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ラグビーチームと地域密着〜一番身近な『ファンになる理由』〜

(この投稿は、トップリーグ2021開幕前に書いた『ラグビーとジェンダー』シリーズを加筆訂正したものです🙇‍♀️)

1.日常は《チーム》とともに〜Bリーグの躍進〜

週末には、プロバスケットボールBリーグを見る。ホームは広島、渋谷、富山、と地域は様々だが、どこも概ね大入りだ。客席に目を向けると、

明らかにバスケットの経験はなさそうな、かなりご年配のご婦人方

が、長袖Tシャツの上にバスケシャツを着ている。

東京の街中で、

《バスケシャツを着たシニアのご婦人》

に出会うことはない。新鮮な光景だった。

この方々がなぜ試合観戦していたのか。

『地元のチームだから応援に来た』というシンプルな動機がまずあるだろう。

東京は、野球だけで二つ、サッカーに至っては多すぎていくつあるかわからない。こんなプロスポーツに溢れた環境は地方にはない。

地方における地元スポーツチームの存在感は、東京に住む私の想像を超えて、大きなものになりつつある、そう感じた。

週末にはアリーナに集い、今は無理だが、以前なら、この周辺で試合前後に楽しく飲み食いしながらチームや試合について話は尽きなかったはずだ。週明けには会社や学校で試合の結果を話題にする。チームが日常生活の一部になっている、そんな風景。

『俺にはリバプールの血が流れてるんだ!』

サッカープレミアリーグの取材記事には、しばしばこういう熱烈サポーターのオッさんが登場するが、ここまでいかないまでも、

『俺の、私の生活は、このバスケチームと共に回っている』

そう意識するファンは、年齢性別を超えて確実に増えているのだろう。

お隣ご近所、というコミュニティーが地方でも薄れた今、『地元スポーツチーム』が

地域のコミュニケーションの核

として日本各地で機能し始めている証ではないか。

2.スポーツの地域密着

東京のベットタウン、多摩西部の中核都市立川市のお隣日野市は、

『トントントントン、日野の2トン』のCMで知られる『日野自動車

の城下町として知られている。この企業城下町に本拠地を置く、ラグビートップリーグ所属の

日野レッドドルフィンズ

は、トップリーグチーム中、唯一会社名を外した企業ラグビーチームだ。(注 2020年当時)

ちなみに、同じ業界『トヨタ自動車』のラグビーチームは《トヨタ自動車ヴェルブリッツ》を名乗る(注 2020年当時。現在はトヨタヴェルブリッツ、と自動車の呼称を外している)

 プロ野球は複雑だ。『プロスポーツの老舗』特有のしがらみもあるのか、埼玉西武ライオンズ、北海道日本ハムファイターズなど、地名と企業名が併記されている。

とはいえ、日ハムや千葉ロッテマリーンズ等、地域密着型に衣替えして人気が高まった球団は多い。

Jリーグ発足時の『スポーツの地域密着』という理念は、約三十年の時を経て、ようやく日本にも根を下ろしつつあるということか。

私達も、企業名の入らないスポーツチームになんら違和感がなくなった。バレーボールと並んで企業スポーツの代表格といえるラグビーでも、『自動車』がつかないこのチーム名を、ある種当然の事として受け入れている。

3、あなたは地元選手、私は地元市民

このコロナ渦で、試合はもちろん練習すら満足に出来なかった間、各ラグビーチームは様々な地域貢献活動を行ってきた。

例えば、ヤマハ、リコー、神戸製鋼は朝の通学路見守り運動を実施、前述の日野は街の清掃活動に参加している。地元住民にとって、彼らラグビー部員は

自分の子供の通学を守ってくれるお兄さん達、自分の街を一緒に綺麗にしてくれるお兄さん達、だ。

例えば清掃活動後、日野の部員と清掃活動に参加したシニア女性との間で、

『年明けから試合があるので見に来てください。』

『いつもありがとう。必ず行くわ』

こんな会話があっても不思議ではない。その女性は、目の前にいるたくましい好青年が、ラグビー日本代表候補なのか、ベテランで引退間近なのか、若手だがチームで出番が少なく悩んでいるのか、場合によっては名前すらわからない。

しかし、彼はこの地元チームに所属しているし、こうやって地域の生活向上にも貢献してくれている。しかも見るからにスポーツマン体型で素敵だわ!応援に行ってもいいな。

こういう感情を彼女が持つのは自然の流れだ。

ここでは、私の嫌いな言葉をあえて使うが『ニワカか、そうでないか』は関係ない。すなわち『いつからラグビーファンになったのか』というファン歴等は問題とならない。

彼女達の理由はただ一つ『彼は日野のチーム選手で、私は日野市民だから』これに尽きる。

4.彼に必要な事は


いつの事だったか。

清掃活動に参加した日野の選手がTwitterで『自分は有名ではないから』というニュアンスの発言をしていた。

それは違う。

彼は『日野』の選手だからこそ、日野市の活動に参加する意味がある。彼に必要なものは

社会人としての礼儀正しさに加え、明るい『笑顔』、『試合を見に来てください』と口に出す勇気

それだけだ。

その笑顔と一言が、目の前の女性に『ラグビーファンになる』貴重なきっかけを与えてくれる。

そして、この積み重ねが、《自らの試合でラグビー場を満席にする》一番確実な道だと思う。


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