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『アスリートの素顔』とは何を意味するのか〜清く正しく美しく⁉️〜
(この記事は、ラグビートップリーグ2021開幕前に書いた『ラグビーとジェンダー』シリーズを加筆訂正したものです)
1.イメージが意味するもの
阪神タイガースが好きだ。勝とうが負けようが好きだ。
しかし
【阪神タイガース みたいな男】を娘が連れてきたら、断固家には入れない。即出入り禁止。
人はいい。朗らかで情に脆い。
でも、チャンスに弱くて、プレッシャーにも弱くて。女、酒、悪い付き合いにも結構弱い。
こんな男は
控えめに言っても『クズ』だ。
でも、『チームカラー』となると、
独特の哀愁が、なんだか憎めなくて、弱い所も可愛く見えてくる。とにかく心配で放って置けない。
不思議なもので、身近な人間ではなく、『阪神タイガース』なら、なぜかこれも許せる。
タイガース、それ自体には実体がないからか。
2.SNS上で見る有名人の『素顔』
私達は、ここ数年の間に、様々なSNSを通じて
有名人の素顔、本音
なるものに容易に触れられるようになった。
もちろん、
どこまでが素顔なのか、本音なのかはわからない。それ自体が演出である可能性もある。
よくよく考えれば、一般人だって、日常では自分の良い所しか他人には見せない。ただ、その分SNS上で素性を明かさなければ、それなりに本音を漏らすこともある。
しかし、有名人のSNS利用は、《素性を明かして》なんぼだ。現在の活動、今後の予定を告知するのは当然として、
『私はこう思う』『私はこう行動する』
という自分の思いや決意、要するに自分の『存在』を世に周知させるためにSNSを利用する。
この彼らの『自己表現』を
私達ファンは、どう受け止めればいいのだろう。
3.彼とはお友達⁈
毎日、同じ人のSNSを辿っていると、必要以上に
彼らが『身近』に感じられる瞬間がある。
これが、曲者だ。おそらく。
主観的に、彼らと『お友達』になってしまうのだ。
『お友達』だと、その素顔を、そのプライベートを
もっと知りたい、知ってもいい
という気持ちになりがちだ。
しかも、そのファン心理が『愛情』に近いものだと、
もっと知りたい、もっと近づきたい、近づいていいはずだ
とだんだんストーカー的怪しい心境になってくる。
よくアイドルファンの中で
同担拒否
という言葉があるらしい。ラグビー日本代表に例えていえば
『私、田村さん推しなんです。』
『私も田村さん推しなの!あなたは松田くんにして!』
と、自分の『推し』に他にもファンがいる、という当然の事実を認められず、マジ切れするという人をいうらしい。そんな事したら、この世で田村さんのファンはただ1人、になってしまう。しかし、この馬鹿馬鹿しいやり取りは結構当たり前らしい。若気の至りではなく、いい歳をした女性ファンの中にもかなりいる。
これは、『彼は身近な存在。だって、私は彼の素顔を知っている』と錯覚する事から起きるある種の喜劇もしくは悲劇ではないか。
4.アスリートも『素顔』を晒す⁈
コロナ渦で、アスリートのSNS利用は飛躍的に増えた。試合、という活躍の場が全くなくなった、という異常事態の中では、
存在を忘れられないために
これは当然の行動だっただろう。
企業スポーツのラグビー界も、各企業の定めたルールの中で選手達は自分を表現し始めた。W杯後の人気沸騰を突然未知のウイルスに冷まされたのだから、彼らも必死だった。
結果として、私達ファンはこの半年で多くの選手の『心のうち』を垣間見てきた。
しかし、私達が本当に見たもの、あるいは今見ているものはなんだろうか。
彼らにはアスリートとして一個人として『伝えたい』ことはあるだろう。ただ、それは
彼が素の姿を晒した
のとは違うと思う。彼らには同時に、当然
ファンにこう思われたい『自分』
という意識があるからだ。特に、最近は不倫のような倫理違反に厳しい目が向けられるから、本当は
酒も大好き、夜の街も大好き、ギャンブルもほどほどやってる
という素顔であっても、なかなかその顔を見せられなくなった。
グラウンドでは一流、グラウンドを一歩出ればクズ
個人的には、他人への迷惑行為、犯罪行為でもない限り、そういうキャラもありと思うが、そんな事を匂わせる投稿は全くない。
全くない=真実は隠れている
これは当然の帰結だろう。
5.清く正しく美しく、ある必要はない
私は、SNS上で
競技にも人生にも前向きで、努力家で、家族思いで、ファン思い、ボランティアにも熱心
というアスリートがあふれていることを心配している。ラグビー選手は企業イメージもあるから余計にその傾向が強い。
しかしアスリートは必ずしも
清廉潔白
である必要はない。酒、女、ギャンブルは程々ならOKだ。
『クスリ』に手を出すくらいなら。
クスリは際立って依存性が高い。ギャンブルも酒も依存症になる危険はあるし、女癖は悪くなると止まらないが、大麻、覚醒剤の依存性の高さは群を抜いている。覚醒剤は一回の使用が命取りだ。
この悲劇を若きラグビー選手に起こさないために、程々の遊びなら必要ではないかと思っている。もちろん、未成年との交際、女性を妊娠させて中絶を強要する、飲酒運転の事故などは論外だが。
ラグビー選手全員が、プライベートにおいてまで、宝塚歌劇団のように
清く正しく美しく
ある必要はない。
私達女性ファンもそこは大人になって全て飲み込み、あくまで
オフィシャルな姿としての爽やかさ、ひたむきさを暖かく見守ってあげればいい。
そう、別に私は、静岡ブルーレヴズ堀川監督が、HCナオさんと浜松の夜の街で楽しく過ごしても、横浜キャノンイーグルス永友GMが、監督ミスター沢木と六本木に繰り出しても一向に構わないのだ。ただし、大人が夜の街で遊ぶときは
ケチなこと言わないで粋に遊んで欲しい
と願っているが。
いや、これすらもファンの勝手な願望なのだ。