梅仕事
入梅とも言われるこの時期、北鎌倉のあちこちで梅の実の仕込みが始まります。
鉢の木では、近年梅ジュースを造っています。
以前は焼酎で大量に梅酒を漬けており、氷砂糖を100㎏単位で仕入れ、60リットルの琺瑯タンクで何本も仕込んでいました。三年経った梅酒を白ワインで割り、当時は精進料理の食前酒としてお出ししておりなかなかの人気でした。
一時は、瓶に詰めて販売しましたが、友人から税法に引っかかるとの指摘をうけ、直ぐに中止した苦い思い出もあります。
寺町の北鎌倉では、全てと言ってもいいほど寺院には梅の木があり、梅干しなどは自家製が当たり前でした。今では手仕事として若い方がそれらを見習い、沢山のレシピ本も出ています。
鎌倉に永くお住まいで、命のスープで料理情報を多方面に発信してこられた辰巳芳子さん(1924年生)が、私たちに語りかけてこられたことに、「鎌倉に実のなる木を植えよう」というメッセージでした。SDGsが世界で叫ばれる今、戦争体験をされた辰巳さんの言葉の重みを感じる言葉です。
梅干しは保存食としても色々な用途に使われ、実用的で和食には無くてはならない存在です。その一部をご紹介いたします。
お正月には大福茶として、お茶の替わりに。
春 筍とは、和え物のころもに。そして四季を通して和え物の衣に。
夏になるとさっぱりと梅酢で柴漬けに。更に白瓜の梅肉和えも般若湯のお供に。
さっくり刻んで、ご飯に和えて。
鰯など青身魚の煮物には、臭み抜きに。
その他アイデア次第で、まるのまま使ったりペーストにしたり、ジュースにしたり、本当にありがたい食材です。
お寺の庭に必ず植えられた梅の木は、春を呼ぶ景色や花の香と供に北鎌倉を彩ってきました。北鎌倉の静かなアトリエで、創作活動をされた、日本画の巨匠である小倉遊亀さんは、多くの梅の古木を描かれてこられ、鉢の木の座敷にも一月には、必ず天をあおぐリトグラフが掛けられます。
鉢の木特製梅干しを、作る様子はこちらからもご覧頂けます。
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