介護職に専門性はあるのか?

看護師は介護士の上位互換だと思っている人は一定数いると思う。介護士の中にもそう思っている人はいると思う。しかし、看護師と介護士は全然別のジャンルの職種だ。
なぜなら業務の目的が違うからだ。看護師の目的は「治療」であり、治ったら終了である。
しかし、介護士の目的はQOLの向上だ。いいかえれば、介護職員はどれだけ利用者さんを笑わせて人生を全うさせるかが目的になる。とどのつまり介護士の目的は楽しい日常だ。
つまり、介護の目的の楽しい日常生活の中に看護の目的の治療が入っているイメージだ。
では、介護職員は専門職なのか?と言われれば私はそうだとは言い切れない部分がある。
なぜなら、前述したように介護職の目的が楽しい日常生活がならば意味合いが広すぎるからだ。
たとえば、洗濯の専門家はクリーニング屋である。スーツやオシャレ着など何でも洗濯できてしまう。介護職員はそこまで出来ない。
リネン交換にしても、高級ホテルのようにシーツに糊でも着けたかのようにビシッと敷くことは出来ない。
レクをやったとしてもブロードウェイのエンターテイメントには歯が立たない。
軟膏を塗布したり飲み薬を飲ませたり出来るが医師の指示の範囲内だ。
介護職は各家庭で出来ることしか出来ない。
だか、だからこそ気がつくことが出来る物がある。
洗濯物に血が着いていたら「どこか怪我した?」と思うし、リネン交換の時に皮膚の粉が多くて「皮膚が乾燥しているな。保湿剤が必要だな。」と思うし、レクをやっていて「この動きに着いていけなくなってきたな。」と思いながらやっていたりする。日常生活そのものを見ているからこそ気付くことが出来る部分がある。
あまり好きな表現ではないけど介護職ってお母さんみたいなものだ。
でも、お母さんって表現すると語弊があるし、そもそも色々なお母さんはいるので、私は介護職は日常生活のスペシャリストと言っている。
それぞれの専門職には知識も技術も遠く及ばないが個々人の日常生活は誰よりも知っている。
そうやって表現すれば介護職は専門職なのかもね。

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