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これからの「正義」の話をしよう④


「浮気は許せないor許せる」の問いで思いのほか意見が分かれるこの議論ですが、本書 マイケル・サンデル(2010)『これからの「正義」の話をしよう ーいまを生き延びるための哲学』 では違った視点でこの問いに対するアプローチがされています。


それは夫婦間以外で行われる性行為は、相手を物扱いしていること同然だという見方です。


別に全く愛情を抱いていないとは限らないという意見もあると思います。彼氏or彼女が別にいても、もしかしたら心のどこかで浮気相手に好意すら抱いているパターンもあるかもしれません。しかしその「かりそめ」の関係の前提には「性欲を満たすため」の行為である他なく、相手の人間性に対する敬意が不十分だということです。


つまり男女がお互いに満足できる関係だとしても、男性は相手を「人間」としてではなく、「女性」として見ており、その上で成り立つ体の関係である以上お互いの人間としての性質を貶し合っているということ同然なのです。



人間の性質というのは言い換えれば人格です。


例えば売春はお金を稼ぐために必要であるという考えも広く認知されていますが、他者の性欲を満たすために自分の人格を営利目的で利用するのは、自分は他者の欲望を満たすためだけの「物」でしかないと述べられています。


「好意が無ければ浮気は許される」
「相手に知られなければいい」

そういった論点から少し視点を変えてみて、倫理的に自分の生き方を見つめてみると違った見解が見えてくるかもしれません。


2人の人間が性的能力を利用するためだけでなく、自分のすべてを捧げ合うことによって初めて、性行為は相手を物扱いする以上の行為になるのだと有名な哲学者は言います。




少し話は逸れますが、この話に限らずお互いに合意していれば何も問題無いという見方は今私達にとって非常に馴染み深い考え方だと思います。何か商品を買う際でも、家や車を契約する際も、両者ともに納得し、契約書にサインさえしてしまえば何をしても良いのでしょうか。ここで「はい」と答えることができる人はとても多いと思います。

相手を1人の人間として敬意を持って商売をする場合「詐欺」はもちろんのこと、今私たちの周りに存在している多くのビジネスは無かったものも多いと思います。

これは「合意さえあれば何をしてもよいという倫理的価値観」と「人間の自律と尊厳を尊重する倫理的価値観」の違いを浮き彫りにすると本書では述べられていますが、あなたは今回の投稿を通してこの2つの倫理観をどう捉えましたでしょうか。


ここまで読んでいただきありがとうございました。


追記))
私の投稿では「本で得た知見を具体的にどう生活に活かすことができるのか」を自分なりにアプローチしたコンテンツを配信しています。「本を読みたいけど時間が無い」方も読むことができるコンテンツを発信していくのでぜひともフォローの方よろしくお願いいたします。

この記事では、マイケル・サンデル(2010)『これからの「正義」の話をしよう ーいまを生き延びるための哲学』 を参考に書いてます。本の内容を通して一緒に考える時間を過ごしましょう。



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