大学ラグビー2022/23観戦記☆12/4・早明戦〜この景色こそ〜
1、年末の聖地に
ホームに降りると、頭上の空に雲が立ち込め日差しは翳りを帯びてきたが、まだ空気にはほのかな温もりを感じる。
JR千駄ヶ谷駅 午後1時
改札口から猛烈な人波😨、横断歩道を押し流されるように渡ると、目の前の東京体育館前で大柄屈強なおじさんとすれ違った。
なんの大会だろう❓
ああ、柔道か😳😳
小学生のトーナメント大会廃止など、競技人口増加に向け改革が進むこの競技、
将来『この舞台』にたどり着くのはほんの一握りだが、広い裾野があってこそ『晴れ舞台』はより輝くだろう🌟🌟
私の目的地はその先、柔らかに色づいた木々に囲まれ、早くも紫紺の幟が見えてきた🔥🔥
日本ラグビー界【年末の風物詩】にして最大の人気イベントが始まろうとしている。
2022年12月4日 関東大学ラグビー対抗戦A 早稲田大学vs明治大学@国立競技場
『早明戦』
不動の人気を誇るこのカード、国立は紫紺の、赤黒の、各グッズを手にしたファンで賑わっていた。両校のグッズ販売には長蛇の列、おお、明治には福袋(5000円)まであるぞ🌟🌟
会場内は思いの外暖かかった。両校の選手達は練習を始めるらしい。客席の拍手の音が聞こえる。
私は考えていた。
【早明戦とはどう戦うべき試合なのか。】
選手達の最終目標が『大学選手権優勝』であるならば、この試合は、サッカー日本代表の最終壮行試合に近い位置付けになるだろうか。
帝京に破れ、既に2位、もしくは3位が決まっている両校。この日負ければ選手権3回戦で、今季大躍進を遂げた東洋大学との対戦が控える😨😨
長身かつ屈強な部員達を擁する東洋といかに戦うのか、さらに25日が早明再戦になったら、、
となると、早明戦での両校の目的は、
①とにかく勝つ❗️3回戦は回避したい。
②大学選手権での対戦相手を想定し、この試合でプランを実践❗️
という事になろうか。【この試合に手の内の全てを明かし全力勝負🔥🔥】というわけにはいかないだろう。
しかしこの試合は『伝統の一戦』だ。これを楽しみに一年を過ごす多くのファンにとっては、この場が『選手権に向けての調整試合』になるのはちょっと複雑だろう、おそらくは。
選手達は声を出しながらメニューをこなしていく。一年生はともかく、両校部員はコロナ禍に、『学生生活と選手人生』を翻弄されてきた。
そしてこの日、あらゆる意味で難しい『伝統の一戦』に挑もうとしている。
両校チームは練習を終え引き上げていった。
観客もかなり入っている。私の周りは明治、早稲田のファンが程よく混ざり合い、若き日の思い出話に花を咲かせていた。
会場にファンファーレが鳴り響いた。試合前セレモニーが始まろうとしている。
2.前半〜稲妻の如く〜
選手達が入場してきた。両校共にフィールドコートが黒なので、遠目に区別はつかないが。
【校歌静聴】
斉唱ではなく『静かに聞きましょう』ということらしい。起立も促されない。
まずは明治から。メインでもバックでも紫紺の小旗が揺れている。
そして早稲田。赤黒の小旗が揺れ、振り上げる腕が見える。
『ママ、早稲田はいつまでワセダっていうの⁉️』隣に座る娘は校名の連呼に驚いたらしい。娘よ、取り寄せた受験案内を読んでいないのか🥲
歌い終えた選手達はベンチコートを脱ぎ円陣を組んだ。歳のせいかジワっと涙が出た🥲
早明戦、どんな試合になろうとも、これからの80分+αは全て彼らだけのものだ❗️
試合が始まった。
* * *
意外にも、試合はその直後に動いた。
明治は、開始早々敵陣でマイボールのラインアウトから、、
パスする、と思いきや自ら走り出した明治9番萩原くんはスルスルと走り抜け、そのまま3番10番と繋ぎ、最後は13番斉藤くんが余裕を持ってゴールラインを超えた🔥🔥
明治大学 先制のトライ🌟🌟
12番広瀬くんは確実にCGを決めた🔥🔥
7ー0
即早稲田は反撃する🔥🔥
右に左にボールを動かす早稲田、しかし、明治は余裕を持って彼らを止めていく🔥早稲田は前進できず、逆にジリジリと後退していくが、、
ここで明治に反則😨しかしチャンスを得た早稲田にもペナルティー😨
陣地挽回の明治、確実に前に出る明治の攻撃が続く🔥
ボールは右へ、果敢に明治キャプテン11番石田くんが飛び出す。今度は左へ、さらに右へ、前進しつつボールは目まぐるしく動いていく🔥🔥
そしてついに、大外右にボールは放たれた。『紫紺のイナズマ』石田くんの激走が始まった🔥🔥
真っ直ぐにグラウンドを切り裂きながら、大歓声を背に石田くんは走り切った🔥🔥
明治、この日2本目 疾風トライ🔥🔥
広瀬くんは難しい角度も外さない🔥🔥
14ー0
まだ前半10分だが、明治の先制攻撃は続く、、
明治はリスタートのボールキャッチに失敗、これを機に早稲田が深く攻め込んでくる🔥🔥
ここから両軍はキックの応酬で前進の機会を窺う。
明治はキックで自陣深くから脱出、早稲田ボールラインアウトとなるが、ここでノットストレートの判定😢早稲田はチャンスを逸してしまう。
両チームは更なるキック戦で事態の打開を図る。ボールを奪取した早稲田14番槙くんが走る🔥🔥
ここで明治ペナルティー、早稲田は敵陣内へ🔥
しかし、またも早稲田のラインアウトはノットストレートの判定😨😨
とはいえ、
明治はスクラムで優位に立ちながらその後自らのペナルティーでチャンスをふいにしてしまう😢
窮地を脱した早稲田、
しかし、蹴ったボールがタッチにでない😨😨
そのまま明治の攻撃が始まった🔥🔥
明治は敵陣内でマイボールのラインアウト、
明治10番伊藤くんは巧みなステップでディフェンス網を突破🔥🔥最後は15番安田くんが余裕をもって決めた🔥🔥
明治大学 この日三本目 技アリトライ🌟🌟
広瀬くんは難しい角度をまたしても決めた🔥🔥
21ー0
まだ、前半25分、早稲田よ、どうする😨😨⁉️
さて、
何が根本の原因か未だに分からないが、ここから試合は混沌としてくる。
リスタートから明治石田くんが一気に抜け出し会場を沸かせるが、早稲田がボール奪取、しかも明治のペナルティー😨
早稲田は、マイボールのラインアウトからボールを一気に左へ、大外左に早稲田11番松下くんが出番を待っていた❗️
松下くんは疾走、誰も追いつけない🔥🔥そのまま左隅へ真っ直ぐ飛び込んだ🔥🔥
選手達に朗らかな笑顔が弾けた🌟🌟
12番吉村くんはCGを慎重に決めた🔥🔥
早稲田大学 まず一本目 反撃のトライ🌟🌟
21ー7
ここからは、観客がオオーッ😳とどよめく程長くキックの応酬が続く。そして、、
明治の蹴り上げたボールを早稲田はチャージして奪取🔥🔥
明治は奪い返すが、ここでもペナルティーを犯す😢
早稲田は敵陣へ入った。
早稲田ボールのラインアウト、しかしボール獲得は明治🔥しかし明治は、パスしたボールのキャッチに失敗 早稲田ボールのスクラムに、、
チャンスを得ながらも、早稲田は前に思うように進めない。
しかし、明治は明治で、ペナルティーを繰り返すようになり、試合をコントロールできない。
互いに決め手を欠くまま、攻守は頻繁に入れ替わり、時間だけが刻々と過ぎていく、、
敵陣深く早稲田ボールのラインアウト、早稲田はモールからボールを右方向へ🔥
ここで明治はボール奪取🔥🔥、しかし明治はまたもペナルティーを取られてしまう😢😢
再び早稲田ボールのスクラム。時計は既に前半40分を回っている😳😳
ボールは右に右に、早稲田10番野中くんは明治の裏を抜くようにボールを前に蹴りだした🔥
前に転がっていくボールを、早稲田15番小泉くんは猛然と追いかける🔥🔥明治も後を追う🔥🔥どちらが追いつけるか⁉️
小泉くんは、明治のディフェンスと交錯しながらも、一瞬早く地に飛び込んでいた🔥🔥
客席からの大きな歓声と拍手🌟🌟しかし一転
場内は緊張に包まれた。
レフリー達が話し合っている。小泉くんがボールを保持してグラウンディングしたかの確認らしい。スペイン戦の三笘ほど微妙ではなかったと思うが、、
笛と共にレフリーの手が上がった🫱歓声と共に赤黒の小旗がちぎれるように揺れた🌟🌟
早稲田大学 この日2本目の渾身トライ🌟🌟
吉村くんは難しい角度もしっかり決めてきた🔥🔥
21-14 7点差❗️
ここで前半終了、大きな拍手が起こった。勝負の行方は、まだわからない、、
ハーフタイムには、両校チアリーディング部によるパフォーマンスが披露された🌟🌟彼女達の精緻かつ華麗な技の連続に、観客は賞賛の拍手を送った。
3.後半〜目指す景色へ、もう一度〜
今振り返ると、後半開始早々の『一撃』がなければ、試合の行方は違ったものになったかもしれない、、
* * *
後半開始からキックの応酬で陣地は動き続けた。そして、
明治ボールのスクラム。
出たボールを軽くキックしたボールを早稲田が獲得、攻め込む早稲田🔥🔥
早稲田9番宮尾くんからパスされたボールは、さらに左へと長い弧を描いた。
その時、
猛然と手を伸ばし飛び込んできた紫紺の青年❗️
明治13番斎藤くん、インターセプト🔥🔥🔥
誰も追いつけない🔥🔥🔥紫紺の大歓声が会場を揺らす🔥🔥1人グラウンドを駆け抜けた斎藤くんは、ゴール中央に飛び込んでいった🔥🔥
明治大学 この日三本目 一撃トライ🌟🌟
広瀬くんはここも外さない🔥🔥
28ー14 再び14点差❗️
この後早稲田は攻勢に出る🔥🔥明治はペナルティで自らを窮地に追い込んでしまった😢
攻め込みながら早稲田はノックオン、
明治ボールのスクラムとなるが、ここも明治はオフサイドのペナルティに😢
早稲田は大きく前進、敵陣深く入りボールを右に左に動かし明治ディフェンスに揺さぶりをかける🔥🔥
ここで明治はまたもペナルティー、早稲田はボールをタッチに出した。早稲田はラインアウトから攻める🔥🔥
しかし、ここは明治が守り抜いた🔥🔥。早稲田ノットリリースザボールのペナルティー。
明治はひとまず窮地を脱した。
ここから再三飛び出しトライを目指す明治、しかし、なぜかボールが繋がらない😢
ここで明治は、大賀くんが入りファンから大きな拍手が起こった。
早稲田は自陣から果敢に飛び出し、槙くんが一気に走るが、これも後が続かない😢
再びキックの応酬の中、後半は早くも20分を経過した。両校共に選手がどんどん入れ替わっていく。
明治陣内で早稲田ボールのラインアウトから早稲田は右へボールを動かす🔥🔥
早稲田4番前田くんへ長いボールが見事繋がった🔥🔥さらにボールは大外右の14番槙くんへ🔥🔥
槙くんはゴールラインへ一気に加速🔥🔥そのまま走り切った🔥🔥
早稲田大学 この日三本目 迫真のトライ🌟🌟
吉村くんはここもしっかり決めた🌟🌟
28-21 再び7点差❗️
いよいよ勝負は緊迫してきた🔥🔥
その後、『あのルール』が両校を翻弄する。
早稲田ボールのスクラム、明治はこの勝負に勝った。
早稲田陣内で明治ボールのラインアウト
しかし、
ノットストレート😨😨
今度は早稲田ボールラインアウトに。ところが、
これもノットストレート😨😨
観客席からため息が洩れた。それにしても、このルールは判定が難しい上に試合の帰趨を左右する事も多い😨
結局、明治ボールのスクラムに。ここで早稲田ペナルティー😢
早稲田陣内深く、明治のラインアウト。
守る早稲田にペナルティー、このアドバンテージも得て明治は攻勢を強める🔥🔥そして、
明治ボールのラインアウトから、明治はFWが押し込みながら確実に前進、中央に迫る🔥🔥
最後は交代したばかりの22番池戸くんが中央に飛び込んだ🔥🔥
明治大学 この日4本目 力のトライ🌟🌟
広瀬くんはここもきめた🌟🌟
この日、両チーム共にキック成功率は100%だった🌟🌟
35ー21 再び14点差。
時計は35分を回った。
時間が迫る中攻める早稲田🔥🔥
ボールの行方は落ち着かない。試合当初から、手元足元が大分滑るようにみえる😳😳
あちこちで選手が倒れている。仲間がその攣った足を伸ばしている。選手達はかなり疲労しているようだ😨😨
その後明治のペナルティーもあり、早稲田は果敢に攻め続けた🔥🔥
時計は40分を回った。ロスタイム4分が告げられた。
ここで早稲田にペナルティー、明治ボールスクラムに。
この時明治は1人少ない状態だった。6番森山くんに何か起こったらしい。
早稲田のペナルティーに、明治は再びスクラムを選択、時計の針は進む。客席から手拍子が湧く。さらに明治スクラム選択。早稲田さらなるペナルティー。
再びスクラム選択の明治、しかしここで明治がペナルティー。
早稲田最後の攻撃が始まった🔥🔥
ボールを右へ左へとつなげ、突破を試みる選手達🔥🔥
フェーズは遂に12を超えた。しかしここで明治はボールを奪取🔥🔥
明治広瀬くんは落ち着いてボールを外に蹴り出した。
ノーサイド
35ー21 明治大学勝利
35000人を超えるファンの見つめる中、伝統の一戦は終わった。
両チームの選手達は、険しい表情を少し和らげながら互いの健闘をたたえあった。
どこか緊張感の残るグラウンド、それでいいのだろう。
まずは年明け1月2日、またこの場所に。
彼らの戦いは、『これから』始まるのだから。
夕暮れ間近の千駄ヶ谷、空に淡い青と白が広がっていた。
〜あとがき〜
早明戦、この伝統の一戦が事実上『12月に2回』行われてしまう現状は、この試合の戦い方を必要以上に難しくしたのでしょうか。
両校にミスが目立ったこの試合、ファンをヤキモキさせたのは事実です。
しかし、サッカーW杯は、現代のスポーツがいかに『事前の緻密な調整』と『当日の判断力、胆力』の上に成り立っているかを日々私達に示しています。
早明共に帝京には完敗しました。大学選手権も帝京優位と予想されています。
この『大人の予想』を彼らは覆す事ができるでしょうか。
彼らの目指す『景色』、それが選手権決勝での『歓喜』であるならば、『周到な準備』と『あきらめない心』が、彼らをこの聖地へと再び導いていくでしょう。
まずは年越しに向けて、両校の奮闘を期待しています❗️
両校の選手スタッフの皆様お疲れ様でした。