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~にっぽん怪盗伝『正月四日の客』~(池波正太郎作) 表現活動は不要では無いことを信じて自主公演再開。 秘めた過去を持つ蕎麦屋の亭主と大泥棒に芽生えた親愛の情、 そして、人の心と食の結びつきを描いた白浪物を、作者の命日に上演。 お客様と関係者のご理解と勇気合ってこその本番でした。 皆様、本当に有難うございました。 撮影:osamu137
浜の砂は踏みしめるとキュッキュッと不思議な音がした。アキは首にかけたお守り袋を弄びながら浜辺を歩んでいた。海は青にほんの少し緑を混ぜたような色で透き通っている。砂浜も白く輝くようだ。アキがこの間まで住んでいたところも海岸が近くてこうして遊べる浜があったけれど、この浜の方がずっと綺麗だった。しかしアキは音を立てて砂の上を歩きながらずっと浮かない顔をしていた。 先日この街に引っ越してきたばかりで、アキにはまだ一緒に遊ぶ友達もいない。浜で遊ぶときはコトちゃんといつも一緒だったか