て直した。
曲の中盤は、伴奏がほぼピアノだけになる場面もあった。ここはボーカル1本でサウンド全体を引っ張らなければならない。自身のアルバム『ALL OF FUJISAKI MIKA』は全体通して、しっかりしたサウンドにボーカルが守られているイメージもある。自分の声がむき出しになる、このパートはかなりの重圧だったろう。
さらにまさかの3曲目。これは予期できなかった。ももいろクローバーZ全員が椅子から立ち上がり、『Moon Pride』を披露。
元気よくキレのある振り付けで盛り上げたMii。両肘を曲げて拳を突き合わせるポーズでは、表情も冴え渡っていた。一番踊れていたのはオリジナルメンバーを差し置いて、Miiだった。坂崎幸之助の目にも、そう映っていたようだ。
歌唱面では悔しさが残ったかもしれないが、パフォーマンスではしっかりと片鱗を見せた。ももクロのメンバーも、「私たち、この曲久々だし、むしろ引っ張ってもらった」という旨の発言をしていた。これはお世辞でも何でもなく、本心から出た言葉だろう。筆者にも、カバーしているMiiの方が、動きにおいては本人たち4人をリードしているように見えた。
玉井詩織のはめていた指輪が、振り付けで動いた拍子に遠くへ飛んでいってしまい、MCを一時中座するハプニングもあった。
MINT SPECは、出だしこそ不安な立ち上がりだったが、2曲目で持ち直し、ダンスでもうひと盛り上がりを作った。
一度退場したMINT SPECも、引き続き番組を観覧。最後は全員での合唱に加わった。今後、番組でカバーするアルフィー楽曲を何にするかという話になる。
憧れのアーティストを初めて目前にした上に、曲を知り過ぎているが故になかなかひとつに絞れないTsukushi。
ここでMiiが助け舟を出した。「私個人が好きな曲でいいですか? 」と『Masquerade Love』を提案。他にも、MINT SPECのファン独自にとったアンケートで、『Brave Love~Galaxy Express 999』が人気だったとも話していた。
これからは、とにかく場数を踏んでいくことだ。特にボーカルのMiiは素人っぽさが抜け切れていない。自宅からYouTube配信する分には無類の強さをみせるものの、アウェイの地ではまだまだ。
Miiの成長と、それをTsukushiがどう誘導していくのか。今後のMINT SPECの見どころだ。
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