フランス映画『眼には眼を』(1957)のネタバレ感想文。
◆『眼には眼を』(1957/仏+伊) アンドレ・カイヤット(1909-1989)監督
日本Amazonでのカスタマーレビュー
アメリカの映画サイトでの評価。英語圏では知名度が低いようです
フランスAmazonでのカスタマーレビュー
VHSビデオのジャケット写真
偉そうに「◎傑作/◯秀作/△佳作/▼凡作/×駄作」の5段階で満足度を表示していますが、本作の個人的評価は、「サスペンス・ミステリーの△佳作」。
=============ネタバレ感想文=============
・北アフリカ?の病院に勤務する腕利きのフランス人医師「バルテル」と、バルテルの休診日に現地の医師に妻を子宮外妊娠を盲腸と誤診されて亡くしたアラブ人?の印刷工「ボルタク」の二人が本作の主役。どちらも名演でしたが、ボルタクを演じた太った役者が特に素晴らしかった。
・ジャンル的には、主に室内で進行するカフカ原作の映画◯『審判』(1962/仏ほか)の「屋外」版とでもいうべき「(主人公にとっての)不条理サスペンス」。◯『オールド・ボーイ』(2003/韓)も、「(主人公にとっての)不条理サスペンス」だった。
・特に終盤の延々とハゲ山を登り下りするだけの絶望感がいい。「後進国」にやってきて自分たちのルールを問答無用で押し付ける傲慢な白人が現地の未開人(←白人目線では)に復讐される、という設定は▼『裸のジャングル』(1965/米+南ア)を彷彿とさせる。
・前半は「腕利きの白人医師(バルテル)しか頼りにできない環境で、その医者に見捨てられた」と思い込んでいる男が、後半は逆転した立場で「フランス語が通じる唯一の現地人(ボルタク)しか頼りにできない環境で、その現地人に……」という構造になっている。まさに「眼には眼を」だ。
・「主従の立場が逆転もの」?の映画だと、◯『召使』(1963/英)、『流されて…』(1974/伊)などが思い浮かぶ。
・映像的には、「命綱無しで乗る粗末なゴンドラ」の場面が一番緊張した。なぜ、この場面をもっと引っ張らないのか? 盛り上がるのに。
・終盤の舞台は「砂漠」ではない。砂漠のように遠くまで見渡すことができない「山々の連なり」で、だからこそ「山麓での希望(=町は近いかも)」と「山頂での絶望(=延々と続く山々)が何度も繰り返され絶望感が増幅する。
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