見出し画像

物語の謎

芥川龍之介『藪の中』を表現するー

傑作の共通点

時代を超えて読み継がれる傑作の共通点は、「今を問う力」。風化せず普遍性を保つ。

表現の真実

自分は〈語り〉で表現をする。作品から汲み取った、聴き手にどうしても伝えたいものが〈表現の真実〉。〈語り〉は、聴き手の想像力無しに成立しないが、語り手に〈表現の真実〉を伝える心技体が無ければ、聴き手は想像力が働かず、「面白くない」となるか熟睡する。

さて、『藪の中』です

画像1

『藪の中』の〈表現の真実〉とは?  登場人物と事象をチャートにして書き出したが、これは辻褄合わせにしかならない。勿論、合うわけない。

『芥川龍之介全作品辞典』には、『藪の中』の真相の追求、解釈の変遷が詳しい。中で、大岡昇平は「真相さがしはどうでもいい。…対象たる作品の虐殺ではないだろうか」という。

これまで、芥川の『奉教人の死』を二度にわたり舞台化したが、初演の際、解釈に取りつかれ「何故?」の迷路にハマった。そんな時に教えを乞うた先から鉄槌的な助言があり、「刹那の感動に極まる」一点に戻ることが出来た。それ故、『藪の中』大岡論に説得力を感じる。

〈確かなものなど無い〉という現実ーこれが「藪の中」の着地点かも知れない。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?