どんな夢見ました?
遠い知人に、映画・黒澤組の美術さんだった初老の男性がいる。
黒澤映画がカラーになった時からずっと関わったという。特に思い入れがあるのは『夢』だと聞いた。
ある日、彼が湯島天神で梅まつりの舞台を創っているところへ伺った。
まつりの初日も迫り作業も佳境。うっすら緊張感も漂う中、ご挨拶する。短い話の中「『夢』観ましたよ」と伝えた。大忙しのはずの彼は超自然に応える。
「どんな夢見ました?!」
私の口は「あ」の形に開いたままポカーン(「あ、黒澤映画の…」と補足したものの、後でもっと気の利いた事を言いたかったと後悔)。
これが、やさしさでなくてなんであろう。これまでの人生最大とも言える神懸かったお言葉である